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2023/01/11 今日の英語: 映画『ボーダーライン』のYoutubeコメント

今日、Youtubeの合法映画切り抜きチャンネル『Movieclips』で映画を見た。『ボーダーライン』というサスペンス映画で、原題はSicarioという。
Sicarioは「殺し屋」という意味のスペイン語。邦題の「ボーダーライン(境界線)」は恐らくダブルミーニングで、映画の主な舞台であるメキシコとアメリカの国境と本作のテーマの一つで主人公たちが度々蔑ろにする善悪の境界線がかかっているのだろう。

私が視聴した本作映画の切り抜きシーンは2つ。だが今回紹介する英語表現は本編シーンからではなく、それらYoutube動画のコメントから抜粋したものだ。

まず、一つ目の動画はこちら。主人公の一人、アレハンドロがquestionable tactics(違法に近い方法)でギャングに尋問を行うシーンだ。

この動画に下記のコメントがついていた。巧みな画の撮り方で視聴者の想像力を掻き立てていることを褒める内容だ。

The final shot is the perfect capstone to everything we’ve seen so far. After we hear Alejandro threaten the prisoner, we cut to a wide, birds eye view, push in to a drain on the floor of the room.

youtube.com

特に私の関心を引いた表現は一文目のcapstoneで、意味は「冠石」と「最高点」の2つ。コメントの内容を見るに、どうやらここでは比喩的に前者の意味で用いられているようだ。
冠石とは石造りの壁や門などの上部に組み込まれている石だが、私は解釈に迷った。「capstone arch」でグーグル検索して出る画像を見てみるに、capstoneは「重要なつなぎ目」として機能しているようだ。一方で「capstone wall」でグーグル検索した結果、capstoneは石壁を作る過程で最後に組み込む石、つまり「最後を締め括る部分」にも見える。
ということで、The final shot is the perfect capstone to everything we’ve seen so far.を訳す時、「arch」の解釈なら「今までの全てのシーンと最後のシーンの繋げ方が完璧だ。」、「wall」の解釈なら、「最後のシーンは、今まで見てきたシーンの締めとして完璧だ。」となるだろう。
コメントが褒めている内容から推測すると、後者の「wall」の解釈の訳が片方の訳より自然に思える。

他にも画の撮り方を高く評価するコメントがある。

What you imagine him doing is way more graphic than anything they could have shown. This was a smart decision by the director.

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「彼がやっていることを視聴者に見せるより想像させた方がずっと生々しい描写になる。監督は良い采配をした。」(自己流訳)

「グラフィック」と日本語にもなっているgraphic。collinsdictionary.comは、形容詞としてのgraphicについて「If you say that a description or account of something unpleasant is graphic, you are emphasizing that it is clear and detailed.」と説明する。何故かCollins辞典はgraphicなものを不快な事柄や物体に限定しているが、その場合の日本語訳は「生々しい」が最適だろう。

続いての切り抜き動画はこちら。主人公の一人、ケイトがバーで仲良くなった男性のa heart-stopping secret(世にも恐ろしい秘密)を知ってしまい、襲われて危うく殺されかけるシーンだ。

私が視聴したMovieclipsの動画の中で、このシーンは特に恐ろしく思える。というのも、フィクションだからといって、性差による力の違いの現実を誤魔化していないからだ。この点を高く評価しているコメントを紹介しよう。

This is a good movie because it doesn't sugarcoat the reality of strength differences between genders. Normalizing those differences made this scene that much more scary.

youtube.com

「これは良い映画だ。性差による力の違いの現実を誤魔化していない。そのような違いを普通のこととして描写することで、このシーンはかなり恐ろしいものになっている。」(自己流訳)

自己流訳の「誤魔化す」に対応する単語はsugarcoat。
動画内容と文脈からある程度推測できると思うが、sugarcoatは「うわべを良くする」「取り繕う」という意味で使える単語だ。言い方変えれば「(不愉快な事実)を誤魔化す」とも表現できるだろう。

また、このコメントは動詞のnormalizeの良い例文になる。merriam-webster.comによると、normalizeの意味は「to make (something) conform to or reduce (something) to a norm or standard」。「〜を『当たり前のもの』にする」というような意味だろうか。
大抵の英和辞典の説明では「〜を正常化する」だったが、堅すぎるように思えたので私は「普通のこととして描写する」と訳すことにした。

以上、今回はここまでである。


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