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エロゲ感想・月の彼方で逢いましょう

気づいたら転職していたものの、合間のニート期間を謳歌しすぎて社会復帰出来るか心配になっています。どうも、オム吉です。

もはや全くエクバはやらなくなってしまいましたが、細々とエロゲはやっていたので初のエロゲプレイ感想にチャレンジしてみようと思います。

主人公がモノ書き、という要素に影響された部分は少なからずあるかもしれません。しかしそれ以上に、「つきかな」が自分にとって思い出深い作品になったのと同時に、今までの作品をやった後には浮かばなかった読後感が溢れてきてしまったので、それを書き留めてみたいと思った次第です。

それから紹介前に、後発プレイヤー向けにさらっと。
攻略順は以下の通りで進めました。

うぐいす→きらり→霧子→栞菜→聖衣良→灯華→雨音

攻略順を見るような人は特に、雨音を最後に置いた方が綺麗かつ読後感もよいかと思います!
うぐいす先発は個人的におすすめ。謎を敢えて抱えながらの伏線回収が好きな人はこの順で、気にしない・好きなヒロインからやりたい人や、伏線を考えながら他のヒロインを読みたくない人はうぐいすを後半に持ってくるとよいでしょう。

なおきらり→霧子→栞菜→聖衣良の順は不同で大丈夫です。この4人に関しては好きなところからでよいかなと。


1.作品概要紹介・全体部分感想


公式ビジュアルからしてもう綺麗な予感

略称「つきかな」。2019/6/28発売で、ブランドはtone work'sから。
元々tone work's作品は「銀はる」をプレイ済みで、えらく気に入っていたためレーベル自体が気になっていたのですが、久々に友人との会話に出てきたのでふとやる気になり始めました。

これを書いた際に調べたことで発売日を知り、ちょうど5周年のあたりで始めたのか、と感慨深い気持ちになっています。
ちなみに銀はるの名白椛はずっと僕のTwitterのアイコンです。

キャッチコピーは「もし、未来と過去をスマホで繋げたら、あなたはどんな公開をやり直す?」というもので、従来のtone work'sらしい複数部構成×キャッチコピー通りのSF要素あり、といった作品になっています。
一言で言うならエロありのSTEINS;GATE、という印象を受けました。

複数部構成の通り、最初はスクール編として高校生からスタート。その後主人公や周りのキャラクターたちも成長した、社会人生活が中心となるアフター編の2部となっています。

この2部あるという点がそもそもポイント。これは話の起承転結に関わるという点ではもちろんそうですし、2つの時間軸があるおかげでキャラクターたちを取り巻く環境も大きく変わってくることから、ある意味日常パートを2回楽しめたような、そんな感想でもありました。

このよく言えば日常を楽しめる、悪く言えば冗長・飽きてくる、あたりまで含めて「tone work'sらしい」という感想がまず出てきます。一方で後半に述べたこのSF要素こそが、「tone work'sらしい」全振りを求めてプレイした人と「新鮮」と受け取った人で大きくこの作品への評価差が生まれてくる部分なのかな。というのが、自分のこの作品に対する解釈です。

また今作はヒロイン自体は計7名ほどいるものの、そのうち3名はアフター編でのみ出てきたり、残りのヒロインも一癖も二癖もあるヒロインたちのため、あまりヒロイン同士の絡みというのは強くないなと感じました。
このあたりも、特に銀はるのようにヒロインたちが同級生・世代の近い友達として3部それぞれにて多く登場し絡みが生じていたこともあってか、どこか雰囲気が違うように感じる要素かもしれません。

実際他の方の感想なども眺めていると、この部分について言及されている方はちらほらいらっしゃるようでした。「tone work'sらしさ」を求めて進めた場合、「なにか違う」と感じる部分は確かに少なくはないですね。

というのが、ストーリー全体の感想や雰囲気についての言及。
次にCG・イラスト周りですが、これは個人的に非常に好みでした。このあたりの雰囲気は既に「銀はる」から気に入っていた部分ですが、今作でも期待通り美麗なイラストを感じながらプレイできてよかったです。

例えばメインビジュアルにもタイトルにも据えられている「月」ですが、これがクローズアップされがちなぶん夜景や一枚絵で非常に幻想的な印象を受けるCGも多く、更に藤沢・江ノ島界隈が多く登場することも相まって美しいと感じる描写は大変多かったですね。

アフター編への導入画面。江ノ島の上に佇む月が美しい。
プレイ中に移り変わるところ結構すき。

かと思えば、海辺の描写や横浜・みなとみらいの明るい雰囲気、カフェなどの落ち着いた空間なども出てくるため色々な景色を見せてくれました。物語全体を盛り上げる装置としては、十分すぎる出来かなと。

ここまでは背景に関してでしたが、キャラクターたちの一枚絵もまた可愛いもの・綺麗なものが多く、こちらも満足でしたね。
ですがキャラ周りとなるとネタバレ要素も多いため、前半部分では割愛。

2パートある分枚数も他のゲームと比べると相当多いのでは…
その分、ユーザ的には聖地も含め巡りがいがあり楽しい要素の一つではありますが。イラストレーターの方々には脱帽ですね。

そして音楽周り。こちらも抜群ですね。
これも月を主題とした幻想的な雰囲気を穏やかに盛り立ててくれるような、落ち着いたピアノ調の曲を中心に素晴らしい出来だなという感想です。

自分自身音楽の知識が皆無のためあまり大きなことは言えないですが、「プレイ中に気になりすぎない」というのは既にもうBGMとしては効果抜群なのかなと。もちろん聴き直せば「ああ!この曲ね!」というエロゲあるあるは当然あるとして、ストーリーを進める中での阻害感・違和感のようなものを持っていない時点で既に素晴らしいのではないかな、と思っています。

一方Voあり曲もきちっと感動を呼び込んでくれる出来で、素晴らしいものでした。今や当たり前になっているルート別固有曲も、メイン相当の4名は当然のように完備していながら全体・挿入曲もあるなんて贅沢だなぁと…

加えて何より、これらがゲーム内ギャラリーで聴けるのがまた嬉しい。昨今厳しい情勢もあり、OSTがCD別売りというのも珍しくない中、toneさんは頑張ってくれてるなぁ、という印象でした。
Vo曲は流石にフルサイズについてはもうお買い上げしてね、でしたがそれでもショートで聴けるのは十分だよなと思っています。

執筆中にも少し聴きながら思い返していましたが、たまーにこういうのやりたくなりますよね。
ライブとかも過去あったようなので、行けた人うらやましい…

最後にシステム周り。これも一通り揃っていて、ゲームを進める中で不便だなと感じるところは基本的にありませんでした。
例えばテキストフォント変更時、縁取りが選べるのは地味にありがたかったですね。教科書体も見やすいので、何となく好みで設定しがちなのですがあるとやはり嬉しい。

即いじっちゃうんですよね、あとテキスト表示速度もいじりがち。

が、強いてあげるとすれば、選択肢までのスキップ機能とお気に入りボイス登録機能があると嬉しかったですかね。

今作はスクール編だけで√確定しないヒロインも多い関係上、細かいのですがフラグ立ての際にスキップよりも選択肢スキップがあった方が楽ちんではあるなと。また√確定後も何度か選択肢があるヒロインも中にはいたので、そのあたりで使えると痒いところに手が届くな、という感想でした。

お気に入りボイス登録機能も同様で、せっかくCVにつよつよ面子いるのに勿体ない…!と思った場面は数しれず。特にガン刺さりだった雨音と栞菜に関しては涙が止まらなかったですね…可愛いボイスだらけでした。

とまぁ、ネタバレなしでの感想・評価・作品紹介はこんなところでしょうか。やはり2010年代最後の作品らしく、ストーリー以外の完成度は「今らしい」一通りの機能・目玉をきちんと揃えていて、消費者目線としては非常に助かる部分が大きいですね。

