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教育とは、学ぶとは、知識そして知性とは?

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日本の学校教育このままで大丈夫でしょうか。私たちは何のために学ぶのか、知識とは、知性とは、について考えていることを書いています。
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#創作大賞2024

今日ときめいた言葉144ー「生い立ちや信念や格好で切り捨てられたりしない、男か女でふるいにかけられない社会になることを私は心から願います」(朝ドラ「虎に翼」から)

ドラマの中でこの言葉を聞いた時、ちょっとウルッとしてしまった。今から86年も前、女性の立場がずっと困難だった時代にこのような意見表明をしたのだから。 でもさらに100年以上も前に大逆事件で逮捕された金子文子は、二十歳にも満たない年で以下のような意見表明をしている。享年23歳。 「私はかねて人間の平等ということを深く考えております。人間は人間として平等であらねばなりませぬ。そこには馬鹿もなければ、利口もない。強者もなければ、弱者もない。地上における自然的存在たる人間としての

今日ときめいた言葉162ー「私たちが認識する『歴史』は何らかのバイアスとは無縁ではいられない」

「このことに気づく経験が現在の教育では必ずしも重視されていない。『歴史』を『歴史的に考えること』が必要だ。 2024年5月30日付 朝日新聞に掲載された東京学芸大学准教授 日高智彦氏の「『歴史的に考える』ことの学び方・教え方」という記事を読んで興味が湧き、日高氏の論考が所収されている「歴史的に考えるとはどういうことか」(南塚慎吾・小谷汪之編著 ミネルヴァ書房)を読んだ。そのまとめである。 「『歴史的に考える』とはどういうことか」 ーー直接経験していない歴史に出合うには、

今日ときめいた言葉114ー「覚悟は未知だからこそできる。分かっていたらできないものかもしれません」

(2023年1月5日付 朝日新聞 「覚悟の時代に」ー自分に向き合うーから伊藤詩織氏の語る「覚悟」とは」 伊藤詩織氏は、2017年、元TBS記者から受けた性暴力を告発。2022年7月、最高裁で性暴力を認める判決が確定した。 「覚悟は未知だからこそできる、分かっていたらできないものかもしれません」 性被害を告白したとき妹さんから「何をしていても、性被害を受けた人だということがついて回る」と言われたそうだ。実際その通りになって、民事訴訟で性暴力が認められるまで7年もかかった。

“ Stay hungry, Stay foolish ” (ハングリーであれ、愚かであれ)ー生きることの意味を学び直す

上記の言葉は、アップルの創業者 スティーブ・ジョブズが、2005年のスタンフォード大学での卒業式のスピーチを締めくくった言葉である。(この時ジョブズは、すでに癌に犯されており、6年後に亡くなっている) 何故かこの言葉に心揺さぶられた。これから社会に飛び立っていく若者に対して、大企業を築き上げた経営者の口から発せられた餞(はなむけ)の言葉が、実利的なものではなく、ありきたりで教訓的なものでもなく、意表をつく言葉であったからだ。 でもこの言葉には、それを受け取った者を奮い立た

「夏休みの宿題」「自由研究」って必要ですか?

小学生の夏休みにつきもののこの二つ必要でしょうか?夏休みは、何にもない開放感を思いっきり味合わせてあげればいいのにとずっと思ってきた。何かをしていても、いつも「宿題」のことや「自由研究」のことが気になっている、言わば「生殺し」みたいな気分で過ごす夏休み。こんな状態で日々楽しく過ごせるんだろうか? 「小人閑居して不善をなす」の発想でしょうか。「漢字100回」「計算ドリル100問」忙しくさせるだけのこんな宿題、もう肉体労働でしょう。昔、夜遅くまで塾に通う日本の小学生の行為を「児

“いま、「知識」ではなく「知性」を”の記事に思うーまたしても日本の学校教育、大丈夫?

2022年6月12日付 朝日新聞に掲載された上記タイトル「いま、『知識』ではなく『知性』を」の記事に強く惹かれました。書いた人は、文化人類学者の今福龍太氏。 記事を要約すると(かなり私の独断と偏見による)ーーー 高校の「国語」の内容が、「直接役に立たない」文学作品ではなく、社会で「役に立つ」実用文を学ばせる方向にシフトしたことに触れて、「知」とは何かと問うている。 「知」は、我々の社会を創造していく真の力であるが、その時の「知」とは「知識」(knowledge)ではなく

再び日本の学校教育について〜人生で必要なことは、ほとんど家庭で教えられる❗️

この記事は、上記の記事の続編です。 私は人生で必要なことは、ほとんど家庭で教えることができると思っている。 家庭で教えられないのは、他者との関係だけだと思う。これは、本人が体験を通して学び取らないといけない。 でも基本は自分自身だと思う。寄って立つ「個」を持たないと、他者にも対峙できない。個を確立するための基礎は、家庭で十分に築いてあげたい。子供が親許を離れるまでに、親としてできる一番重要なことだと思う。「我が子は一人でやっていける」と思えるまで。 私は、我が子の教育を

日本の学校教育、大丈夫?ー「教育とは何か」をもう一度考えてみる。

先日アメリカに住む次女がiMessage に、米俵の絵を送ってきて「これなんて言うの?」と聞いてきた。私は、ピンときた。「それって笠地蔵の話のことじゃない?」と聞くと図星だった。恐らく、日本人学校の補修校に通う息子の宿題か何かだろうと思った。 私の3人の娘は日本の学校教育を受けていないので、日本人なら大体の人が持っている共通の記憶や感情、体験がない。 その後も「一寸法師は、何に足りないの?」(指!)、「舌切り雀はどこを切られたの?」(これには、さすがの彼女も「舌」と分かっ