【映画】マイ・ブロークン・マリコ
『マイ・ブロークン・マリコ』を公開日初日に観に行った。ポスターとコピーと予告映像を見て、私が好きそうな映画だ、と思った直観は裏切らなかった。
大切な友人の死と、旅と、残された者の生活。これらは、「やがて海へと届く」とも重なるモチーフだ。よくよく考えてみれば、この2つの映画はよく似ている気がする。どちらにもそれぞれの良さがある大好きな映画だ。
よく似ているにもかかわらず、私が『マイ・ブロークン・マリコ』を観たときに既視感を覚えなかったのは、登場人物たちの浮世離れしたキャラクターやコミカルさ、暗い過去、「遺骨を奪い取る」というセンセーショナルな展開があったからだけではないと思う。
『マイ・ブロークン・マリコ』では、親友の2人が自分よりも何よりも、お互いのことを一番大切に考えているのだということを色濃く感じたのだ。
救いようがないと思える日常の中で、シイノとマリコのお互いの存在は毛布のようなものだったのかもしれないと思う。いつでもあたたかく包み守ってくれる。放っておいてくれるドライさも持ち合わせる。
そんな相手がいなくなったらきっと生きていけないと信じていた世界は、突然あの子がいなくなっても何事もなかったかのように回り続けるし、自分も生き続けてしまえる。その事実は受け入れがたい。人間は強いんだか弱いんだかわからない。わからないけれど、シイノは生きていかなければならないという事実を胸に、日常に戻っていく。マリコの記憶と言葉と共に。
シイノとマリコをつないでいるものは何なのだろうか。友情とも愛情とも慈悲とも違うし、それらすべてのような気もする。私に、そこまで強いつながりを感じられる相手がいるだろうか。これから出会えるのだろうか。
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