その分ストーリーという部分、差別化、レーベルの統一感、といった部分への評価比重はどうしてもより重くなってしまうのかな、とも感じました。では、ネタバレも含んで掘り下げていきたいと思います。

2.ネタバレあり感想・考察

【ネタバレ注意】

これ以降は重大なネタバレを含みます。
未プレイの方、気にされる方はブラウザバック推奨です。

(以下空スペース)






















「自分としては素晴らしいと思ったし、感想を書きたいくらいの良作。でも評価に困る部分もある」というのが最初の感想ですかね。
特に先述しましたが、「tone work'sらしさ」を求めすぎるとSF部分ってそもそもいるの?ってなったり、あるいはそのSF部分でもつまづきというか、解釈が分かれる部分があるなと感じました。

ちょっとこのあたりは総評部分でも改めて触れたいので、まずはヒロイン個別で記述していきたいと思います。自分の攻略順の、

うぐいす→きらり→霧子→栞菜→聖衣良→灯華→雨音

の流れで記述していきます。
内容の都合上、どうしてもメインのキャラほど文章量が多くなるのは御愛嬌ということで。
また、このゲームの根幹に関わるエンデュミオン関連は別途章分けして最後に考察という形で記載しようと思ってます。

【うぐいす√】

とある推奨攻略順を参考にしたのですが、一番評価が分かれるであろう√を一番最初にやってしまいました。
しかし別に後悔はないし、この順でやるのも全然ありかなと個人的には思っています。√のまとまりといった点や感動したか?という意味では、自分としては感動したし、いい話だったな、という感想です。自分の単純な好みとして、グッドではないけど、ビター寄りでも未来が感じられるエンドというやつは嫌いではありません。

また√を通しての合言葉にもなっていた、「同じ景色の中、2人の速度で」という言葉もよかったですね。最初は恋人としての距離感、進み方を定めるための言葉だったのが、文字通り最期の瞬間まで2人で歩もう、という意味にも繋がってくるのはとても感動しました。

大破した新型ロボから旧型ロボで意思を引き継ぎラスボスを倒す瞬間くらい好き

とはいえ思うのは、「本当にこれでよかったんだろうか?」感は強いですね。
これも多くの人が思うであろう部分ですが、あれだけ最期のうぐいすの決意や気持ちを聞いておきながら、それでも生き返す手段をとってしまうの?という点。
そして、その後やり直した(過去改変と統合された)世界での奏汰はいいとして、残された世界の奏汰はどうなってしまうの?という点。
これら2点に関しては、やはり引っ掛かりを覚えました。

ただまず1点目の生き返り、もとい奏汰とうぐいすが親密になりすぎず治療に専念出来るような世界の選択に関して。これはもう、ひとえに奏汰のうぐいすに対する愛が強すぎた、としか言いようが無いのかなと思いました。

まぁここまで言われてしまえばね。

事実、自分がもし妻とこのような形で死別してしまい、その際にエンデュミオンが手元にあったとすれば、恐らく同じ手段を取ると思います。
結局のところ、愛している人には生きていてほしいですよね。それが自分とは関係が無くなってしまう場所であったとしても、その人が生きてさえいてくれるのであれば自分も喜んでその手段を取ってしまいます。

で、奏汰の場合も同様に、ただうぐいすへの愛ゆえに生きていてほしいと。そう願ったがゆえの改変ということであれば、読者側がどう思えどこれは改変するに至るのは非常に自然なものであると考えます。

ですがこのルートは、それを神視点で眺めてしまっているからこそここに違和感を感じてしまっているだけという解釈をしています。要は、「当事者であった場合にお利口さんになれますか?」というだけかなと。そして自分はお恥ずかしながら、そのお利口さんにはなれないなぁ…と感じるので共感出来たのかなという感想ですね。

2点目の残された世界の奏汰はどうなってしまうの?という点。こちらに関してはここまで書いて改めて、月の作用で世界が統合されているからこそあまり考えなくてもよいのかなと思いました。また、たとえ残される(≒パラレルワールドの可能性が残る)のであったとしても、きらりの言葉を受けたうえで、残された奏汰はきちんとうぐいすの意思を全うして、これからも物語を紡いでいくのかなという好意的な解釈をしてはいます。

だからこそ、改変後の世界でも再びうぐいすといい感じで出会えてしまうのは少し虫がよい気がするというか、もっとビター寄りで終わっても良かったんではないかなぁ…という気はしてしまいますね。例えば雑踏の中で、ふとうぐいす(と奏汰は認識出来ないが、忘れられないなにかに心を動かされてしまう)とすれ違うに留まるとか。
これであれば、もう少し読者側というか神視点側でも腑に落ちやすくなるんではないかなと感じました。要は、残された奏汰の姿も見ているからこそ、うぐいすが救われたというだけでも既に目的は達成出来ているし、共に過ごした記憶をほぼ捨ててでもそちらに進んでいるのであれば、それ相応の代償も必要なのでは?と思ってしまいましたね。

あとはメタ的な意見ですが、せっかくエロゲなのであれば選択分岐で過去改変も厭わず救う世界と、うぐいすの意思を尊重して救わなかった世界の2つを選べるようにしてもよかったのかなと。もちろん分量的には難しいと思いますが、「エロゲ的な正解」を求めるのであれば、こちらの方がより正解というか、消費者目線に立った際はそれぞれの好みに上手く寄せられたような気はします。とはいえ、人様の人生の大きな選択による追体験を簡単に選べてしまうというのは、ライターにとっては伝えたいことと違う形で読み手に伝わってしまうことにも繋がりかねませんし、難しいところですね。

とまぁ、シナリオ全体に対する所感はこのようなところでしょうか。
繰り返しになりますが、自分としてはこの√は感動したし、嫌いではないです。ただ、とにかく評価が分かれそう…というところと、完全に納得しきらない部分もあるという点で「一番良かった」にはならない√でした。

以下、余談や雑記。

まずサブキャラについて。この√では特にサブキャラが強かったように感じます。月並みですが一番はやはりきらり。

「ねぇ、今どんな気持ち?」
煽りからのこれ。カッコよすぎん?ライバルに言い放つの流石

正直きらり√でのきらりよりも、うぐいす√でのきらりの方が好き…
まぁあちらはサブキャラ√ということもあって仕方ないし、あちらでの魅力も当然掘り下げられるんだけども。ちょっとカッコよさがね…

もちろんきらりだけではなく、うぐいすの死を明かしてからの友人たち、聖衣良のくだりもよかった。奏汰も含めてこの2人をちゃんと応援してくれているのが分かったし、だからこそうぐいすの死に際して全員の接し方が替わっていくのも、悲しさに拍車が掛かっていたと思いますね。病室内の結婚式はひとしお。

次に恋愛描写、もといイチャつきについて。
ある程度先述もしたとおりですが、「同じ景色の中、2人の速度で」を最後に活かす分の説得力としてもさることながら、敢えて最初にこの手の歳上お姉さん枠がやりそうにない甘々展開も見れたのはグッド。
これもよくよく考えると、うぐいすの「普通に出来ることを普通にしたい」という願いから来るという解釈も出来なくはないのですが、こうした空回りイベント的なのは個人的に好きですね。

これとか最初「実はそういう」ヒロインなん!?ってニヤけた記憶
それはそれでいい(遺言

しかしこのあたりの空回りは、歳上ヒロインだからこその耳年増的勘違いによるものが判明。結果として「同じ景色の中、2人の速度で」が生まれるきっかけとなっているのがいいですね。

かと思えば、アフター編では大人の余裕、正妻の貫禄を見せつけるシーンもしばしば。こういった関係性の変化が見られるのも、2部構成だからこその強みが見え隠れしていて攻略中違った笑顔を浮かべられました。

