おっさんにからまれる


日々、ネタを求めて右往左往してるのだが、先日おっさんにからまれた。

息子と郵便局の前で自転車を止めている時、おっさんはどこからか、くわえ煙草でふわあっと寄ってきた。

結構な至近距離で、
「なあ、今何時かわかるか?」と聞いてきた。

背広は着てるが、くわえ煙草といい、目がどうもまっとうではない。

携帯を見て、
「4時10分です」
と答えると、

「まだ4時なってないんやな」と、おっさん。

いや、4時過ぎてるし。
無視して子供を自転車から降ろそうとしていたら、おっさんはじいっとこっちを見て、

「自転車乗っとんのか。自転車はよ降りや!」と叫んだ。

今、降ろしてるところやし。また無視して郵便局へ向かうとしたとき、棒立ちでこっちを見ながらおっさんは叫んだ。

「ヘルメット!自転車乗るときは、ヘルメットかぶりや!」

たまたまその日、子供の自転車用のヘルメットを忘れていたのだ。

「今日は忘れたんや!」と叫んで、郵便局に入った。

「へんなおっちゃん居たな」と息子につぶやくと、「そうなん?」と不思議そうな顔をしていた。郵便局から出ると、あのおっさんはもういなかった。

子供といると、どこからともなく、ふらふらしたおっさんにからまれることがよくある。
「ええ子やな」と、急に飴をくれたり。
「こんな怪しいおっさんについていったらあかんのやで」と忠告してくれたり。

大概そういうおっさんはどことなく、まっとうでない雰囲気をかもしだしているのだ。

自分が子供の時も、何してるんだかわからない、町をさ迷うおっさんはいた。
ああいうおっさんがいてこそ、町の情緒を感じるのはわたしだけだろうか。


2017.4.11『もそっと笑う女』より


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