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元横綱稀勢の里のコラムが、元横綱白鵬へのリスペクトに溢れていて美しい。

※この記事では両者を現役時代の四股名で呼びます。

白鵬、稀勢の里、この2人は現役時代に、幾度も対戦し名勝負を繰り広げてきた。


共に横綱(白鵬は69代横綱、稀勢の里は72代横綱)であるが、優勝回数は白鵬の45回に対し、稀勢の里は2回。大きく水を開けられている。直接の対戦成績は白鵬の44勝、稀勢の里の16勝。トリプルスコアに近いけれど、この白鵬から16勝というのは、日馬富士の21勝に次ぐ記録である。

多くの人の記憶の中の稀勢の里の印象は、いつも大事なところで白鵬に負けてしまう。。そんな印象だと思う(私もその1人)。

白鵬はあまりにも強すぎた。そしてモンゴル出身ということもあり、この2人の対戦では、日本人の多くは稀勢の里を応援していたと思う。いつも稀勢の里に勝つ白鵬に対しては、日本人の多くの人は、恨みとまではいかないにしてもネガティブな感情を持っていたはず。逆に稀勢の里はいつも悲劇のヒーロー。人気も白鵬に比べたら高かった。色々と物議を醸した白鵬を悪、稀勢の里を正義とし、対立を煽る論調もよくある。

そんな中、今朝稀勢の里のコラムを見つけた。

このコラムで稀勢の里は、白鵬という力士を称賛し、大きなリスペクトが感じられる。横綱稀勢の里という力士は、白鵬という壁があったからこそ完成したとも言っている。
つまり多くの人が大好きだった稀勢の里が横綱になれたのは、もちろん本人の努力が一番だけれど、悪役とされる白鵬も一役買っている。おそらく逆も然りだろう。白鵬にとって本当の意味で一番の強敵だったのは、稀勢の里で間違いない。

美しい。この2人の関係が実に美しい。

対立を煽るのはいつも周りの人。当の本人たちはライバルとして意識はすれど、その根底にはリスペクトがある。

現在はお互い引退して、それぞれ二所ノ関親方、間垣親方として活動をしている。二所ノ関部屋は新しく誕生し、新しい建物、そして中村親方と、尾車部屋から来た数人の弟子を受け入れた。間垣親方は宮城野部屋の部屋付き親方だが、将来はおそらく宮城野部屋を継ぎ独立する。

現在はこの2人が協会内の権力を掌握するために、対立している、またはさせようとしている事が囁かれている。『次期理事長は・・』みたいな話もよく聞く。もちろんそれは大事な事かもしれない。実際にどちらも将来理事長をしていてもおかしくはない。

でもそれ以上に私のような外部の相撲ファンが期待するのは、この2人が中心となって、大相撲を、相撲協会を盛り上げてほしいということ。それは弟子の育成もそうだし、システム的な問題の解決かもしれない。

手を取り合って仲良くとはいかなくても、人気知名度共に抜群なこの2人の動向を注目していきたい。とりあえず弟子の育成という面では、今の所白鵬が一歩リードか。

白鵬、稀勢の里時代は始まったばかりだ。


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