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「パレスチナを知ろう」#草の根パレスチナ0605オンラインイベントまとめ④

2024年6月5日に行われたzoomイベント「パレスチナを知ろう」(#草の根パレスチナ0605)のまとめ記事その④です。

当日の流れは、以下の通りです。
1. ごあいさつ(ひろこ)
2. パレスチナ難民キャンプの思い出(まりか)
3. アーデルさんのお話
4. ゲスト3人の座談会…この記事でまとめています。
5. 質疑応答&おわりに

5. ゲスト3人の座談会

アーデルさんのお話に続いて、ゲストの3人に色々とパレスチナのお話を伺いました。

アーデルさん(以下、アーデル)
祖父母がパレスチナを追放されて以来難民の生活。現在もヨルダンのバカアパレスチナ難民キャンプ在住。パレスチナ難民キャンプの支援団体で長年勤務。

ウマルさん(以下、ウマル)
ヨルダンとパレスチナのハーフで、生まれはヨルダンです。現在は日本に留学中。

マリアムさん(以下、マリアム)
祖父母がヨルダンに避難してきたパレスチナ難民で、生まれ育ったのはUAE。2016年にヨルダンへ。現在は日本に留学中。


質問1:あなたにとってパレスチナはどんな存在ですか。

(アーデル)パレスチナはとても豊かな土地でした。アラビア語では「乳と蜜の流れる大地」という言葉があるのですが、とても良い場所です。ですが、今から100年前からシオニストたちにその大地が奪われ始めました。
パレスチナの人々は知識も高く、昔はイスラム教徒がお祈りする際に向かう方向でした(現在はサウジアラビアのメッカに向かってお祈りするように変更されています)。

また、イスラム教徒だけでなく、キリスト教徒にとってもパレスチナはイエス・キリスト様が生まれたベツレヘムがあります。また、キリスト様はヨルダン川で沐浴した(洗礼を受けた)ということもあり、パレスチナは宗教的に大切な場所でもあります。
私はイスラム教徒ですが、パレスチナがキリスト教徒の皆さんにとっても大切な場所であるということを重んじています。

(マリアム)パレスチナは、「夢の還る場所」です。
子供の時から、祖父母の家でよくアルジャジーラというテレビ番組を見ていました。そこには祖国のパレスチナの様子が映っていたからです。その時からパレスチナは今のような状況が何度もあったので、子供にそんな映像を見せてどうするのかと思う方がいらっしゃるかもしれません。でも、祖父母は自分たちの国について知りたいという思いから見ていました。
私は子供の時から、私の故郷パレスチナはとても綺麗な国だから、悪者が占拠せずにはいられない、というイメージがありました。そしていつか、パレスチナが解放されたらそこに帰るというイメージを持っています。

(ウマル)私はパレスチナに対してはとても現実的な捉え方をしていて、「今は占領されている土地」だと思っています。だから、解放されるまで落ち着かないというか、解放されるまで努力し続けなければいけないと思っています。
(ひろこ)それは、子供の時からそう思っているんですか。
(ウマル)そうですね。子供の時からパレスチナのニュースをずって見てきたので、必要な時にはパレスチナのために戦う覚悟はずっとしているという感じです。

(ひろこ)そうなんですね。ありがとうございました。では次の質問です。

質問2:あなたが知っているパレスチナの素晴らしさ、文化、誇りに思うことを教えてください。

(ひろこ)では、アーデルさんはいかがでしょうか。

(アーデル)パレスチナは75年もずっと占領されていたのですが、パレスチナ人はずっと抵抗を続けてきました。この諦めずに抵抗し続けていることに誇りを持っています。
あとは、アラブ世界全体でおもてなしは重要なんですが、パレスチナ人はアラブ人同士だけでなく、他の国やどんな人たちにもおもてなしの気持ちを持っていることが素晴らしいと思っています。

(ウマル)私が一番誇りに思っているのは、パレスチナ人の回復力です。今まで何度も攻撃され続けてきたのに、その度に建物を直したり日常生活を取り戻したりの努力をし続けている点に誇りを感じます。

(ひろこ)そうですね。その回復力について、ガザのドキュメンタリー映画『ぼくたちは見た』という作品を見た時に私も感じました。その映画では、家族を殺されて、家を破壊されたあとも、子供たちはオリーブの木を植える…というシーンがあって、とても印象に残っています。
(古居みずえ監督映画『ぼくたちは見たーガザ・サムニ家の子どもたち』公式サイト https://whatwesaw.jp/

(ひろこ)ウマルさん、ありがとうございます。では、マリアムさんどうぞ。もう見えていますけど!(この日、マリアムさんはパレスチナ刺繍のドレスを着て、参加してくれていました)

(マリアム)もちろん、パレスチナの全てに誇りを持っていますし、自分がパレスチナ人であることも誇りです。でも、私は芸術が好きで、絵を描く人間として一つ注目したいのは、パレスチナの刺繍文化です。パレスチナの刺繍文化というと、女性が服を飾るための伝統的な技術で…見えていますか?

マリアムさんのパレスチナ刺繍のドレス(前)


マリアムさんのパレスチナ刺繍のドレス(後)

(ひろこ)見えています。きれいですよ!