こういうところもきらりがいい仕事をする

そして最後にエロゲだからこその、肝心のエロシーンについて。
シーン数は単独5回と最大のものの、初回は病気の関係も相まって本番なしの実質4回。

個人的によかったのは、敢えて初回がコンドームありだった点。お互いがゴムを準備してしまっていた、という描写に繋がったり、ゴムありを選択したからこそ後半の中出しにも意味が強まるのがいいですね。特に死別があるからこそ、中出しに精神的な繋がりといったエロ以外の文脈も付加できているのはグッとストーリー性を高めるのに役立っていると思います。

ちなみに本当は、選択肢固定機能があれば中出し選択肢固定にするくらいには中出し派です。でも、ストーリー的に意味があったり、布石として避妊を選択するのは結構好き。
同じ理屈で「ピルを飲んでいる」宣言があるタイプのエロゲも好き。

うぐいす√はこのようなところでしょうか。
エンデュミオンの謎も残したまま別ルートに進めたので、この後の話でもいちいち考えられたのは面白かったですね。

【きらり√】

正直「エロゲのヒロイン」という性癖判定装置の側面からすれば、今作のヒロインの中で最も筆者の好みから外れているので、結構消化テンションでやってました。うぐいすの後ということで、余計に謎も気になっていたし。
また、アフター共通後の攻略にもなるので、その共通部分でのエンデュミオンの扱いにも頭が行っちゃっていましたね。

最初は。

よくよく読み進めて行くと、いやはや芯が通った女性はやはりカッコいい。うぐいす√でのカッコよさから続いての攻略だったので、逆にそのよさの説明にもなって、納得感は非常に大きかったですね。
またこの√では奏汰の有能さにもより補正が掛かっていたというか、より編集者としての能力にフォーカスが行っている分同じ社会人として奏汰のことを尊敬出来ました。

自分自身にも小説家になれなかったという後悔があるはずなのに、それを乗り越えたうえで憧れの職に就いた変人もとい天才を、ここまで献身的にカバー出来るのはすごい。
サラリーマン人生の危機に陥っても逆転の一手を打てる25歳、果たして世の中に何人いるんだろうか…

総じて、サブキャラであるという制約がある中でもきちんと風呂敷を畳めていて、思わぬ良さを体感できてよかったなという√でした。
でもきちっとエロゲ的な、ヒロインの可愛さや家庭的な部分も完備してくるあたりは安心出来ましたね。メインが重いからこその箸休めにピッタリな√、という感想です。

こういう家庭要素はズルい。個人的な好きポイント。

エロシーンはサブキャラということもあり2回。
大人ヒロインかつ痴女寄りであることを活かした、主導する部分が多い内容となっていました。刺さる人には刺さると思う(好みではなかった顔つき)。
ただお約束の、強気キャラの逆転部分もあるのはよかったですね。サブキャラだからこそ突き抜けるものもありがちな中で、ちゃんとそういうのは踏んでくれるのもありがたかったです。
あと、エロゲで非処女ヒロインって地味に珍しいですよね。痴女キャラでも実は、みたいなパターンですら無いのちょっと驚き。

きらり√はこんなところですね。
キャラがどうしても我が強いというか変人キャラなぶん、他キャラとの絡みというよりもきちんと向かい合う分きらりに割く配分も多かった印象でした。

【霧子√】

消化気分その2。√分岐の際やけにシゴデキ女性出てきたな…と思っていてその分ちょっとエロシーン方面に期待してました。
ところがどっこい、リアルな婚活…という題目の元、嘘の関係から始まる恋の展開になってなかなか面白かった。こういう話結構好き。
あんまり意識していなかったのに、やってみたら好きになっていたタイプのヒロインでしたね。

この話では、婚活のリアルみたいなものが垣間見えて特に「市場価値」の話の部分で霧子が高望みであることを指摘される部分、なんだか世相を反映しているように感じましたね。自分自身が結婚しているのも相まって、完全に他人事としては見れなかったです。

でも実際問題、こんな美人で仕事できる女性が放って置かれているってどういうことなの…この世界の男ってなかなか見る目無いんじゃね、になりました。

このレベルの人でも言われるんだからさ、世の売れ残り女性もっと考えたほうがいいよ

逆に世相という点で言えば、奏汰ってそもそも婚活を25でするような人で、しかもまともに働きつつ容姿もイケメンなんだからもっと婚活パーティの場でも入れ食いになってよいのでは…と思いましたがまぁそこは御愛嬌ということで。

と思っていたら、漫画部の女性陣からはモテていてちょっと嬉しかった
そりゃ本業でもきちっと結果も出してるんだしそうだわな

で、これを見た霧子は一度身体を重ねているからこそ…自分と釣り合っていないのでは、と疑心暗鬼になってしまいます。
そしてトドメのこれ。

サブルートでもちゃんと伏線回収になっているのすごい

これを元に奏汰はフラレてしまいますが、ここでもきらりが登場。
逆転の一手を授け、文章を書ける主人公だからこそアドバイスとして、編集中の「ガチ婚活」を使った盛大な告白をかまして終了です。

いやいや、歳上キャリアウーマンの扱いとしては最高なんじゃないでしょうか。サブキャラだからこそ風呂敷も広げすぎずにやれてる感じがあって、個人的には非常に好きになりました。
こちらも、箸休めとしてはぴったりかつ期待値以上だったというのも相まって印象的ですね。

エロシーンはこちらも2回。
ただし、同じく歳上であってもこちらは年下のやりたいことを上手く包容するような内容かつ、「歳上のM」要素もあってかなり内容も好みでした。歳上だからこそ隠語言わせる系、いいよね。
きらり同様に、こちらも非処女と思われる描写やセリフがあったので珍しいな~といった印象。年齢的にもこの辺はリアルなんですね。

という感じの霧子√でした。
ノーマークだった分の破壊力があったのと、正直エロシーンや恋愛描写でどんどん好きになった感はありますね。

そして何回見ても、やっぱりこの人に旦那や男の影がないの意味分からん…
あと逆パターンとして、奏汰側が霧子の男の影(実は幼馴染でしたとか、兄弟でしたとかそういうオチだとなお良い)に気づいて翻弄されるという筋も見てみたかった感。その方が美人シゴデキスタイル抜群設定も活きたかも。

【栞菜√】

消化気分その3。しかも、他の√で全く出てこない分実質√開始時点でまだ所見であり、消化勢で一番やる気が出なかった…のに、蓋を開ければ作品内で1、2を争うレベルで好きになってしまったヒロイン。ある意味作品の性質に翻弄されてしまっている気がします。

…でもよくよく考えてみたら、この手のオタク女子かつ恋愛慣れしていないヒロインなんて、自分の好みじゃないわけなかった。そんなヒロインでした。

ハミダシクリエイティブの常磐華乃が好きだしそういうこと。
あと千恋万花の常陸茉子もそう。

内容としては、部内事情により漫画部に移動となってしまった奏汰が、恋愛漫画作家担当として最初に受け持つこととなったのがこの栞菜。
しかし漫画家としては伸び悩んでおり…ヒット作こそあれど、その後続けないいわゆる一発屋になりかけていた作家で、その状態の作家に対して外の風を入れよう、ということで担当となったのが奏汰だったという流れ。

しかも売れなかった理由というのが、その恋愛への不慣れさ故のリアリティに欠けるという部分から来るマンネリ化だったのがまた「エロゲ」「萌えゲ」としての性質と非常にマッチしているのなんの。
こうした事情から、「取材」と称してほぼデートのような体験を繰り返していくうちにお互い惚れ合ってしまうところなんかは非常に見ていてニヤニヤものでした。

「こういうのでいいんだよ」
この√での奏汰は特にモテる部分が目立つ気がする。社会人だから?
学生の失敗経験も含めての成長を感じる一節

また、奏汰も取材や仕事と称して栞菜へ会いに行くことが増え、きちんと家に行ったうえで話す描写が多いのも個人的にはよかったですね。
上の注釈にもありますが、スクール編でのうぐいすや灯華との甘酸っぱい経験があってこその様々な栞菜への発言・行動なのかな、とも思うとこの作品の根幹にも間接的ながら関わっているようにも思えますね。

