或る28歳女性、Aさんの日記
実験的な試みとして、ある女性の日記に、お返事を書いてみようと思い立ちました。
今回は、Aさんの日記のみ掲載。
後日、お返事篇を掲載予定です。
【9月◯日】
なんだか最近、しんどいことがいっぱいあって、それをどうしていいのかよくわかんなくなって、それがここに来て仕事でいっぱいいっぱいになって、更にプライベートでべしょっとへこんで。
半泣きのまま逃げ込んだ先が、
ひとりカラオケ。
当直明け、3時間ノンストップ大絶唱。
なにやってんだか、私…
なにがしたいんだか、私…
このまま1人で生きてくことになったら、どうしよう、私…
1人で生きていけたら、どうしよう、私…
【9月×日】
まぁ、何日か前にはっちゃけまくっていた日記ですが、読み返すとものすごく私の深いところを露呈した日記だなぁ…と思ってみたり。
「ひとりでも生きていけるように」と思って、今まで生きてきました。
それは小学生くらいから「自分は結婚しないかもしれない」と思っていたからで、そのためにはきちんと食べていける職業に就かねばと思って、医者になりました。
そもそも中高時代から女の子と一緒にいる方がよっぽど楽しくて、
「別に世の中から男の子がいなくなってもいいやぁ」
と十代後半まで本気で、思っていました。
何でこんなに男の子が嫌いになったかははっきりしていて、小学校高学年になるとそれまで仲の良かった男の子たちが、
「Aと一緒に遊んだら、他の女子たちに『女子と遊んでる』ってからかわれるから」
という、私にはまったく理解できない理由で離れていったからで。
今思うと、男子の恥じらいと女子の嫉妬のなせる業だったんでしょうが、当時の私はものすごく裏切られたように感じてしまい、
「そんなしょうもないことゆうお前ら(男子)とは、遊んでやらん!!」
と心に誓ったことがきっかけでした。
その後、自分が「理想の男の子」になろうとイタいことを試みるも、二次性徴に阻まれて、S●Kの格ゲーキャラのような体型になり、そうすると男の子たちが今度は向こうから寄ってきて、俺たちと遊べという。
「本当にこいつら死んでくれへんかなぁ…」と思っていた私は、結婚なんて微塵も考えませんでした。
でも、そこからまた10年経つと、今度はひとりでは生きていけない自分に気づく時期がやってきました。
そりゃそうなんですよ。
そもそも私は「一緒にいたかった男の子」たちに裏切られて、傷ついたんだから。
そこで私がちゃんと「女の子」であったなら、引き離しにかかった女子たちより、「女」を理解していたならば、しがみついて「ひとりにしないで」と泣けばよかった。
(……そこで悲しみではなく怒りが勝ったから、現在の私がいるわけなんですが)
あぁ、そうかと。
私、「ひとりでも生きていける」ようにはなったけど、
最初から「ひとりになること」がめちゃくちゃ怖かったんだと。
急に前回の日記を読み返していて腑に落ちました。
「私と一緒にいてくれないなら、あんたたちなんて死んじゃえばいい」
と叫んでいた小さい私も、
「ひとりにしないで」
とちゃんと言える女に、そろそろなるべきだろうなぁ…と、思った当直の夜でした。
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