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コトバアソビ

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2021年7月の記事一覧

満月の夜に記す

満月の夜に記す

夕日が眩しい。あのときのアイツのように光り輝いている。今日は久しぶりにそのアイツと会うのだ。

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アイツは幼少期からの腐れ縁、幼馴染みである。いつもオレの後ろを追っかけてきたアイツ。勉強だってスポーツだって音楽だって美術だって成績が良かったのは全部オレの方、教えるのはいつもオレだった。

アイツと道を違えたのは高校を卒業したとき。オレは当たり前のように都内の大学に進学、アイツは進学せず就職する

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某日、空の上にて記す

某日、空の上にて記す

この小さい島を飛び立つ時にはいつも隣にキミがいた。華奢な身体、細く白い腕、いつも不運な私を幸福で満たしたくれる髪の匂い。でも今日はその全てがなかった。

いつもと同じ通路側の席。窓の奥は一面青い。浮かび上がる緑のアート、人の営みが映し出されている。普段私たちを守る自然や建物がオブジェのように小さい。そこに人の姿はないし、それにいない方がなんだかしっくりくる。やはりこの星にとって人間はちっぽけなもの

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