後にもメインヒロインたちの考察で書きますが、この作品は「過去」「今」「未来」の3点が大きく関わる中で、エンデュミオンを抜きにしても過去(ヒロインとの過去、小説家を諦めた過去)をきちんと奏汰なりに消化したうえでの発言と捉えると深く感じる

そんな栞菜はといえば、「取材」を通した体験で自身の創作物にリアリティを反映させていくと同時に、奏汰への気持ちや栞菜から見た奏汰のビジョンをそのまま漫画へ反映させてしまう、純粋な可愛さというものをこれでもかと見せてくれます。

ところが、そんなこんなで漫画が持ち直せたかと思ったのもつかの間。流れに乗りきれず、また奏汰も栞菜へ入れ込み過ぎていることを自覚し距離感を測りかねはじめていたところで、栞菜は漫画をやめ函館へ帰ると言い出します。
しかし奏汰は諦めきれず、わざわざ足を運んでまで栞菜に対し、漫画家として、そして伴侶として自分と来てほしいと告白するのでした。

銀はると違って敢えて函館山選ぶのいいね。

…いや、ほんとこういうのでいいんだよ!!!8億点!!!終了!!!!!
これぞ「tone work's」って感じ。なんてこと無い、日常の中の課題を2人で少しずつ解決してすれ違いを埋めていく。これでいいんです。ファンタジー抜きに等身大の関係性を深めていく。素晴らしい、本当に。

この後お約束(?と勝手に思っていて個人的に大好物要素の)名前呼びあいっこまで披露してもらえて、なんというか本当に「これでいいんだよ」の宝庫でした。

函館って本当にこういう町並み多いのでロケハンもしっかりしたんだろうなって印象
湯の川温泉の足湯のところとか特に記憶のまんまで声出た

また今作はサブキャラであってもきちっとエピローグまで用意もされているので、前述の2人も含めて読後感が非常にいいのも特徴。
特に栞菜の場合は実質2段構えになっており、奏汰の進めていた電子版プロジェクトが無事進んだこと、そして2人の関係性も更に進みそうなこと、の2段をきちっとオチで持ってくる始末。

うん、こっちの3部作の方がよかったか?と錯覚
セカイの謎なんて頭から抜け落ちた筆者

これ、なんでFD無いのかなぁ?不思議ですねぇ…

という形で、色々思うところはあるものの大満足となった栞菜√なのでした。

気になるエロシーンは、サブキャラの例に漏れず栞菜も2つ。ただし構成とキャラの性格上、最後に詰め込まれてるのはよくも悪くもといったところ。
内容はきちんと(?)処女の初夜と、同棲後のイチャラブでカバー範囲も上々。このイチャつきの量から考えると総量にも納得感はあるものの、せっかく素材がいい(男性慣れがない、少女漫画で耳年増、銀髪、巨乳、云々)だけに料理のしがいもありまくりなのが残念というか悲しいところ。

や、書けば書くほど思うけど本当にFD欲しい…ある意味この作品のヒロインでは一番FD向きだと思うし、この作品でなかったらもっと伸びていたと思う分惜しい。「もうお腹いっぱい…」となるくらいの甘さを浴びられるキャラって、意外と選ばれたキャラのみになってくると思うんですよね。

そんな箸休めにしては非常に豪華だな、と感じた栞菜√でしたが、このキャラは奏汰と同級生な分スクール編にも出ていたらもっと面白かったろうにな、と思うと余計に残念。でもスクール編が無いからこその恋愛慣れの無さがよいのかもしれないし、スクール編では攻略不可なもののアフター編でようやく…とかも面白いかも。

とにかく自分の中では好みな分、色々意見も出てきてしまう√でした。
日常や問題自体の題材、そして解決の進め方も含め「tone work'sらしい」が一番詰まっていたと思いますね。CVも大好きな名白椛と同様鈴谷まやということも相まって、好みを集めまくった素晴らしい√でした。

また、地味に本作唯一のバッドエンドがあり、攻略後に知りました。
そこで急に?って感じだったのでそれだけはよく分からなかった…

【聖衣良√】

サブキャラを終えメイン枠へ出戻り。
しかし聖衣良もエンデュミオン関連には絡んでこない分、実質サブキャラを少し豪華にしました、という印象。
ただし、今作で最も「tone work'sらしい」2部構成を存分に活かせているのがこの聖衣良√の特徴とも言えますね。

2部構成を、この作品において存分に活かせているかどうか?という観点では圧倒的に灯華でも、「tone work'sらしい2部構成」となると聖衣良に軍配が上がりますね。

そもそも登場時の時点で小6のためことエロゲという観点から無理もないのですが、その分小さかったあの子がこんなに…を2部構成のおかげでやりやすいため、上記のような感想を抱くに至りました。

(アフター編のみ)←これすき
年齢を明言してしまっているからね、仕方ないね。

さて√の内容としては、一言で言えば奏汰の背中に恋した女の子が、今度はその背中を押してくれる話、です。

普通であれば距離が近めの頼れる兄ちゃんくらいにしか思わないような関係性の2人ですが、この√では少し踏み込んだ部分の問題解決もしてくれることで、聖衣良も幼いながらに恋を自覚していくのが特徴。
その後、憧れや恋心をそのままに努力を重ね、着実に夢へと近づいていく聖衣良は素直に読んでいてすごいなぁと尊敬してしまいました。

これに尽きる。エクバやっていたときも同じことを思ったので、個人的に共感は強い

一方奏汰の方も、スクール編でこそ幼い子が慕ってくれているのか、もしかすると…くらいで終わってしまうものの、アフター編では徐々に聖衣良の気持ちに気づき、かつ気づくからこその遠ざけ、負い目、葛藤も含めて関係を深めていくこととなります。

距離の近めな妹分だからこそ思ってしまうアレ
この辺も同じ社会人として思わず共感してしまった

しかしこのプールでの一件もあり、ギクシャクしてしまった2人の関係のまま聖衣良の体験入学期間も終わりついに実家へと帰ってしまうことに。
ここでようやく、奏汰は本当に大切なものに気づけ、自身の気持ちの整理と、聖衣良への向き合い方にも折り合いを付けられ告白に至るのでした。

高校生相手であってもちゃんとカッコ悪い自分を見せられる男、いいと思います

なんというか、社会人やっててかつ実際にいとこや血縁関係にこういう妹分的なものがいる人ほど共感しやすい√なのかなって思いますね。
こういう関係値の人ほど自分の丸裸な感情をあけすけにするのは難しいし、かつ頑張っている姿をこれでもかと見せられるとどうしてもこちらに思うところはあると思うんです。それが自分の立場が歳上であれば尚更。

そういう観点でいくと、このあたりの心情描写はかなり奏汰に寄り添えているのかな、という感じがしましたね。
かつ、人の生死に関わるわけではなく心情や、日常の中の問題にフォーカスしていて、時の流れも汲んでいるあたりで「tone work'sらしい」をより感じる一因だったかなとも思っています。

そして後半は、まずお待ちかねのイチャつきタイム。まぁこれは説明不要でしょう。女子高生を存分に活かしたかわいさをこれでもかと見せてくれますし、特に水着描写を出してくれたのは良かった。2回目のプールデートも出してくれたのは嬉しかったですね。
このあたりの、何でもない日常でのかわいさ、甘さを描写してくれる部分も「tone work'sらしい」を感じられた部分でした。

それ以降は奏汰の夢の部分にもきちっと落とし前をつけ、まぁ職権乱用の部分は否めないものの無事小説家としての肩書も手に入れられたり、聖衣良も一人のデザイナーとして進学、それからお互いの結婚衣装も作成出来て…という形に。
そしてもちろん、その衣装をまとい結婚。プロポーズまできちんと描写する、というまとめ方でした。

