ラ・フェに捧げる一編

子宝菜

子宝菜を買って帰った日、中野君がうちの店に立ち寄った。
あまり見かけない葉物野菜を見たので持ってきたという。
なんだ。
子宝菜じゃないか。
私も買ってきたのよと妻。
それも子宝菜だった。
聞けば私たちは各々違う場所で手に入れてきたようで、子宝菜、急遽市民権を得ているようだ。

居るかい?

橘さんが寄ってくれて、

あんまり見たことのない菜っぱ手に入れたから

と、包みを振る。

子宝菜なら間に合ってますよ。

ちょっと不機嫌に私が言うと、

そんな名じゃない。蕾菜(つぼみな)って言うんだ。

言いながら包みをほどく。

出てきたのはやっぱり子宝菜で。
妻も中野君も私もいちどきに吹き出した。


後でわかったのだが、子宝菜は、福岡ではもうかなり蕾菜で通っているらしい。
扱ってる種苗会社で各々違う名がついているらしい。
曰く、祝蕾(しゅくらい)、四川児菜(しせんあーさい)。
子宝菜もそうした商品名の一つで、蕾菜だけが商標登録申請されてるらしい。
アブラナ科アブラナ属。
からし菜の変種だという。
大きな株から出てくる脇芽の部分を収穫し、食用とするらしい。
いかにもからし菜の仲間らしく、葉の部分にはピリッとした辛味があり、若い葉はレタスみたいにサラダ等で生食できるようだ。
芽の部分のコリコリした食感がいい。
火の通りが早く調理しやすいし、何より火を通した後の、鮮やかな緑色がきれいだ。

春の蕾ね。

妻の言葉に頷く。
いい前菜ができそうだ。


ラ・フェをモチーフに一作書こうと決めたのになかなか出なくてw

ついに葉物野菜の力を借りてしまいました(^^;)

調理実験結果だそうです↓


    ✳おことわり✳
中野さん、橘さんは架空であり、ストーリーはNN(KA)の創作です
野菜は実在します(^^)v




それでも地球は回っている