「ピンピンコロリがいいね」
【医療従事者として思うことを書くときは個人が特定できぬよう主旨が歪まない程度のフェイクを入れることがあります。ご了承ください】
仕事でたくさんの患者さんやそれを取り巻く人々と接する。
老若男女、いろんな人がいるけど、やっぱり多いのが高齢者。
仕事しながら彼らといろんな雑談をする機会がたくさんあるのだけど、やっぱりみんなが口を揃えていうのは
・体の自由が効かない悲しさ・もどかしさ
・家族に迷惑かけてまで生きたくない
・長生きはもうしたくない
・十分生きたし、早くお迎えがきて欲しい
・でもいい人生だった。大変なこともあったけど、不思議といいことばかり思い出せる
・寝たきりで生かされたくはない
出てくる出てくる。
もちろん理解できる。
でもまだ共感するほど長く生きてはいない、気がする。
彼らのステージに立つにはまだ相当な人生経験を積まないといけない、気がする。
おいくつですか、と聞いて「長生きですね!」というのは褒め言葉ではない (でもこちらの好意というか、労いの気持ちは伝わってはいると思う)こと。
永く生きると素敵な思い出がたくさん結晶化されていくこと。
最期は誰にも迷惑をかけずにそっと旅立ちたいと思っていること。
とにかくいろんなことを教えてくれた。
彼らは死を恐れてはいない。
今日があれば明日が来るように、いつかくる当たり前の事実としてそれを受け止めている。
長い年月が心をそう育てたのだろうか。
私も、いつかおばあちゃんになったら、そう思える日が来るのだろうか。
そう思えるうちに、気持ちよくお迎えが来るのだろうか。
病院で、たくさんの点滴や心電図モニターに繋がれ、意識のない患者さん達ともたくさん関わってきた。
いろんな気持ちになった。
人の命のあり方に正解も不正解もないだろうし、私にそれを判断するほどおこがましい気持ちは流石にないけれど、私だったら、やっぱり元気なうちにぽっくりいってしまいたい。
だから死をごく身近に、天気の話をするかのように自然と語る高齢者の方々は口を揃えて言うし、私も穏やかな気持ちで自分の気持ちから言えるのだ。
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