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#3 “読める”とか“読めない”とか“名前”とか

ドラマや映画には興味がないが、
たまにハマるときがある。

いま観ているものは、
押し付けがましくなくて、さりげない。
それが好きだ。


まあ、名前には敵わないけれど。



前回に引き続き、
私が1年以上をかけて集めた
2019年度生まれの子どもの名前
計53,000件以上の名前を分析してできた
46種類の分類を紹介していく。

この分類について

さまざまな名付けや名前に関する書籍や
ネットに上げられている論文、
辞典や辞書なども参考にして作った。

また、私も愛読している
キラキラネーム界隈で有名なネット掲示板「5ちゃんねる」内のスレッド「子供の名前@あー勘違い・子供がカワイソ」の中で共有されている考え方なども取り入れている。


注意点として、ここではいわゆる“キラキラネーム”や
“DQNネーム”に限らず、全ての名前を分類する。
それぞれの名前が“キラキラネーム”などであるか否かは個々の判断に委ねられるものであり、ここでその区別は行わない。


前回を簡単に振り返ると、
名前は、大きく分けてふたつに分類できる。

A 漢字に対して読みがあっていない
B 漢字に対して読みがあっている

A 漢字に対して読みがあっていない
辞書に載っている音読みや訓読み、名乗り読みなどにない読ませ方や、無理な読ませ方をしている名前のこと。一般に“キラキラネーム”と呼ばれるような名前が多く含まれる。

B 漢字に対して読みがあっている
辞書に載っている音読みや訓読み、名乗り読みを使用している名前のこと。無理なく読める名前が多いが、“キラキラネーム”とされる名前も存在する。

前回、Aに含まれる29種類の中で
5種類の「ぶった切り」について述べた。
今回はそれに引き続き、
Aのうちの10種類について説明していく。

なお、通し番号は前回の続きになっている。


○○読みシリーズ


⑥部分読み
漢字の一部分を採って読んでいる。

たとえば「珠里(あかり)」という名前は、「」のつくりである「」の部分のみを採って「あか」と読ませている。
以下、それぞれの分類で、私が集めた名前を左側に示し、右側にその成り立ちを分析している。

里(あかり) 珠→=あか
士(ぐんじ) 輝→=ぐん
かなで)  湊→=かなで
こころ)  想→=こころ
華(とうか) 柊→=とう
はな)   椛→=はな
ひかり)  滉→=ひかり
太(ふうた) 颯→=ふう


⑦採取読み

ある漢字から一部分を採り、もとの漢字の読み方をさせている。

たとえば「心人(あいと)」という名前の「心(あい)」は、「」の一部分である「」を採り、読みは元の漢字から「あい」と読ませている。
また下記の例で「置き字」とあるが、置き字とは本来必要のない漢字を付け足している名前のこと。今後の記事で詳しく説明する。(→#5

人(あいと) 心→=あい
人(みなと) 奏→=みなと +置き字
沙(つばさ) 羽→=つばさ +置き字


⑧二度読み

ひとつの漢字の音読みや訓読み、名乗り読みを二度読んでいる。ぶった切りと組み合わされている場合が多い。

たとえば「彩七(あいな)」という名前の「彩(あい)」は、「あや」という読みの「」と「さい」という読みの「」をそれぞれ読んでいる。

七(あいな) 彩=や、さ
陽(あさひ) 爽=きら、わ(やか)
里(にこり) 虹=じ、
愛(りりあ) 莉=×2


⑨イメージ読み

漢字をイメージや連想で読んでいる。

桜(はる)   の季節→はる
紫乃花(すみれ)の()花→すみれ
大翔(つばさ) きくける→つばさ
星(ひかり)  星→ひかり


⑩外国語読み

漢字を日本語以外の同じ意味の言語で読んでいる。

琥珀あんば) 琥珀=amber(アンバー)
大空すかい) 大空=sky(スカイ)
たいが)  虎=tiger(タイガー)
奈(れあな) 稀=rare(レア)


⑪付加読み

本来の読みに加え、読めない読みが付いている。

たとえば「朱(あかり)」という名前は、本来「あか」としか読めないが、「」が付加されている。

朱(あかり)  朱=あか
紗葵(さつき) 紗=+葵=
丈(たける)  丈=たけ
瑠花(るいか) 瑠=+花=


⑫&読み

本来「と」と読む字はないが、音をつなぐ意味で「と」が読みに入っている。

彩和(いとな) 彩=ろどり++和=ごみ
桜羽(おとは) 桜=う++羽=
心帆(ことほ) 心=ころ++帆=
汐夏(せとか) 汐=き++夏=


⑬酷似読み

本来はそう読めないが、形の似た漢字の読み方をさせている名前。
下記の例では、読みにあった漢字を示し、右に名前に使われている漢字の本来の読み方を載せた。

晴(こうせい)○昂=こう [昴=ぼう]
(せ)  ○梛=な  [椰=や]
(たく) ○巳=み  [己=き]
汰(た)  ○李=り  [季=き]


⑭勘違い?読み

そう読めると勘違いしていると思われる名前。

依(あおい) 藍=○あい  ×あお
葉(かえで) 椛=○もみじ ×かえで +置き字
奈(ももな) 杏=○あんず ×もも
(る)  良=○よ(い)  ×い(い)


⑮歩兵読み

「歩」という漢字を「と」と読んでいる。
将棋の歩兵の裏が“と”に見えることが由来ではないかと推測される。

叶歩(かなと)、朔歩(さくと)、歩空(とあ)



以上が、今回紹介した名前の種類10種類である。


名前って面白い。

次回に続く。




※上記の名前は、誰でも閲覧可能なネット上に載っていた名前です。実際に名付けた方の本意とは異なるかもしれませんが、私個人の独断により分析させていただきました。
※上記の名前と同名の方で、不愉快に思われる方がいらっしゃいましたら、削除致しますのでご連絡ください。

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