画廊、あるいは、アシスタントの憂鬱


勤め先は画廊。
たいていはぼやーっとしてられる。
商談は社長にまかせればいいし、社交は奥様にお任せできる。
ただ・・・

S画伯の個展だけは、ちょっ
と・・・

搬入日や初日はいい。
問題は二日目からだ。

朝、表戸を開けると、それはもう起きている。
金魚の絵からは金魚が落ちて跳ねてるし、桜並木の絵からは花びらがどっさり舞っている。
静物画からは果物がこぼれ落ちてるし、ああ、竜の眼。
竜はどこ?

割れた窓から出ていこうとしてる峰不二子の豊かな胸元細い腰。
ああこれだからもう・・・



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