うーん、なんだろう。後半はちょっと駆け足気味かな…という印象。
これも栞菜√で感じたことと一緒なんですが、聖衣良もやはりこの作品だったからこそ相性が悪いというか、ある意味作品の被害者感はある。
日常パートでは存分に可愛さを見せつけてくれており、想いが通じ合ったシーンも綺麗だった分、「この作品でなければ…」感も否めないそんなヒロインでした。刺さる人も多いと感じる分、別の作品であったり、通常運行のtone work's作品での出演やFDなどで補完されるなどの動きがあればもうちょっと違う評価にもなったかもしれません。

分量的に仕方ないんですけどね。どうしても後半が展開早すぎるというか、強引に畳み掛けてる感も否めない流れになってしまっているので、もうちょっとゆったりと基盤が固まる描写さえあれば大化けしていたなという印象です。本当に栞菜といい聖衣良といい、他の作品で見てみたかった。

気になるエロシーンは、一応メイン相当なので4つ。
内容的には、制服あり初夜、お風呂、水着でのバレないように系、裸エプロン幼妻系。どれもバランスよくあって、イチャイチャの流れを存分に汲めておりかつお約束もきちんと制覇出来ていて素晴らしい。実用性も高いラインナップでした。

個人的にはオナニー関連の言及があると非常に好みなのですが、流石奏汰さん。きちんと聖衣良の失言を聞き逃さず、「自分でって…まさか」のくだりをやってみせてくれます。これほんとすき。

という、聖衣良√でした。このキャラも、刺さる人には本当に強く刺さるだろうなと思うだけに色々ともったいない感じがしました。たまたま自分にはガン刺さりではなかったものの、かわいさは存分に接種できたのでメインの箸休めとしてはとてもありがたかったですね。
ただその分、そして本題に絡まない分、冒頭にも書いた通りサブキャラを少し豪華にした感じ、という感覚を持ったのもまた否めないキャラクターでした。

ですが総じて、自分が本来エロゲに求めがちなものを接種出来た部分が多く実用性も高かった分、個人的には好みな部類の√でした。

【灯華√】

長い長い箸休め、もとい消化を終えいよいよ本丸へ。元々は、絶対メインというかtrueないし正史扱いはこの人でしょ、と思って最後にやろうと思っていましたが、どの推奨攻略順を見ても最後に書いてあるのは雨音だったため疑いながら√入り。そしてこの√もまた、うぐいす√同様に評価が分かれそうだなぁと感じた√でもありました。

しかし一方で、聖衣良√評でも書いた通りこの作品の特性や恩恵を最も受けている√でもあるため、謎解きや読み進めている際のワクワク感は最も強かったと感じています。
これが、最初の作品評としても書いたSTEINS;GATEみがある、という部分に繋がっていると考えています。全√の中でも一番LIME絡みのSFギミックを活かせており、かつそれを通した過去と未来とをリンクさせた謎解きが進んでいく様は例のそれに近いと思ったためです。

その上で、敢えて√全体を追うわけでなく結論から書いていきますが。やりきった上で思ったのは、気になった部分、納得のいかない部分が多いですね。要は謎解きがウリの√だからこそ、そこに至るまでの各キャラの行動の粗さや謎を解ききれていない部分が気になる。

確かに雨音√も踏まえると正史、ないし真のメインヒロインとして据えていないからというのは大きいのかもしれませんが、それにしてもこのテイストで行くなら「想像の余地」としすぎている部分が多かったり、ちょっと心理描写的に無理があるのではないかな、と感じる部分がありましたね。

というわけでそれらをぽつぽつと上げていきますが、まず1点目は奏汰の動きがちょっと子ども過ぎるように感じました。
具体的にはアフター編以降で過去の奏汰と繋がった際、過去の奏汰の動きがあまりにも無鉄砲すぎるというか、若いとか童卒したとかではいくらなんでも説明出来ないくらいガキに見えてしまうのが気になりましたね。

急なヤッたすき、高校生使いがち
その後の奏汰のLIMEもすき。そりゃそうなる
わかってる(わかってない

…まぁ、18歳の少年って観点では分からなくも無いんですけどね。
確かにずっと好きだった少女とようやく心でも身体でも結ばれて、それに合わせてそんな好きな子からあれだけの事実を打ち明けられる。若さも相まって、変な方向に男らしさを発揮してしまうのは、あるあるといえばそうですよね。

とはいえ自分が社会人だからなのか、あるいはもっと言い方を悪くしてしまえば老けた、枯れてしまったのか。仮に大好きな少女のためだったとしても、殺人犯への復讐なんてのは自分なら止めていたと思います。やっぱり好きな子にはこんな形で復讐という茨の道を走ってほしくないよね。

ちなみにこうは言ってますが、こういう方向に持っていくうえで敢えてセックスを用いるのはエロゲ的に好き。初夜がこのタイミングというのもいい。うまい具合に、セックスをお互いの愛の形ではなく共依存の形として用いられていると思います。
具体的にはリトルバスターズの棗鈴だったり、天気の子のゲーム版(存在しない記憶)を思い出しました。

最終的に奏汰は増岡を手に掛けることは無かったものの、少し自分の中では思うところがあった心理描写でした。

一皮むけたってことなのかな
この展開をするにしても、奏汰自身は最初から止めるつもりでいてほしかったなぁ

2点目は、逆に増岡が灯華を手に掛けるのをためらう場面ですね。これは本当に読んでいてどうしても引っかかった。

まずこれだけに全然収まらないレベルの悪事があるのに
そうはならんやろ

いや画像だけで5枚分くらい行きそうな犯罪経歴の極悪人が、その過程で頃した1人の娘、程度の事実でこの期に及んでうろたえると思えないんですよね。

結局この後灯華は未来奏汰の現地調査の成果も相まってドクターヘリで無事運ばれ一命をとりとめた(?という解釈をしています)と思うのですが、灯華を生存させる、と増岡を手に掛けない、を両立するにしてもこれはどうなんって思っちゃいますね。
もう少しこう…例えばさつ意を無くさせるなら、未来奏汰の雨音筋の重要な情報から過去奏汰が上手くやるとか、そういうのでもよかったんじゃないかなと。

この後ほぼすぐラストに繋がるだけあって、色々頭に引っ掛かりを覚えながら読み進めることになりましたね。

そして3点目。物語開始直後の冒頭部分の解釈について、綺麗に解かれていない気がしています。
後々よく考えてみるとこれはいわゆる「皆まで言うな」なのかもしれませんが、一周目もとい未来奏汰が経験してきた最初の流れでの灯華の最期、という解釈で合っているのかな?

