16才

七月生まれ。
だからナナ。
漢字では奈々。
いちばんよくあり。
葛西奈々。
姓は重たい。
だから自分ではカタカナで使う。

ナナはねえ。

こどもっぽいや。
もう16だし、そろそろあたしとか言わなくちゃ。
わたくし？
やだあ。
ぶってるわん。

でもってナナ、一目惚れした。

相手は救急隊員。
ネームプレートは吉見、だっけ、下の名前がしりたいのに。
ままがガンガンおなかいたくなって、救急車呼んだの。
てきぱき。
状況聞いて。
てきぱき。
病院決めて。
あっという間に入院できた。
ありがとう。
ままは盲腸だった。

入院中、けっこう見かけた。
けが人を、病人を、次々運んでくる。
看護師に申し送り。
こうで、こうで、こうで。
看護師がぴったりくっつく。
好きなの？
やめてよ。
吉見氏はあたしのよ！

あたし。
ちょっと大人になったかあたし。

学校でも、塾でも、いつでも吉見氏のこと考えてる。
会いたい。
会いたい。
会いたい。

ナナ危ない！

ガシャーン！

窓ガラス、バリ割れ。
サッカー部が蹴込んだボールが、うちのクラス直撃したのだ。
あたしと園田が腕とか切った。

救急車！

来た！

うわあ！
吉見氏だ！
あり得ないいいっ！！

乗せられて、病院行って、消毒されて、4針縫われた・・・

怪我、病気すれば会える！
アガる！
ああでもそうそう怪我しない。
ああもう、家族でいいか。

弟を、階段から落としたけど

来たのは別の救急隊員だった。

絶対吉見氏に来てほしい。
町を焼いたら間違いなく会える？
だから

撒いたガソリンは気化、即着火した。
気づく。
誰が通報する？
あたしの手はもう燃えている。
だれか携帯を、

通報を

通・・・

※　救急の日　にかけました。

　どなたも決してまねてはいけませんよ。