見出し画像

それもこれも、わたしが女だったから

性差別・性被害の描写を含みます。

10歳。街角でたむろしている上級生たちの横を通り過ぎるとき、大声で卑猥な言葉を叫ばれた。怯えるわたしを見て彼らは笑った。

14歳。学校からの帰り道。前方から走ってきた知らない男にジャージのズボンを脱がされた。男はそれ以上は何もせずに走り去った。

18歳。古本屋で棚を見ていると、店員から肩を叩かれ「盗撮されていましたよ」と。知らないあいだにスカートの中を撮られていたらしい。レギンスを履いていたのに。わたし以外にもう一人被害者がいて、店の事務所で警察に届けるか話し合ったけど、わたしも彼女もそのあとにバイトが入っていたので通報しなかった。

21歳。就職活動の面接のためにリクスーを着て渋谷に行った。突然、知らない男に話しかけられた。「あなたの履いているパンストを売ってくれませんか?」

21歳。なかなか内定が取れなくて悩んでいた。飲み会で、内定を十個も持っているゼミの同期に相談した。彼は「面接でパンツでも見せれば?」と言った。周りのみんなが笑った。

22歳。やっと就職した会社で上司から「なんで女の子なのに大学に行ったの?」と訊かれた。悪気はなく本当に心の底から疑問なようだった。彼には幼い娘がいた。

25歳。昼休み。ランチを食べに外に出ると、自転車で走ってきた男に突然「ブス!」と叫ばれた。男は減速することなくわたしの横を通り抜け、消えた。

26歳。とある集まりに参加したあと、道端で話しかけられた。自分もその集まりに参加したという60代前半くらいの男性だった。参加歴が長いらしく、色々と知らない話を教えてくれた。少し距離感が近くて違和感を覚えたが、帰りの路線が一緒で電車の中でもずっと話すことになった。「きみは僕の妻に似ている」と男性は言う。わたしのスマホを覗き込んで待受画面を指差し「これは誰?」と尋ねる(好きな俳優の画像を待ち受けにしていた)。さすがに気持ち悪くなってきて適当に流していると、唐突に「このあとホテル行かない?」。あまりのことに絶句していると「彼氏いるの?」。いなかったが嘘をついて、いると答えると「彼氏いてもいいから!」。「いやわたしはよくないですさよなら!」と早口で言って電車から急いで降りた。目的地の駅でもなかったのに。そのあと、しばらく後をつけられてるんじゃないかと怖くてたまらなかった。

忘れないために書いておく。

(こんなにひどいことでさえ、ありふれていて、忘れないためには書き留めなければいけないなんて。)