3Dプリンターの銃は増岡戦でも出てきたし、かつ発砲も出来ていた

明確に奏汰への最期のセリフと取れるし、アフター編で明らかになる増岡の死因も考えるあたり、そもそも灯華の手による復讐計画自体が実行されなかった結果弾が入ったまま、と解釈しています。

匿っていて、最期を看取った三崎によればどうも癌だったらしい。この世界軸では

この流れがどうして成立するのか?は後ほどエンデュミオン関連の考察箇所でも記したいと思いますが、逆に言えばこれが成立していて、ここで一旦灯華が亡くなっていないと後の物語自体も成立しないのかなと考えています。

そういう意味でも、謎解きが主軸の√だからこそ何かしらの形で言及されていないといけない気がする…というか、もうちょっとぼかさずに伝えられる文面があってもよいのかな、という気がしました。

以上が、灯華√における気になった部分、納得のいかない部分ですね。
このあたりは人によって分かれるかもしれませんが、ようやくプレイ中の違和感を文面に起こせた感があります。

ここからは√関連の余談。
まず主軸に関係ないヒロインの立ち回りが良すぎる。特に栞菜、いい女過ぎる…このおかげでより栞菜のことが好きになりました。

俺も大好き(直球
あの恋愛慣れしていなかった人が、ここまでになるなんて…

また、うぐいすにもけじめをきちんと付けるのもいいっすね。このあたり、未来奏汰が非常に大人に感じて頼もしい。

きっとうぐいすも少なからず思うところがあったんだろうなと
でなければお見合いの話なんてわざわざしないよね

…書いていて思ったけど、過去奏汰が特にガキすぎると感じてしまうのは未来奏汰のこの男前ムーブがあったからなのかもしれない。
個人的には他のヒロインをきちんと振ったうえで一人を選ぶタイプのtrueとかライトノベルは大好物なので、こういった描写を一手間加えたのはいいなと思いました。なんというか選ぶ際の説得力が違ってくる気がする。

それから、深谷通信所のことはずっとこの√をやるまで勘違いしていましたね。
攻略順的にうぐいす√でしかまだエンデュミオン関係を上手く見れていなかったので、さんざん過去から匂わせていた電波塔のくだりが、実はエンデュミオンの通信の一助になってるんやろなぁ…という考えのまま読み進めてしまう、まんまとミスリードに載せられる読者になってました。

こんなわざわざ説明いれる必要ある?って思いながら読んでた
そりゃスマホと電波と言われればねぇ…

まぁ実際には、灯華のいう「墓標」のみが正解だったんですが。
ちょっと読み進める際に通信所がどのような機能をするのか?が楽しみだった分、逆に言えばこの√でしか活きないのか…とちょっと残念にも思ったり。

そしてエロシーンについて。この√もメインの流れに則り4シーンありで、初夜、お風呂、野外、ラブホの4種。
内容的には、やはりストーリー性も相まって共依存気味。先述もしている通り、一番ツールとしてセックスを上手く用いることが出来ていると感じる√でした。

かといってこの手のシナリオ重視なエロゲや√においての欠点となる、肝心の(?まぁモノによるけど)抜き性能についてですが、こちらも高めなのが素晴らしい。
というのも、共依存に足突っ込んでる話におけるシーンって個人的には「本当にお前たちはこれでええんか…?なぁ」と思いがちなんですが、この√では美麗イラストや流石のcv.風音も相まって、更にその性能を高めてくれている気がしています。

ストーリー性の担保も担っているからか、プレイ内容も
・初夜の中出しのくだりがうぐいすと対になっており、初夜からそうする
・最後に正常位、かつ回数が一番多い
というものとなっていて、こだわりを感じるポイントでした。

抜き性能の面というか完全に個人的な好みとしては、ごっくんコメントしがちなところと、イクとこみてて~関連はグッと来ましたね。こういうの好きがち。
それから下着はちょっと子どもっぽくないか?とも思いますが、親のくだりとかも考えると深いな、とも取れるのがいいですね。きっと親からちゃんと買い与えてもらったりすることが無かったんだと思う。あと個人的な好みとして、若干子どもっぽくない?くらいの下着も好き。

灯華は自分が好きになりがちなショートカットヒロインだけあって期待していましたが、そこをエロ部分でも裏切られなかったのは非常によかったです。

総評としては、色々気になるポイントもあったがエンデュミオンのギミック自体は最も活かせていたのはよかった。特に落書きの有無で過去と未来のリンクをより強固に感じられた部分はグッド。
そして後半に行くにつれて過去と未来の場面転換の多さは多少気になったものの、双方の頑張りがリアルタイムで移り変わることで未来奏汰が置いてきぼりになりすぎることは避けられていた。ただし直接未来の決定には繋がっていないことと場面転換が増える分、没入感には欠けていたとは思う。

というのが、灯華√の総評ですね。
嫌いでは無いけど、シナリオとして抜群に好みかと言われると違うかなという√でした。

【雨音√】

こういうのがいっちゃんカッコいいんだから。最強√。FDが雨音なのも納得、至極当然。そんな√。
まずcv.くすはらゆいの金髪ツインテヒロインの時点で負けはなかったのが、世界の根幹を最も解き明かす√であることに加えて素材を限界まで活かしたイチャつきに、作品全体を通した答えのメッセージを一番反映してくれていることも相まってこの圧倒的正妻感を出してくれているのだと思う。

要するに筆者的には一番好きな√ですね。そして見ている感じほとんどの方も、この√評価が一番高かったと思います。そのくらい完成度が圧倒的に感じたし、一番ビジュアル的にも好みだった分最後に回してよかった…と思えた√でした。

どこから切り取ったら上手く伝わるかわからないのですが、この√の好きな部分をいくつか上げていきたいと思います。
まず1点目は、イチャつきが長いことですかね。
これはcv.くすはらゆいでtone work's作品だから…という部分はもちろんありますし、素材をきちんと料理しきれているという意味でもいいところです。

しかしそれだけではなくて、元々育ちの背景もあり心を開きにくかった女の子がだんだん雪解けをしていき、やがて奏汰と深く心の繋がりを得ることで過去を肯定し今、そして未来を生きる、という流れに持って行けているのがいいですね。
そしてその雪解けにあたる期間、要はイチャつきを敢えて長めに取ることで、奏汰と雨音のこれからに説得力を持たせられているのがいい。その説得力の持たせ方も、何のことはない学生の夏休みの体験の積み重ね、というのがまたいい。

結局男女が仲良くなるきっかけなんて、何でもない日常をどれだけ一緒に過ごせたかどうかというのが大きいですよね。仲を深めるのにわざわざ世界を救う必要はないし、一夏の大冒険をする必要もない。楽しいからとゲームやバイトを一緒にしていたら自然と仲良くなって、その結果花火を一緒に見る、海水浴に行く、なんて素敵な話じゃありませんか。

この一枚絵正直ゲーム中で一番好き
浴衣の柄にも意味があるの素晴らしい

そしてそんな体験たちを、ゆったりと追わせてくれるのはtone work'sお得意の分野ですよね。銀はるやってる時にも思ったけど、「何もないけど関係は進む」の表現方法が上手すぎる。
そのうえで、ダレるかダレないかギリギリのあたりで話が少し進むというのもよかったですね。個人的には塩梅がちょうどよく、そろそろ本題も進まないかな~気になるな~くらいのところで次の展開があるのがよかったです。

この塩梅は人にもよるんでしょうが、少し焦らされてるなくらいの方が自分は好みですね。そして本題部分もある程度誤魔化せてしまうくらいの可愛さをキャラに持たせられていればいるほど、その作品内での評価にも繋がっているイメージがあります。
この部分と、ストーリー性自体の部分の両輪のバランスが大事。

2点目は、やはり圧倒的タイトル回収力。
やった人たち、「これ」嫌いな人おらんやろ?流石に。

タイピング演出で脳汁出た。

端末リセットまでの最後の1回、ふとした言葉に引っかかりこれを試す奏汰はん流石にカッコよすぎる。この画面の中で解除音が響くのもいい。
んでもってその1回、リセットされることが分かっていても最後を奏汰に託す雨音もいい。これまでの2人の関係の総決算として、奏汰に任せた結果のタイトル回収には脱帽ですね。

この直後の雨音の行動についてはエンデュミオン関連の部分でまた詳しく触れようと思いますが、この解除シーンこそストーリー的には一番の山場だったように感じます。

「こっち」があるからこそkanataが輝くのもいいね。

色々と伏線、特に月虹に関しては一貫してこの√で語られてきていたのでそれも相まっての回収は素晴らしいの一言でした。

ずーっと言ってたよね。月虹を実際に見てみたくなる

3点目は、盛りすぎ感もあるレベルでの個性の積み重ねですね。これによりキャラクターが他のキャラたちと比べてもトップクラスに立っていると思います。
その属性も相まって他の√ではあまり出てこないものの、代わりにと言ってはアレですが√にさえ入ってしまえばこれでもかと言うほど雨音を浴びられるのは大きいですね。

