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これは、なにに見えますか。


幼稚園の授業で「半円」だけが描かれた白い紙が配られた。

どんな向きでもいいから、半円を使って好きに絵を描いていいと。


多くのともだちはスイカを描いた。

何人かのともだちは、紙を逆さに向けてアイロンを描いた。

ほかの何人かのともだちは、紙を縦に向けてお月さまを描いた。


わたしは迷った挙句、スイカに取っ手をつけることにした。


はじめに思いついたのはおそらくスイカ。

でも、みんなと一緒になるのが嫌で、紙をひっくり返して皮に取っ手をつけた。


翌週の授業参観で、それぞれが描いた絵を発表した。

わたしの半円は、なかなか奇妙な絵になってしまったので「あんなちゃんはなにを描いたの?」と先生が聞いた。



わたし「これはスイカ。それでね、切って持ち運べるようになってるの」

先生「・・・そ、そうなんだ?!」


いま考えても謎すぎるし、話しながら支離滅裂していく感覚は 幼稚園児のわたしでも十分に感じとれた。目の前にいた好きな男の子の前で大恥をかいたので、今日までこうして忘れられないままでいる。



いまだったら、この半円を見てなにを描くんだろう。

当時から変わらないのは、「恥」を描き続けているというところかな。

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