バケツと母と仮面ライダーと猫

１１月５日
真夜中、猫がお腹の中のものを喉元にしゃくり上げる音がする。
飛び起きてバケツをつかむ。
首を振って今にも絨毯の上に吐きそうな猫の前にバケツを差し出す。
猫はバケツを嫌がったが、間に合った！
と思ったのに猫はいっしゅん間を置いて、おもむろにバケツから顔をそらし口の中のものを絨毯に投下した。
嗚呼、どうして。
草木も眠る午前３時の事でございます。

１１月５日
最近喧嘩ばかりしている夫の両親。
母は毎日電話をかけて来て夫に父の愚痴を言う。
ひどい時は日に３度も。
親思いの夫も流石に辟易としている。
夫が忙しくて電話に出られないでいたら、私に電話がかかって来た。
息子は仕事なのか？忙しいのか？
と聞く母に私は言った。
「正義のため仮面ライダーに変身して出かけました。トォ！」

１１月５日
猫を動物病院に連れて行った。
道中、猫はずっと鳴いていた。
病院に着いてからもずっと鳴いている。
「大丈夫だよ。心配ないよ。お母さんはあなたとお出かけできて楽しいな」と言うと猫は言った。
「何言ってんだよ。『決して外には出しません。完全室内飼いを守ります』って誓約書にサインしただろ」