軽い口

簡単に酔うくせに、酒が好きときてる。

飲み出すとなんでもかんでもしゃべってしまう。

絵理子と布田課長の不倫も口走ってしまい、課長は直後、ポンサルディア国の代理店の店長という『栄転』になった。

以来誰も彼女と飲んでない。

安全は大事。


なのに誰だ。

誰が飲み会に読んだ。

OGいらんだろ。

知ってるやついないだろ。

そんな飲み会にきて楽しいのか?


楽しいようだ。


やー。

つくづく結婚なんてするもんじゃないわあ。

旦那ね、あたしのこと好きらしいんだけどね、家に閉じ込めたい派なのよ。

この七年間で夜出たの四日間だけよ。

母危篤で駆けつけて三日。

そして今日よ?

ないわー。


よくもまあ、ペラペラペラペラ口が回るもんだ。

回りついでに妙なことも言い出した・・・


もうね。

殺しちゃおうと思うのよね。

食器洗い曖昧にして、洗剤っ気すこおし残しとこうかなーって。

体にいいもんじゃないでしょ?

かいめんかっせいざい?

とか、何だろ、いろいろ?

保険は三口かけてあるから・・・・


そこまで。

みんなすっかり酔いが醒めた。

そのまま本人寝てしまったので、置き去りにして帰った。



半年後、風の便りで旦那さんが亡くなったと聞いたが、誰も弔問に行かなかったそうだ。

私も行かなかった。






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