あんたもう一回タックル行きなさーい

久しぶりに小3息子のラグビーの試合があった。

前回は二年生の終わりにタグラグビーで試合をしたのが最後。三年生からはタックルありのコンタクトプレーになるので、一年前に全勝した相手も、悔しさをバネに練習に力を入れ挑んでくるにちがいない、だからタグのようには行かないだろうなと思っていた。

予想通りなかなかの攻防戦になった。応援している保護者にも力が入り、ついつい鼻息荒くなる。

各自様々な応援スタイルなのだが、大概の母親掛け声は、行けー!止めろ!当たれ!など短めのものが多い。当たれの、れ、がやや巻き舌ぎみになるお母さんもいる。

しかし聞きなれない声援を耳にして、おや、と思った。他のスクール保護者のお母さんが、しきりに我が子に対して叫んでいたのだ。


「あんたはもう一回タックルいきなさーい!もう一回タックル行きなさーい!」


この声がグラウンド上にこだまする。これは新しい掛け声のスタイルではないのか。それが荒々しい言い方ではなく、母親の優しさのこもった言い方なのである。巻き舌の応援多数の中、一気に和む。

そのお母さんは再度叫ぶ。

「止めなさあ〜い!」

母なる叫びである。きっとこの声はグランドの子どもに、しっかりと届いているのではないかと思われる。第一に他人のわたしでさえその声援が何かじいんと胸にきたからだ。

ぼんやりしていたら、肝心の我が息子のトライシーンを動画に撮り損ねる失態を犯してしまった。試合後にその旨を伝えると、案の定息子に鬼のようにブチ切れられた。「あんたのトライは、お母さんの目の奥にしっかりと焼き付けられている」と説明をするも白けた目で見られた。

結果は二戦とも、同点。

次回の交流戦では、真面目に動画撮影するとともに、ぜひあのあたたかい声援をしてみたいとひそかに思っている。








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