皆既月食とカエルと。

442年ぶりに起こるという、皆既月食と天王星食が観測できる日。
息子が習っているスイミングクラスに向かうため、車に乗り込んだ。
17時半だが空は暗い。

息子がフロントガラスに何か乗っかってるというので、目をこらす。
葉っぱか鳥の糞か。
よく見ると、それはカエルだった。

カエルはフロントガラスからボンネットに移動した。前を見て微動だにせず、まるで船の舵取りのように、勇ましさすら感じる。なんやったらこの車はカエルに先導されてるとも思えてきた。
今、わたしたちはカエルとドライブしているのだ!

しばらくすると、東の空にまだ月食が始まる前の、煌々と光り輝いた満月が見えた。そして滅多にお目にかかれない屋台ラーメンの車が景気良く横切っていった。派手な提灯にチャルメラ。そして、ボンネットにカエル。
なんだかすごく、めでたい。

スイミングを終え、外に出ると、赤茶色の月が見えた。
カエルはもういなかった。






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