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4文小説 vol.36

西神中央まで来たのもいつ以来だろうか、改札の正面にある時計は閉店した「そごう」時代のままだ。

食事前に済ませておこうと連絡通路へ出て、20年前の今日を過ごした建物の方向へ手を合わせる。

互いが乗り越えてきた年月を労う忘年会、直後に入った店では、予約もしなかったのに半個室のような席へ通してもらい、「お父さんが応えてくれたんやわ」と二人で喜んだ。

「次の20年は、もう生き死にの瀬戸際やな」帰りの電車で雲間から差し込む夕陽を眺めながら、もうすぐ後期高齢者になる母の言葉を噛み締めた。

―父の葬儀から20年

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