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協会ビジネスの沼にハマる仕組み


 巷には様々な「◯◯協会」があり、多種多様な民間資格があります。
 起業に興味を持っても、自分には特に何も無いと思う人には、とても魅力的な「資格」。高額な通学スタイルのものから、手軽で安価な通信教育やe-ラーニングなど、忙しい人でも簡単 に学べる機会がありますね。
 この記事では協会の実体験を元に、ハマって行く仕組みを書きます。



きっかけは低いハードル


 私は以前、ある協会に所属していました。その協会では資格を取るための講座の際にSNS集客も少しだけ学びます。
 月1000円程度の年会費を支払うことで、協会のウェブサイトに名前と自分のウェブサイトやSNSのリンク、自己紹介文(もちろん自分で考えたもの)を掲載してもらうことができました。
 私が資格講座を受けた頃は、育休明けのワーママで、子供の小1の壁を超えられないのでは?と、不安で焦っていました。
 その時の選択肢の中には、パートになる、副業、起業などがありましたが、できる事からやってみようと思い立ったのです。その中で比較的手軽に始められそうだったのが、何かの資格を取って副業を始める事でした。
 先に言っておきますが、その協会には問題はありませんし、私自身、講座を受けて後悔はしていません。

資格取得に必要な費用

 ママ起業家を目指せるような協会の講座は、一般のお客様に何かを教る事が出来るアドバイザー資格で10~20万円、アドバイザーを養成するインストラクター資格で30万~50万円ほどです。さらにインストラクターを養成するシニアインストラクターのような存在もいますが、こちらは更に高額です。
 アドバイザーは少し頑張れば支払うことができる金額設定で、ママには手が届きやすいのです。インストラクターになるためには、アドバイザーから始めるような段階的なプロセスがあります。

収益化の実情


 講座の料金のうち、アドバイザーの個人サービスで一般のお客様からいただくものは、協会に支払う事はほとんどありません。
 ただ、アドバイザーやインストラクターの資格取得のための認定講座を開催した場合、協会に支払う必要があります。協会によってまちまちですが、講座代の30%~40%程度だと思われます。
 例えば、シニアアドバイザーが一人の生徒に、20万円のアドバイザー資格と、50万円のインストラクター資格を取らせた場合、協会には40%の28万円、シニアインストラクターには42万円が入ります。
 生徒は一旦シニアインストラクターに70万円支払うため、1日5人、月4回講座を開くと、月商は1400万に見えます。
 そしてSNSで「月商8桁達成しました!」と投稿します。(投稿するよう勧められます)
 実際には協会に560万円支払いますし、その他の経費もかかっています。ですが、その投稿を見た売れない起業家たちは「この新しい資格は儲かりそうだ」「私もインストラクターになれば稼げるかも?」と考えて殺到してしまうのです。
 しかし、インストラクターになっても、アドバイザーの育成しかできません。つまり、一人20万円の講座しか開くことはできないため、月商8桁を目指すためには50人の受講生を集めなければなりません。そして気が付くと、インストラクターがたくさん生まれていくのです。

売れない人に新たな資格を売る協会


 実は、Facebookを使って同じようなグループから集客するのは、それほど難しいことではありません。なぜなら、同じ組織や起業塾から派生した新しいグループが多く存在し、メンバー同士が連携して声を掛け合っているからです。そのため、稼いでいるように見えても、実はメンバー同士で商品やサービスを売買し、お金を循環させている事がよくあります。
 ところが、一般の顧客を集めることは非常に困難です。始めたばかりで認知が少ないと、無料講座ですら集客できない事もあります。
 競合が増えると、ますます集客は難しくなってしまいます。お客様よりも、売れないアドバイザーばかりが増え始めるわけです。
 さらに協会は目新しい資格や講座を増やし、新しいお客様を呼び込み、ビジネスを拡大していくわけですが、一番のお客様は売れないアドバイザーたちです。新規のお客様より売りやすいですからね。ですので、受講資格が「◯◯講座を受けた方」と、階段状になっていることが多いでのす。
 そうすることで、既存のアドバイザーは先に新しい資格を追加するだけなのでハードルが低いですし、新規の人からは前の講座から売ることができます。

資格を取っても売れる訳ではない現実


 実際のところ、売れない人はどんな資格を持とうとも売れないのが現実です。
 私は観察と分析が好きで、誰が誰と繋がっているのか、何を売っていて相場はどの程度なのか、他にどんなビジネスを行っているのか、どの起業塾に参加しているのか、常に追いかけています。
 SNSでは、自身のつながりや活動をアピールする起業家が多いため、数人に絞って追跡すれば動向が見えてきます。ビジネスの形態を変えても売り続ける人は、やはり非常に努力していますし、お金を投資しています。
 「資格を取れば稼げるかもしれない、〇〇さん(起業塾など)についていけば売れるかもしれない」といった考え方では、協会や他人に依存しすぎる傾向があると思います。そしていつまでも同じ事を繰り返して行きます。
 協会そのものが悪いわけではありません。ただ、簡単にできるように見せることが上手いだけなのです。

おまけ


 余談ですが、協会によってアフターフォローも異なります。
 資格を取得した後で終了となるところもありますし、有料の勉強会が開催されるところもあります。先輩方の認定講座の助手をさせてもらって(給料は出ない事が多い)勉強するところもあります。
 私が所属していた協会では、勉強会やイベントがあると聞いて入会しましたが、私が入会した頃には下火だったようで、実際には一度も開催されませんでした。
 資格にも流行りがあるようですから、時流に乗ることも必要ですね。


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