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わたしって母親失格だ。

それは今朝のこと。

仕事柄出張の多い夫は、いない。今日は私も重要な会議が控えている。
そんなプレッシャーの中で朝の準備やご飯の片付けなどに追われていた。

「ママー!ママーってば!!」
「なーに!ちょっと待って!」
「ねぇーママ。カステラつくって」
「ごめんね。きょうはおしごとだから、おやすみのひにつくろうね。はやくTシャツにきがえよ・・・」
そう言うなり、目が湿り出し・・・

わあーーーー!!イヤ!イヤ!わあーーーーー!!!
(あっ・・・まただ・・・)
イヤイヤ期に入り、自分の思い通りにならないと泣き叫ぶことが増えた。
普段だと抱っこしながら落ち着かせていたのだが、今日はそういう訳にもいかない。しょうがないのでしばらく泣かせておこう。そう思い自分の支度を始めた。

やけに静かになったな・・・と思った瞬間。
バシャン、エーーーーーン、ママァー
声のする方へ駆けつけると、床いっぱいに割れた卵が散乱している。真っ赤な娘のTシャツの白猫ちゃんの目が怒っているように見える。冷蔵庫から電子音が連呼する。おそらく卵を出そうとしていたのだろう。
ママにカステラをつくってもらいたくて・・・。
想像するたびに、胸が痛くなる。

もう間に合わない。しかめっ面の上司が浮かぶ。
「ご、ごめんなさい・・・だって・・・うっ、うっ、カステラ・・・」
「いいから・・・ようふくぬいでちょうだい。」「イヤだイヤだ」
ぐずって嫌がる娘のTシャツを脱がせ、仕方なしにボーダーのTシャツを着せる。
「これはイヤ!シロネコチャンがいいの!」と脱いだTシャツを指す。
「シロネコチャンはよごれてしまったからこっちでガマンして!」
ああーーーー!!シロネコチャンじゃなかったほいくえんイヤだ!!」
そう言うなり、卵だらけの床に座り込んでしまった。
その瞬間にプツリと何かが切れた。

いい加減にしなさい!!!わがままを言うんじゃない!!」
その時の娘の顔が今でも忘れられない。

結局会議には出られず、上司からチクチクと嫌味を言われた。しかも初歩的なミスを何度もしてしまう。
私って母親としても人間としてもダメだ・・・。
仕事やめた方がいいのかな・・・。

娘の様子が気になって少し早くお迎えに行った。
娘はいつもの様子でお部屋にいた。大好きな先生と一緒にお絵描きをしながら過ごしていたらしい。そんな娘にホッとした反面、申し訳なさが込み上げてきた。

寝る直前、娘が珍しく「ぐりとぐら」を持ってきた。
ママ、よんで。
ママを求めてくれた嬉しさと、ごめんなさいの気持ちがごちゃ混ぜになって、娘にバレないように泣きながら「ぐりとぐら」のページをめくった。

(つづく)

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