けんりょくとうそう〔原案・pnatupnatupnatu〕

◎ 大統領執務室

   大きく立派なデスクの対の、
   大きく立派な椅子に老クトス、
   深く体を沈み込ませている。

クトス はー。わしももう78か。天に召される日も近い。
属国から集めた姫たち相手に年甲斐もなくがんばったが、ついに跡継ぎはできなんだ。
これもさだめか・・・

   弟のユフイが入ってくる。
   めっちゃ年が離れているので
   まだ二十才そこそこである。

ユフイ お呼びですか大統領。

クトス おうきたか。かわいい弟よ。このたび私は決めたのじゃ。そちに(とためる)大統領の座を譲る。

ユフイ えーっ!? で、でも僕、政治とか、ぜんぜんだめですよ。

クトス 政治など私の姉マルディリアの夫、マルヒトにでも任せておけばいい。
おまえはただ、君臨してればいいのだ。

ユフイ 君臨してればいいったって…

   ふと気づく。

ユフイ 兄上、じゃねえ、大統領! 顔色めちゃめちゃ悪い!

クトス わしは、もうだめだ、あとは、よろ・・・

   がくりと首がのめった・・・

ユフイ 兄さん!!!

   暗転。
   ややあって、ユフイが
   ピンスポットに浮かぶ。

ユフイ(語る) 兄は国葬となり、盛大に弔われた。
でも跡継ぎはいないし、僕はこの通り若輩だ。
この国はどうなる!
兄の言ったように、僕が継いでいいものなのか・・・?

いかーん!

ユフイ その声は!

そうだ!私だ!

   マルヒトが現れる。
   40くらいか?
   クトスに比べればよっぽど
   若いが、ユフイに比べると
   めっちゃジジイだ。

マルヒト わたしがここまでどのくらい苦労して、マルディリアの夫で居続けたと思ってるんだ!
年倍だぞ!倍! そんなのと結婚してたのも、いつかクトスの後継者として認知されると思えばこそではないか!
それを、おめおめと、おまえのような若造に奪われてたまるか!!

   いきなりマルヒトに首を
   ぐいぐい締められるが、

   ユフイ、一気にに振りほどき、
   逆にマルヒトの首を内肘で
   締め上げる。

マルヒト き、きさま!

ユフイ  あなたが悪いんだよマルヒト。地位とか権力なんかにこだわるから。よく考えてよ。兄は王じゃなく、大統領だ。

マルヒト !?

ユフイ 大統領は世襲じゃない。国民の審判で決まるんだ。なりたいなら立候補だ。
まず立候補!わかった?

マルヒト じゃ、じゃあ、わたしの苦労は…

   とその場にへたり込むマルヒト。
   ユフイは正面を向き、
   大団円を語る。

ユフイ かくしてこの国のお家騒動は終わった。
 ところで新大統領は誰に決まったと思う?
 死んだ先代より年上の、80才の
 マルディリア姉さまに
 決まったんだよ。
 あれから10年たっても、姉さまは
 ピンシャン、かくしゃくとしてる。
 旦那さんのマルヒトの方が、
 がっかりのあまり病み衰えて
 しまった。
 やっぱ欲は程々がいいね。
 いい勉強になったよ。


              end


原型↓

pnatupnatupnatu@相互フォロー❄
2021年12月12日 20:48

ユイ国大統領クトスは78歳になっており、自分に跡継ぎがいないので弟のユフイに皇位を譲った。
しかし、ユフイにあるのは軍事作戦を立てる才能のみで、政治については何も知らない。
これに怒ったクトスの義兄マルヒトは、1100の兵を連れてクトス邸へ。
しかしクトスは病気で死に、あとに残ったのは忘れ形見のユフイと怒り狂うマルヒト、マルヒトの実弟アサ。
さあ、戦争だ。
このネタを使う場合、この先はあなたが想像してください。


反省↓

アサと、ユフイの軍事的才能が、あんまり生かせなかった

   

それでも地球は回っている