そもそも上げていくだけでもキリがないですが、
・cv.くすはらゆい(もう個性の域に入ってると思う)
・(過去が過去のため仕方ないが)厨二系
・金髪ツインテール→ロング
・ルートビア愛飲家
・ベーグル愛好家
・ダーリン呼び
・凄腕ハッカー
・貧乳
・↓これ

攻略中一生これ見るけどマジでかわいい
台詞サルベージ中に見つけた一幕をピックアップ

と相当マシマシですよね。いや、好きな属性ばっかで助かるんですけどね!
コッテコテのステレオタイプって昨今意外と浴びれないがちな分、筆者のように喜んだ方も多いかと思います。

ルートビアってギーク属性付与に役立ちがちなのはそうだし、この作品のシュタゲ感はここからも来ていると思う。
ちなみに筆者はドクペもルートビアもそんなに得意ではない。

とまぁ、良かったと思った点はざっと上げればこんなところでしょうか。
引用でも少し書きましたが、ストーリー性を担保したうえでキャラとしてもかわいさが立っている分完成度が高い、そんな√に感じました。

一応気になったところも上げておくと、この√でのみサブキャラが若干空気だな、とは思いました。
じゃあどこで出すんや?と言われればそうなんですが。他の√では結構味のある活躍をするキャラたちが多い分、少し勿体ない感はあったり絡みももう少し見てみたかったな…という感はあります。

でも花火大会の時、どうしても雨音と花火が見たかった奏汰を気遣って送り出す友人2人には涙が止まらなかった。こういうの好き。
ただ、こういうのが他と比べて少なかった感。

あとはダーリン呼びですかね。
これは好みかと思いますが、カナタ呼びもかわいかったし捨てがたい分、血の盟約を交わしてからはダーリン呼びがメインになってしまうのが悲しかった。あと常に呼ばれると重い感もあった。
ので、基本線はカナタ呼びでここぞのダーリン呼びとかそういうイベントがあるとか、あとは選択肢で用意してくれるとか。それがあれば個人的には嬉しかったですね。

気になったところはこのくらいでしょうか。正直完成度の高さも相まって、若干揚げ足取りレベルになってしまっているのは御愛嬌ということで。

気になるエロシーンは、メイン格のご多分に漏れず4本。
初夜(制服あり)、他はアフター以降で授乳バブ、露天風呂、結婚式前ガチ妊活のラインナップです。

正直どれもよかったです、なんかほんとこの√は素材の活かし方が特に上手な気がする。そもそも冷蔵庫にある食材がいい食材なのに、それらを最高の組み合わせで料理にするみたいな。そういうのを随所に感じますね。

ちなみに自分が特に好きなのは初夜とガチ妊活。
どちらも好きな体位の描き方なのはあるんですが、初夜の場合は制服をきちんと活かして着衣気味にしてるのがいい。下着要素もあるのがなお良いですね。
そしてガチ妊活の方はもう圧倒的台詞回し。このシーンは一生世話になりそうなレベルで好き。そして貧乳の魅力が最も出やすいのはそう、仰向けなんじゃ…

まぁ強いて言えば、水着姿も抜群によかった分それ使用シーンが無かったのはちょっと悲しいかな…くらいですね。
でも内容的にはどれも好きで、こちらの方面でも満足度が高いのは流石の一言でした。

以上が雨音√の感想となります。
全体的にはタネ明かし√なのも相まって根幹部分にはあまり触れませんでしたが、それでも書くこと触れたいことが多かったあたり完成度は随一と思いました。当然のように一番好きになってしまったので、FDやるのも楽しみ…

早くこの生活の続きが見たい

というわけで、一通り√ごとの感想についても言及が終わったので最後に根幹部分の考察に移りたいと思います。
特に雨音√はこの部分にも触れないと感想のていを成さないというのと、この部分に触れた場合は灯華、うぐいすにも触れなければまとまらない構成となっているため、別出しとしました。

3.エンデュミオン関連の考察

というわけで考察兼、感想。
まずエンデュミオンの仕組みは、灯華、うぐいす、雨音の3名の√で使うことになりますが、仕組みの真相は以下が一番まとまっているでしょう。

通信の仕組み
すぐ後で改変の仕組み
てか初見のソースコード読むの早すぎ雨音さん流石です

つまり物語中の現象も含め要約すると、
強い意志を持った過去への通信疎通は、故人を介することでエンデュミオンどうしでのみ成立する。そしてその疎通によって過去改変が行われた場合、歴史改変はスーパームーン発生時に起こり統合される。

という形です。よってこれを踏まえたうえで考えると、3つの√の解釈は以下になると考えます。

①灯華√での観測者は「現在の灯華(故人)」で、未練や救ってほしいという願いがあり過去の奏汰とやり取りさせていた
②うぐいす√での観測者は恐らく灯華?スクール編での描写から、奏汰のうぐいすへの好意をわかっていた
③雨音√での観測者は両親?亡くなった両親が、最後にようやく生きている際の両親へと取り次いだ

以下、順に考えてみましょう。まず①から。
①は先述の原則にあてはめて考えた場合、これ以外に説明がつきません。
理由として、この√では深い関わりがある故人は灯華以外になく、かつ元々灯華のものであったエンデュミオンに残していたメッセージも、奏汰の告白を断らざるを得なかった。しかし自分も奏汰のことを想っていた、という旨でした。

これらのことを考えれば、灯華に会いたいという強い意志を持って過去へ通信しようとした奏汰のメッセージを、同じく奏汰への未練を死してもなお残っていた灯華が取り次いだ、と想像していくのは難しくないかなと考えています。

ここで、灯華√でも軽く記述していた冒頭部分の説明がようやく付くことにもなります。要は、あの3Dプリンター製の銃で死んでいないとエンデュミオンの中継役を担うことも出来ないんですよね。
よって最初の周回、そして他の√に進んだ場合であったとしても、恐らく癌で亡くなる直前の増岡と話したうえで冒頭のような形で命を絶ったのでは、と想像しています。

ところが灯華√でのみ、奏汰はエンデュミオンを灯華のためにフル活用し過去の奏汰との通信を試みます。その結果過去が大きく変わったことで、スーパームーンと重なった同窓会の日ついに以下のような展開となったわけですね。

じゃあこの既読は誰が付けたのって話になるけど…

この際奏汰が使用しているエンデュミオンは、雨音√を除くと一貫して灯華が文芸部の部室に隠していたエンデュミオンで、灯華のスマホからLIMEを用いて過去の奏汰自身にLIMEを送ることで通信を実施していました。
したがって、この画像内のやり取りは「エンデュミオンにメッセージを打ち込む」とあるため奏汰宛のLIMEということがわかります。

ではこの既読はどのようについたんだろう?という疑問が最後に残りますが、これはスーパームーンによる歴史統合の間際だったためギリギリ灯華が観測者となっていた、という形でしょう。
というのも、この時点で既に通信相手の過去奏汰のスマホはヘリポートから落ちてしまっていて回収も困難であったためです。もう奏汰自身が読むことは実質出来ないために、改変によって現世にて観測される前の灯華がギリギリ読めた(観測者として過去奏汰へ取り次ごうとした)、という解釈をしました。

この時点でようやく統合されているが、LIMEは会う直前で交わしている

シュレディンガーのなんとやら的な。
このあとすぐに灯華との再開を果たしており、記憶の統合も成立した描写があったためそこからも考察しています。

あとこの考察からは蛇足になるものの、この改変をもってD-WAVE通信が終了したの、雨音さんGGすぎですね。第六感なのか他√での経験から来る何かしらの影響なのか。通信の仕組みも何だかんだで奏汰に詳しく話してしまうあたり、情のようなものがもしかしたらあったのかもしれませんね。

