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【エッセイ】雨の日の楽しみ方

 大抵の人は雨の日は憂鬱な気分になったり、うんざりしたりする。それが普通の反応だと思う。私もそうだ。傘を差すのも億劫だし、髪の毛もベタつく。服だって濡れて汚れるし、嫌なことだらけだ。
 
 だが、雨の日にしか味わえない楽しさもある。そっと目を閉じて耳をすませば聞こえてくる、雨音。一定のリズムやピチョン、ピチョンと水が地面に跳ねる音を聞くと少し心が落ち着く。そして、雨上がりにしか見られない、雨粒の輝きも格別だ。特に、枯れ木の枝先にくっついた雨粒が日の光に照らされてキラキラと輝く様子。とても綺麗だなぁと感じる。

 あとは、何といっても雨上がりに現れる虹の橋。滅多に見られないからこそ、虹が出た日は少しラッキーだと思える。中学1年のとある日の昼休みの時間、ザーザー降りの大雨だった。曇天模様。陰気でどんよりとした空気で満ちていて、気分もグレー。ところが、雨が上がり太陽の光が一気に差し込んできた。大空の上には七色の虹が。それも特大サイズの虹だったのだ。クラスメイトが一斉に廊下の窓際に集まって「虹だー」「虹が出てるよ」と歓声を上げて食い入るように虹を見上げた。カラフルでパステル調の色という色が溶け合っていて、見事だった。なんといっても驚いたのは、その大きさ。とにかく大きくて、圧倒された。自然の壮大さを実感できた、素敵な思い出だ。

 うんざりするような雨の日でも、ほんの少し目線を上げると何か素敵なものが見つかるかもしれない。お気に入りの傘を差すだけで気分が変わるだろうし、目を凝らして花や葉っぱにくっついた雨粒を見つめてみるのも良いかもしれない。雨もまた、私たちの生活にちょっとした彩りを与えてくれる。

 


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雨の日をたのしく

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