見出し画像

#42 名前オタクの名にかけて

noteを始めてから3年半が経ち、改めて#42というタイトルに驚いた。
月1の更新とはいえ(2回サボったとはいえ)、わたしとしてはかなりよく続いている。

それにしても、この本題に入る前の雑談みたいなやつが、どうにも上手くできない。
40回以上もだらだら文章を書いてきたが、己の近況を話す的なことに対する苦手意識が、どうしても拭えないままだ。
たまにやってみようと試みるのだが、気持ち悪くて全文削除してしまう。

エッセイを書く方とか、ほんとうに尊敬してやまない。自分のことを書けるって、すごい。

……などと、"書けないことを書く"という狡いやり方でお茶を濁しつつ、それでは張り切って、本題に入っていきたい。




以前、人はどれだけ名前を正しく読むことができるのか?を調べたことがある。
48グループとJr.のメンバーの名前を一覧にし、振り仮名のない状態でなんと読むか、わたしの家族(両親・妹)を対象にアンケートをとった。

その詳細は該当する記事(#38#39)を見ていただきたいが、女子名・男子名ともに、だいたい6〜7割くらいの正答率であった。

ずっと気になっていたことを検証できたので、人にアンケートをとって満足していたのだが、よく考えたら、自分がどれほど読めるのかについては、調べたことがなかった。
こうして名前好きを名乗り、散々名前に関するnoteを書いている自分は、どれほど名前を読むことができるのか?

普段やっている名前の収集は、漢字と読みを同時に知ることが多いので、読みを推測するという作業があまりない。
もちろん、これまでたくさんの名前の例を見てきて、さまざまな名付けや漢字に関する知識を得ているので、漢字から読みを予測することは当然、得意なはずなのだが。


そんなわけで、今回はわたしがどれだけ名前を読むことができるのか、検証していきたい。

対象となる名前のデータは、子役の事務所であるジョビィキッズのタレント一覧を利用することにした。
振り仮名の見えない状態でひとつひとつの名前を見て、正しい読みを推測する。

ジョビィキッズのサイトは、性別や年齢を区切って検索できる仕様になっている。
今回は年齢を"0〜6歳"に絞り、男女をわけて検証した。
さっそくその結果を、まず男子名から見ていこうと思う。


ひらがなやカタカナ表記の名前を除いて、男子名は181件
タレントさんなので芸名の可能性もあるが、子役の方は本名で活動する場合が多いので、ほぼ全員本名で間違いないだろうと予測している。

なお、今回は一発で読みを当てられなかった場合でも、正解するまで答え続けるという方式をとった。

下記の表について、いちばん右の欄には、正解するまでにわたしが予想した読みを載せている。
また、一発で答えられたものには○、迷ったものには△をつけた。
答えられなかったものは×の予定だったが、正しい読みに辿り着けない名前はなかった。
読みの候補がふたつ思い浮かんだものなどは、一発正解ではないが○としている。

181件の内訳は、○159件、△21件、無効1件(後述)という結果になった。

それでは表とともに、いくつかピックアップしながら紹介していきたい。

タレント名|読み方|最終的な回答|予想した読み方

▼孝寅(たから)
こちらの名前が無効になっているのは、サイトをスクロールしている際、読みを予想する前に答えを見てしまったため。
「寅(とら)」を②後ろ残しぶった切りして「ら」と読むのはあまり見ない例なので、ぜひ当てたかったのだが。

▼明澄(あすむ)
決して難しい読みの組み合わせではないが、なかなか苦労してしまった。
こういった複数の読みが同じくらいの確率で予想できる名前は、日常生活で見かけた場合でもパッと正解に辿り着くことが難しくなりやすい。

▼那生(ともき)
「那」に「とも」という名乗り読みがあるのは知っているのだが、まず「とも」より「な」と読む可能性のほうが高いと考えた。
「な」と読む場合のパターンをある程度潰してから「とも」に移ったので、このような結果になった。

▼寿愛(すあ)
性別の分かりにくい漢字表記で、且つ響きも珍しい名前だ。
そのため、漢字に対して特に捻った読み方をしているわけではないものの、正しい読みを推測するのがわりと難しかった。