ギリセーフ。他の人達も改変に成功しちゃったりしてるんだろうか
雨音√での描写を見る限り通信に成功した人はいるっぽい

次の②ですが、これも観測者は灯華であると考えています。
そしてこちらも同様に、灯華以外の択が思いつかないんですよね。一応うぐいすは亡くなるため観測者としての条件自体は満たしますが、観測者になることは納得しづらいです。

というのも賛否両論の通り、まずこの√ではうぐいす本人は亡くなったとしても幸せだったと言葉を残しています。かつ奏汰から教わっていた小説の作り方として「終わらせること」を重視していたことからも、わざわざ改変してまで自分が生き返り、再び奏汰とやり直すというような流れが全くもって想像できないんですよね。
こういったことも踏まえると、うぐいすが観測者として成立するか?と言われると違うと考えています。

これで例えば最後の作品や、wixiの日記の内容が「もっと生きたい」という内容だったり、強い後悔などの言葉が並んでいたりすればそっちにも気持ちが向きますが。
明らかにうぐいす本人は、最後に周り、特に奏汰への感謝を伝えつつ本人の人生自体にも「物語」としての終止符を打とうとしているんですよね。

ただそうなってくると、エンデュミオンで過去奏汰との通信が成功し、うぐいすが生き残るような改変をすることは当然出来なくなって作品が成立しません。
その際の観測者というのが、①での考察にもある通り既に増岡への復讐を終え、命を絶っていた灯華だったのではないかなと考えていました。

これの根拠としては、灯華であれば「しょうがないなぁ~奏汰は」(存在しない記憶)と言いつつ取り持ってくれそう、という性格からくるしょうもない妄想もありますが。
そもそもスクール編での動きをよくよく思い出してみると、灯華って共通で既に「奏汰はうぐいすへの好意を抱いている」と勘違い、もとい見透かした動きが多いんですよね。これが憧れに近いもので終わるのが他の√、本当に好きになっているのがうぐいす√、という差はあれど、少なからず奏汰はうぐいすに対して特別な感情を抱いているということは分かっているわけです。

それはそれとしてこのシーンはウザい(直球

特にうぐいす√ではそれが顕著で、わざわざ自分が残していったエンデュミオンにうぐいすからのメッセージのみを動画で残しておいたあたり、奏汰がうぐいすにかまけている間灯華との会話も次第に減ったにも関わらず、神のようなムーブをしてくれています。

でもこれに関しては本当にいい仕事過ぎる

そしてこのような仕事をわざわざしてくれているようなうぐいす√での灯華の性格ややりそうなことを考慮したうえで、何よりうぐいす本人の意志なども総合的に考えれば、観測者として成立するのは灯華のみと考えたわけです。
関わりにくかったであろう転校生とも普通に話してくれ、一緒にスマホまで買いに行ってくれた友達である奏汰のことを、きっと死後の世界でも無下には出来なかったのでしょう。

そんな灯華が、うぐいすのためを想って強い意志の下送っているメッセージを取り次いでくれた、と考えていけばこの√での観測者に関しても灯華であることが考察出来るな、と思いました。

あとメタ的に言えば、この作品は特に灯華√において振った女や選ばなかった女がやたらいい仕事をしがちなんですよね。うぐいす√でもそうでした。
それを灯華にも担わせた、と考えると納得出来ました。

最後の③ですが、これに関しては流石に雨音の両親かなと考えています。
最も考察に使える部分が無い√のため説得力に欠けてしまうものの、最後の両親の投げかけた言葉に加え、ポールの遺言やそれに関する証言、そしてポールのスマホなどから出てきた情報も考えると、この両名しか取り次ぎうる人間がいないと思うためです。

流石に2√で観測者をしていた灯華でも、この√では京都にも行かないしあまりに関わりが薄いんですよね。そして灯華と雨音の関わりも薄すぎるため、取り次いでくれる理由が見当たりません。
少ない絡みの中でもちょっと雨音に怖がられていたくらいだったような。

そして何よりこの部分も見ると、「雨音の今」を守るために奔走し研究を重ねてきたグレイの動機が逆算して分かる形になります。そちらを加味したうえで、歴史のifを作らないよう死してなお観測者としても子を守るために過去の自分達へとメッセージを取り次いでくれた、と考えるのが自然かと思います。

テロのことを語っていないとシトロン社も涙目になるしスマホも渡らないしで終わる

というのが、以上メイン3√でのエンデュミオンと観測者の関係でした。

①灯華√での観測者は「現在の灯華(故人)」。未練や救ってほしいという願いがあり過去の奏汰とやり取りさせていた
②うぐいす√での観測者は灯華。スクール編での描写から、奏汰のうぐいすへの好意をわかっていた
③雨音√での観測者は両親。亡くなった両親が、最後にようやく生きている際の両親へと取り次いだ

という3説を上げて、それぞれ補強をしたうえで考察してみました。

こう並べてみると、
灯華√:過去の後悔をやり直す
うぐいす√:今の後悔をやり直す
雨音√:未来を掴むために過去を断ち切る(D-WAVEは使わない)

というように、それぞれ重視する部分が違っていることが改めてわかりますね。
このあたりは公式開発者ブログでも触れられていたのですが、まさしくその通りでエンデュミオンを使ってどこを重視しどこを変えるのか、というのが綺麗に分かれた3√ということが見て取れます。

https://toneworks.product.co.jp/cgi/dp/archives/471.html

上記はこのブログでチラッと触れられています。が…本当の意味での引用を初めて使った気がする
ちなみにこのブログ自体はもう上手く機能していないため直接リンクを踏まないとサイトに行けない仕組みになっている。悲しい…たまたま他の方の感想記事で紹介されていてよかったです

そしてこれを見比べたうえで、改めて雨音√が一番気に入った理由も納得しました。やはり未来を掴むべく、残そうと思えば残せたし仕組みもわかっていて実際に体感もしたD-WAVE通信を敢えて自らの意思で断ち切るところまで含めて好きなんだと思います。
他の2つも確かに過去や今の後悔をやり直すことで再び未来に繋がってはいるものの、それぞれしこりの残る方法で修正を図ったあたりも考慮したうえでの√評価に繋がっていそうですね。

4.総評

というわけで、長々と書いてきましたがこのゲームの総評です。
自分としては非常に読後感もよく、初めて感想を文字に起こしてみようと想ったくらいにはお気に入りの作品です。
ただし最初にも言った通り、賛否両論あるのはプレイした中でも体感出来ましたし、他の方の感想も読んだうえでより共感した部分や、違う意見にも触れられたことで納得も出来ました。

要するに雨音√を最後に持ってこれるかどうか、で結構評価が変わる作品なのかな…と。それだけ雨音√のパワーが凄まじく、かつこれを好きになれるかどうかでも作品評が左右されるように感じました。
この√に関しては、個人的にはtone work'sの強みと新しい要素どちらもが上手く機能していた素晴らしい√というふうに感じたためです。

そして他の√に関しても、このように文章に起こしたり、頭の中で上手く考察したり出来るとまた違った楽しみ方が出来てよいな、と思った作品でした。
これらを全てひっくるめると、雨音√でFDを作ったのは本当に大正解だし、次にプレイをするのも非常に楽しみですね。

あと書いてて最後に思った蛇足をば。
下着のバリエーションがもっと多かったらな、と思いました。折角キャラデザいいからこそ…特に灯華は出てきた下着デザインも相まって。

まぁこのあたりも、FDでは追加されているであろうことを信じてプレイしてみようと思います笑

次回は、FDやってもしよかったら感想を書いてみようかなと思っています。
もしくは、この作品でtone work's作品が出ていないことを憂いてエロゲ業界について何か少し書いてみるのもいいかなと思いました。気分でどちらか書いてみます。

僕の文章が少しでも皆さんの力になったり、心に残ってもらえれば幸いです。

それでは。



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