散文 1 - as you are.
大人になるにつれて、自分の中で「心地よい」がとてもだいじになってきた。
心地よい服を着る
心地よい場所に行く
心地よい人と居る
心地よく、生きる
と、いうこと。
せかいは、ときどきとんでもない速さでまわって、
ちいさくて無力なわたしは、簡単にふりとばされそうになる。
そうして、ひどく不安になる。
そんなときは、ひっそりとつぶやいてみる。
「だいじょうぶ」
みんな、ちゃんと自分だけの時間を持っていて、
それが速いか遅いか、ただそれだけ。
だいじょうぶ。
進んでいることに変わりはないから。
まわりがどんなに速く進もうと、自分の中にはちゃんと、自分だけの時間が流れている。
右足と、左足を、交互に前に出す。
そうすれば、身体は進んでいく。
そういう仕組みに、できている。
ときどき立ち止まっては、景色をながめたり、自分の来た道を振り返ってみたりする。
そこにはちゃんと、自分が歩いてきた足跡が、いびつな形で残っている。
いびつな、私の形で、ちゃんと。
ああ、だいじょうぶ。
満足して、ゆっくりと前を向き、また右足から歩き出す。
自分にとって心地よい速度で。
ゆっくり、ゆっくり、私のままで。
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