▼心結(しゅう)
こちらも漢字表記だけでは性別を間違えてしまいそうな名前だ。
この漢字の組み合わせは、これまでにさまざまな読み方で何度も出会ったことがあり、それはもういくらでも読みを思いつけてしまう。
ただ、男子名の響きと考えれば絞れるはずで、もっと早く「しゅう」に辿り着けてもよかった。

▼晄(あき)
ひかる、輝くなどの意味を持つ漢字で、これも読みの候補がたくさん浮かぶ。
この字は「晃」の異体字とされており、こちらの字ならすぐに「あきら」や「あき」の読みが出てくるのだが、「晄」になると途端に出てこなかった。不思議なものだ。

▼陽生兎(ひなと)
今回、出題を父に手伝ってもらったのだが、こちらは一発で読めたことを驚かれた名前のひとつである。
パッと見の感覚でなんとなく推測できる、という以上の説明が難しいが、こういった明らかに個性的な表記の名前は、むしろ読みの候補が絞られるので、より当てやすくなるような気がする。

▼和瑛仁(かいと)
「和」を「か」と読むのは、「かず」の①ぶった切りと思いきや、実は音読みだ。なお、「瑛」を「い」と読むのは「えい」の②後ろ残しぶった切りである。
上記の「陽生兎(ひなと)」同様、こちらも明らかに個性的で、字面からして読みが難しそうな名前だ。このような名前はやはり、ぶった切りなどの思考に行き着きやすく、読みを絞り込めると思う。

タレント名|読み方|最終的な回答|予想した読み方

▼弘立(こうりゅう)
こういったシンプルな音読みの名前は、意外と間違えてしまうことがある。
例えば「光陽(こうよう)」などのように第一印象が音読みっぽい名前と、「将生(まさき)」などのように訓読み・名乗り読みっぽい名前があるが、「光陽(みつはる)」「将生(しょうせい)」の可能性も高いので、注意が必要だ。

▼柊磨(とうま)
「柊」の音読みは「しゅう」のみで、「とう」は「冬」の部分だけを読んだ⑥部分読みであり、本来は正しい読みではない。
しかし、「柊(とう)」という読みはかなり浸透してしまっており、経験上、「しゅうま」より「とうま」という響きのほうが多い。
もちろん「しゅうま」の可能性もあるが、このような漢字表記の場合は「とうま」を一発目に出すのが良いだろう。

▼暖和(はると)
「和」を「と」と読むのは、「大和(やまと)」からの⑤熟字訓ぶった切りと考えられる。
今の子どもたちの男子名で「○和」というかたちの名前の場合、「○○かず」より「○○と」のほうが多いのではないだろうか。
完全にわたしの肌感覚だし、断定はできないが。

▼絆惺(きさと)
「絆」は名前に使われる際、「きずな」を①ぶった切りして「き」と読ませるパターンが多い。
「惺」はあまりメジャーな漢字ではないかもしれないが、「惺る(さとる)」と読む。
パッと見ではかなり難しく思えるが、知識さえあれば辿り着くことができる。

▼湊生(そう)
わたしの名前(結生)にもついているのだが、「生」がつくと読みにくくなるというのは、結構あるあるだと思う。
「結」だけで「ゆい」と読めるところを「結生(ゆい)」にしているので、「ゆうき」とか「ゆうせい」とか他の読みが考えられてしまう。
この名前も、「湊」だけで「そう」と読めるところに「生」がついているので、正解までやや遠回りをしてしまった。

▼誠(じょう)
この一文字で「まこと」じゃない、というのはだいぶ珍しいのではないか。
最初に「まこと」と答えて不正解だったときは驚いたが、「じょう」は音読みなので、もちろん、全然あり得るのだ。

タレント名|読み方|最終的な回答|予想した読み方

▼彩翔(いろと)
これはわたしの勝手な感覚で、「いろと」の可能性は低いだろう、と最初に候補から外してしまったために、正解に辿り着くまでにすこし時間がかかってしまった。
確かに「いろと」は珍しい響きだが、そんな個人的な感覚だけで判断してはいけないのだ。

