入社後いきなりテレワークに中小企業はどう対応するべきかを中小企業支援の現場から考える


テレワークは職場の生産性を抜本的に向上させる可能性を秘めた働き方です。しかし、既に仕事に必要なスキルを一通り持っており、職場での人間関係が構築できているベテラン勢でもテレワークを活用するのに戸惑いをもつのが現実だと思います。

そのような中、「入社後いきなりテレワーク」という状況に今年の新入社員さんは直面しています。

環境の変化に善し悪しはありませんが、入社後いきなりテレワークで働くことについては社会全体としてノウハウがたまっていないのが現状だと考えます。

そのような状況では、相対的に経営資源が乏しい中小企業の方が変化への適用が難しくなると考えられます。

本稿では、中小企業を支援する側の立場から「入社後いきなりテレワーク」について、中小企業がより意識して取り組むと良いと考えられること、なによりも中小企業に新入社員としてお勤めになっている方自身が取り組むと良い事を考えていきます。

■うまくいっているとしても、テレワークに適応できていないかも

ある程度規模の大きな企業ならば、企業に蓄積された知見は伝達しやすいように言葉や図にされています。

そのため、規模の大きな企業にお勤めの方であれば、入社後いきなりテレワークとなっても企業に蓄積されたノウハウを元にした個別具体的な研修を受けることができると考えられます。

しかし、中小企業においては企業に蓄積された知見が共有されていないケースが散見されます。そのうえ人材育成のために投入できる経営資源が相対的に乏しいため、せっかく採用した新入社員さんをほったらかしにしてしまうかも知れません。

もちろん、個別企業としてしっかりと取り組まれているケースもあると考えます。

しかし、そういった場合でも入社された方に対してで現場で先輩がOJTとして教えており、それでうまく回っていることで、知識やノウハウを明文化していない事が覆い隠されてしまっているケースがあります。

■従業員に身につけてもらいたい内容を整理すること

では、どうすれば良いのでしょうか。

まず、お仕事を進める上で必要な内容を整理しまとめておく必要があります。これは新入社員のためだけでなく、企業内での異動等の際にも役立つものですし、明文化されていれば改善を狙う際にも役立ちます。

従業員に身につけてもらいたい内容が整理されていれば、入社後いきなりテレワークであっても自分自身で学ぶことができますし、OJTを行う際にも漏れやヌケなく知識やノウハウを身につけてもらう事ができます。

また、早期に具体的な仕事を任せる場合でも方法論が明文化されていれば、仕事を任せやすくなるので安心して仕事を任せる事ができ、早くから戦力化することが可能となります。

■経営理念や企業文化を伝えること

また、企業側が是非とも伝える必要があるのは、スキルや知識だけではありません。

むしろ、企業の経営理念や文化を伝え、入社した方が企業の一員であるという帰属意識を持てるようにする事の方が大切です。

経営理念や企業文化は働く人の共通の価値観になるので、早い段階で身につける事が重要です。

従来は職場で同僚や先輩、上長との人間関係のなかで身につけていったものですが、いきなりテレワークだとそのような人間関係の構築が難しくなりがちです。

しかし、入社後いきなりテレワークは悪い面だけではありません。むしろ地理的な制約がないことを活かし、企業の代表の方や上級管理職の方が積極的に新入社員の方とコミュニケーションをとって経営理念の浸透を図ることが考えられます。

特に社長の空いている時間を使って新入社員とコミュニケーションを取ることは極めて重要であると考えられます。ぜひ社長ご自身の言葉で、企業の経営理念を伝えてあげてください。

■新入社員の立場で心がけると良い事

最後に、新入社員の立場でどのように「入社後いきなりテレワーク」に適応していくかが問題ですが、筆者は先輩や同僚と積極的にコミュニケーションを取るように心がける事が重要だと考えます。

「入社後いきなりテレワーク」でないならば、先輩や同僚と顔を合わせる機会が多くあるので自然と仲良くなることができ、明文化されていない知識体系も伝えてもらう事ができます。

また、こういったコミュニティは、その後の職業人生でも非常に有益なものです。しかし、テレワークによって人間関係が希薄になってしまう事が想定されるので、今後は人間が関係構築も仕事であるぐらいの心構えで対応する必要があるかも知れません。

そのためには、直接会った時と同じように礼儀正しく、しかし控えめになりすぎないように先輩や同僚とコミュニケーションを積極的にとって行く事が求められるでしょう。

また、会社側も新入社員と積極的にコミュニケーションを取る事を推奨するだけでなく、コミュニケーションを取らざるを得なくなるような仕組みを構築する事も求められるのです。

環境変化をチャンスにするかピンチにするかは当事者の心構え次第です。しかし、環境が変わると時、それに素早く適応できた人にとっては大きなチャンスになるはずです。

外部環境は我々一人一人ではなかなか変えにくいものですが、皆で外部環境に適応し、我が国全体の成長をもたらすことができればと考えます。

#COMEMO #入社後いきなりテレワーク

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