永遠の闇に眠れ

作者はメアリ・ヒギンズ・クラーク。
主人公キャロルは画廊に勤め、小さな男の子と女の子を育てています。
ある日仕事が遅くなり、保育園に迎えに行くと、保育士にひどく嫌みを言われます。
娘がそっと言います。
弟が今日おもらししたの。
まだそんな年頃の二人なのです。
男の子を抱っこして、女の子の手を引いて、ニューヨーク~その頃はまだまだ治安の悪かった時代です~の街区を足早に歩く寡婦。
泣き出しそうな孤独感に押しつぶされんばかりの彼女の、まさにその瞬間に、親切な青年が手を貸す。
彼女は彼の優しさに癒やされ、やがて彼に嫁ぐことになるのですが…

まあここからはメアリ・ヒギンズ・クラークお得意の、サイコサスペンスになってゆくのですが、とに、かく、このシーンのキャロルの感情の描かれ方といったらほんとにもう、尋常じゃない。
胸を締めつけられるどころじゃないくらい心にじかにきました。
青年の手が彼女にさしのべられた時はほんとにほんとにほっとしました。
良かった!
雪崩のように恋に落ちていくのも素直に頷けて。
これなら恋に落ちるわよ、当然よ。
まさにそういう展開でした。


この頃のクラークの本は図書館から姿を消してしまってて…ブックオフにもなかった。
寂しい限りです。

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