▼悠人(はると)
「悠+(と)の漢字」という構成の名前は今回6件登場したが、こちらで一括で言及する。
6件の内訳は、こうだ。
 ・悠翔(はると) ・悠人(ゆうと)
 ・悠人(はると) ・悠斗(ゆうと)
 ・悠人(はると) ・悠斗(ゆうと)
「はると」と「ゆうと」がちょうど半々になっている。ちなみに、「はる」は「悠(はるか)」の①ぶった切りである。
これはもう、五分五分としか言いようがない。どちらの読み方も人気があるのだ。
このような漢字表記の場合は、「はると」も「ゆうと」も同じ確率なので、一度くらい間違えてしまっても仕方ないだろう。

▼丈将(じょうすけ)
「将」を「すけ」と読むのは名乗り読みだが、これはもっと早く気付けるはずだった。
一発目に浮かんだ「たけまさ」の次くらいに思いついてもよかったのに、悩んでしまった。
名前好きとして、なかなか悔しさが残る結果になってしまった。

▼陽葵(ひなた)
先程「陽奏(ひなた)」という名前もあったが、こういった「陽+○」のパターンでパッと読めないものは、だいたい「ひなた」と読めば正解になるような気がする……と、無責任なことを言ってしまう。
そんなことを思うくらい、「ひなた」という響きは漢字表記が多岐に渡っており、「陽+◯」のパターンがとても多いのだ。

▼蒼空(そうすけ)
こちらはかなり迷ってしまったが、一発目に「そら」、次に「あおい」で外したあたりで気付きたかった読み方だ。
「空(すけ)」は「空く(すく)」という訓読みからの㉕活用系だと考えられるが、最近の名前ではそこそこ見かける読みなので、もっと早い段階で正解に辿り着けたはずだ。

▼海羽飛(みわと)
これは「羽」の読みが分からず、五十音をてきとうに当てはめていって正解に辿り着いたので、ほぼ×と言ってもいいかもしれない。
「みわと」という響きこそ珍しいものの、「羽(わ)」は「一羽(いちわ)」などで用いられる読み方なので、どうして思いつかなかったのか、不思議である。


と、こんな感じで。

やはり、読みが想像できないというようなレベルの名前は、そうそう無いようだ。
ただ、正しい読みをなかなか当てられない名前は多く、名前・名付けという文化の個性と幅広さを改めて感じる結果となった。

名前や漢字についてたくさん分析してきたからこそ迷ってしまうこともあり、名前を完璧に知る/理解するというのはとても難しいことだし、まだまだ奥深いものだなと感じた。

まだわたしが出会ったことのない名前は無数にあるし、日本の出生数が0にならない限り、これからも命とともに、たくさんの名前が生まれていく。

来年5月には、戸籍への振り仮名の記載が義務付けられることとなった。それにより、現状と比べるとすこし、名前の読みに対する規制がかかるかもしれない。
ただ、出ている情報だと、新たに規制される名前はほんの極々一部に限られそうなので、この先もきっと、今ある名前や名付けの文化が途切れてしまうことはないだろう。

だからもっと多くの名前を知りたいし、今後も知識をますます深めていきたい。
わたしが一生かけても集めきれないくらいの、広い広い名前の世界が、いつまでも自由に続いていくといいなと思う。



なんだかめちゃくちゃまとめの文章にしてしまったが、まだ女子名をやっていない。

書き始めたときは一記事で終わらせようと思っていたが、男子名の話がかなり長くなってしまったので、今回はここでおしまい。

最近、noteのネタに悩むことが多いのだが、こうして一度思いついてしまうと、書きたいことがたくさん出てきて長い記事になってしまう。
noteを書くたびに、自分って名前好きだなあと、他人事みたいに再認識している。

そんなわけで、女子名についても同じくジョビィキッズのタレント一覧から検証をしたので、そちらは次の記事で書こうと思う。


それでは、また次回。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?