(マリアム)ふふ、ありがとうございます。服自体は綿やシルクで作られていて、糸はシルクの金や銀で作られています。パレスチナがイスラエルに占領されたあと、イスラエルはパレスチナ刺繍を弱くしようとしたのですが、逆にもっと盛んになりました。今は服以外にもカバンや財布やアクセサリーなどにも刺繍がされるようになって、抵抗のアイコンにもなりました。

(ひろこ)そうですね。日本でもパレスチナ難民の女性支援や文化を伝える支援している団体があって、そこからパレスチナ刺繍のグッズを買うことができますよ。
(注:現在は、紛争のため、この団体から買うことはできなくなっていました。刺繍をする女性たちの安否も不明な状態だそうですが、今後戦争が終わった時のために、先行支援という形で予約することが可能です。詳しくは、「パレスチナ・アマル」のサイトでご確認ください。https://palestine-textiles.jp/

質問3:パレスチナのために、今何をしていますか?または、何をしたいですか?

(ひろこ)じゃあ…今回は先にマリアムさんでもいいですか、アーデルさん?

(アーデル)もちろん、もちろん。問題ないよ。2人とも日本語上手ですごいね。

(マリアム)パレスチナのためにしていることは、ボイコットと自分の勉強ぐらいです。たまにできればSNSでシェアしたりもしますが、ニュースを見すぎて何も手につかなくなってしまうことが多くて、今はSNSは休憩中です。このようなチャリティーイベントに参加しています。
 一つ言いたいことは、もし皆さんの中に何かやりたいと思っている方がいたらとてもうれしいんです。でも、体を大切にして欲しいです。エネルギーが切れたり疲れたりするのは当たり前のことなので、自分や自分の理想も大事にして欲しいです。

(ひろこ)それでは、ウマルさんはどうですか?

(ウマル)そうですね。私も普通にボイコットや寄付や、パレスチナへの知識が普及するようなイベントで発言などもしているんですが…でも心の中で一番強く思っているのは、今自分を鍛える期間だと思っています。将来、もっと直接的にパレスチナのために何かできる機会があった時に、ちゃんと貢献できるように、今は勉強でも仕事でもなんでも日常生活を頑張っています。

(ひろこ)それでは、アーデルさんはどうですか。

(アーデル)私は今、63歳なんですが、ずっと前からパレスチナのために発言してきました。対外的に発言するだけでなく、自分の子供たち、孫たちにもパレスチナことを大切にするよう、自分の権利を諦めないように育ててきました。子供たちにそのように伝える続けることが大切だと思っています。

(ひろこ)そうですね。子供たちに伝え続けるというのも大切なことですね。それでは、最後の質問です。

質問4:日本の人に伝えたいメッセージは何ですか。

(ひろこ)それでは、アーデルさん、お願いします。質問の4番です。
(アーデル)マリアムさんからじゃなくて大丈夫ですか?

(マリアム)もちろん、どうぞお願いします。

(アーデル)パレスチナも含めて、アラブ諸国では日本は人気があって、パレスチナ人たちは日本が大好きです。昔、日本のNPOを通して日本人の大学生たちがバカアキャンプに来て、2〜3泊して難民の暮らしを知るという機会があって交流することができました。

えー、日本の人に伝えたいのは、ぜひ声をあげてほしいということです。声をあげて、日本政府にパレスチナ国を作るための後押しをしてほしいです。

(ひろこ)アーデルさん、ありがとうございます。それでは次は…どうしましょう、じゃあ、マリアムさん、お願いします。

(マリアム)はい、私の話は、パレスチナにだけ関わる話ではないので、気に触るようなことがあったらすみません。
日本に来て気づいたことがあります。日本はとても平和な国で、人々はのんびりした雰囲気があるような気がしました。なんでも簡単に手に入りますね。
だから、この世界のどこかで人が想像できないほど、物語でしか出てこないほどに人々が苦しんでいるのを想像しづらいですね。そこから目を逸らして、何もないふりをして、生活は普通に続いていきます。
問題が深まる一方で、このままは嫌だけど仕方ないという考えが悪を育てる土壌になってしまいます。一人じゃないって想像しずらいですよね。一人だと思い込んで、一人だと何もできないと思い込んでしまいます。
ですが、勇気のかけらが世界を変える力あるんです。一人がその勇気のかけらで声を上げることができたら、そのかけらがもう一人の勇気のかけらになります。二人の声は、その二、三倍の勇気のかけらになります。その続きで、人々が動けば、国が動きます。国が動けば、世界が動きます。
でも、世界を動かすとか、そんなことは今考えなくてもいいです。今はその優しい心が持っている勇気のかけらで声をあげて見てほしいです。誰かが絶対に支えてくれます。何がいけないのか、それを止めるには私には何ができるのか、それだけを考えてほしいです。
後悔せずに、良心に言われるままにしてほしいです。
パレスチナについては複雑なことは今はしなくてもいいです。第一歩である、調べることとボイコットから始めればいいです。でも、どうしてボイコットをしているかとかを聞かれたら、勇気のかけらをぎゅっと握りながら真実を話してほしいです。手短に。勇気のかけらが大きくなったら次に何をするかは皆さん次第です。
ありがとうございました。

(ひろこ)はい、勇気のかけらですね。ありがとうございます。では、ウマルさん、お願いします。

(ウマル)そうですね。簡単にいうと、日本人の皆さんに声をあげてほしいです。パレスチナの問題は、パレスチナ人だけの問題ではなく、自由を求める人全てに関わる問題だと私は思っているので…。人間同士の共感をもっと高めて、頑張ってほしいと思っています。
日本人は昔、広島と長崎に原子力爆弾が落とされて大変な、辛い時があったからこそ戦争の困難を理解できると思うので、そういうルーツがある日本の皆さんとも一緒にパレスチナを支えていきたいと思います。

(ひろこ)それでは座談会の質問は以上です。ゲストの皆さん、ありがとうございました!

(「まとめ⑤ https://note.com/preview/n5253f7f8624e?prev_access_key=0667f9319e0349d7184abcbc1928e7ec 」に続きます)


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