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ごきげん雑駁③

読書記録を観ればすぐに嘘だとわかるのだけど、ここ一か月くらい本が読めていなかった。
ほとんどの時間を家で過ごす日々が始まってからこっち、めちゃくちゃに読むぞ~と張り切りすぎたからかもしれないし、じっさい好きなだけ読んでいいとなると読まないのかもしれない。むしろ隙間時間を何とか見つけてはむきになって読んでいたほうが読めるようだ。

とにかく僕にとって読書とはただ楽しいことなので、楽しい以外の、例えば読了への義務感だとかそういうので読むのはもう読めていないのと一緒で、文字に疲れたのかと思って『火の鳥』全巻をポチって読んだけれどいよいよ疲弊しただけだった。漫画は絵もあるけどまだ文字だし、本だ。そもそも疲れてるときに云千年規模の人類の愚行に元気いっぱい思いを馳せれるわけがなくて、人類や人生ぜんぶに絶望しかけた。危なかった。あと手塚治虫は恋愛の描き方がめちゃくちゃざっくりしてる。

僕の場合の結論はもう出ていて、「楽しく読める本を読む」以外、本を楽しく読めてないな~という気持ちの落ち着かなさを抑えてくれるやり方はない。だから、本を読めていないと感じるときは本を読みましょう! というのが僕が僕にできる最大のアドバイスだ。今回は『火星の人』を読んで救われました。今の僕に必要だったのは逆境でこそ光るユーモアだったみたい。

そんな感じで僕はすでに「本が読めない期」を抜けた気もするのだけど、期間中にはアニメや映画や音楽にだいぶ助けられていて、いちばん最高だったのは『ガールズ&パンツァー』で、あれは、いいものですね。力でなく知恵を絞ってジャイアントキリングを実現してくような話が大好きなので。あと、真剣であることと和気あいあいとやることとは何の矛盾もなく同居しうるよねというのをさらっとやってくれているのもいい。難しい顔や怖い顔だけが真剣なわけじゃない。楽しく嬉しい気持ちを大事にしたまま、難しい局面に挑んでいくことはできないことじゃないのだ。

僕はアニメは絵にも声優にもこだわりなくて、でも普通の学生さんの髪の色がピンクだったり青だったりするのはけっこう謎だと思うし、デフォルトでジェンダー観がしんどめなのしんどいなと思うし、あんまりアニメに向いていないと思う。ガルパンは男性がほとんど不在なのがよかった。アニメにおける恋愛描写というか、異性間での交流の描きかたにはいつもゲエっと思わされるというか、ふつうに個人と個人として向き合ってくれと思う。異性愛者は異性を見ると見境なく欲情したりドキマギしたりするのか? まなざす対象としてしか見れないのか? んなわけねえだろ、というような。というかそもそも恋愛によって駆動させられるドラマ全般が苦手だ。恋愛至上主義的なものの臭いがすこしでもすると、んなもんなくても楽しいじゃん、というか、不合理かつ個人差のある一感情だけを手放しで称揚してないで、個々人の具体的な人間関係を大事に育んでいってほしい、そのような営為こそ尊いのに! と思う。無駄に燃え上ってないで、静かに火を囲んでてほしい。

だからか面白く見たアニメって『けものフレンズ』や『宇宙よりも遠い場所』や『少女終末旅行』みたいな、個人と個人とがお互いに敬意をもって居心地の良さをビルドしていくようなものが多い。恋愛も、激情に流されて不合理な行為を積み重ねていくことで駆動するドラマでなくて、個人間の関係を理性的に構築していく話であれば面白いはずなのだ。アニメではないけれど『セックス・エデュケーション』なんかはべらぼうに面白い。

とりとめもなく、僕は同じことを繰り返しているだけな気もする。とにかくごきげんでいたいよなって話だ。