『嵐を呼ぶレース参戦記』(復刻版)第九話「嵐を呼ぶインターミッション」
◇タイヤとミッションオイル交換◇
セカンドステージの翌週の2004年6月12日(土)。
我々はサーキット走行でぼろぼろになったアルトワークスをメンテナンスするために集まっていた。
まず、パンクしたタイヤ(硬いだけのまったくグリップしない安タイヤ)を交換。
この日のために用意してあった、サーキット走行用のハイグリップタイヤ『ADVAN NEOVA』by YOKOHAMAタイヤである。
今までのタイヤはGT3のコントロールタイヤ以下のグリップだったが、このタイヤはノーマルタイヤぐらいのグリップになっただろう。
(『ADVAN NEOVA』はSタイヤではなく、ラジアルタイヤなのでGT3のスポーツタイヤよりはグリップは低いと思われる)
そして、ミッションオイルを交換。
その模様を写真にてお楽しみいただきたい。
ってか、見て楽しむようなものではないか、というセルフツッコミを入れつつ…。
マシンの底にある蓋を開け、ミッションオイルを抜く。
抜いたオイルはオイル吸収用の箱の中に。
んで、ミッションオイル注入口にホースを差し込む。
差込口をズームして撮影。ここです。
そのホースめがけ、上からミッションオイルを流し込む。
新品のミッションオイルの色はこんな感じ。
というわけで、タイヤを換えミッションオイルを換えたことで、嵐を呼ぶアルトワークスはさらに強くなってよみがえった。
“台風を呼ぶアルトワークス”ぐらいにレベルが上がったに違いない。
というわけで、早速“台風を呼ぶアルトワークス”の実力を試すべく、埼玉の某峠に行って走ってみることにした。
カー雑誌やクルマ情報番組でよくあるワインディングでのインプレッションというやつである。
しかも、埼玉の峠といえば人気漫画『頭文字D』でも数々の名勝負が繰り広げられた名所である。
まぁ、我々のポリシーとして『公道では交通ルールを守って安全運転。サーキットでキレた走り』というのがあるので、もちろん峠に行ったからといって危ないことはしない。
制限速度を守りつつ、マシンの調子を見に行くのが目的である。
漫画は漫画、ゲームはゲーム、現実は現実なのだ。これを混同しちゃいけない。
これを読んでいる読者の中には、まだ免許を持っていない若い方も多いと思うのでくれぐれも忠告しておくが、
『公道で危ない事をしちゃいけないし、他人の迷惑になるような走りは絶対に駄目』
それだけは覚えておくように。…一度きりの人生を台無しにしたくないでしょ。
と、一応読者に釘を刺しつつ、そのときの模様をご覧いただこう。
◇台風を呼ぶアルトワークス、いきなりその本領を発揮◇
峠に近付くほどに雨は強くなっていく。
フロントガラスに大粒の雨が盛大に当たっている。
ってか、この豪雨はかなり凄いんですけど…。
そう…、実はこの日の関東地方は、6月としては何年かぶりの…
台風直撃!
嘘のような本当のお話である。
かくして峠の走行は中止。我々は引き返してきたのである。(そういうオチ)
“台風を呼ぶアルトワークス”は本当に台風を呼んでしまったのであった。
めでたくなし、めでたくなし。
◇命名会議◇
結局インプレッションも出来ず、引き返してきた我々は某ファミレスに集結。
せっかく4人集まったのだから、ということで大事な会議を開くことにした。
会議の議題はずばり『8月1日のK-CARインターカップ(耐久レース)での我々のチーム名を何にするか』である。
マシン名は“台風を呼ぶアルトワークス”…にすると今日みたいにひどい目に遭いそう、ということで、やっぱり“嵐を呼ぶアルトワークス”でOK。
で、いざチーム名は、となると、これが紛糾した。
「とりあえず、F1とか、GT選手権とかのチーム名っぽくしよう」
という基本方針は定まったのだが、そこから先が大変であった。
ちなみに、私が長年温めていたチーム名は、
へらあり
どーです、この弱そうな名前(笑)
“イタリアの跳ね馬”と比べると、日本の駄馬って感じ。
ちなみに、私が昔書いた峠の走り屋コメディ小説でも使ったネタなので、そちらをお読みの方ならご存知だろう。
が、kyu氏は結構気に入ってくれたが、他の二人はいまいちって感じで結局没に…。
続いて出た名前。
冗談・スズキ
F6Aエンジンを搭載した黄色いマシンを想像し、みんな爆笑。
確かにこんなマシンに私みたいな素人を擁してレースに参戦しようというのだから、冗談みたいでいいではないか。
そんな感じで、一時これを正式に採用しそうになったのだが…。
ここ最近は本家がF1で没落気味なので却下。
何より、それよりインパクトのある名前を思いついてしまったのである。
それが、
B.A.R・スズキ
ちなみに、B.A.Rは何の略かというと、
B:貧乏
A:アルトワークス
R:レーシング
名は体をあらわす。完璧である。
13万で買った中古で、お金をかけずにレース参戦するという、我々のポリシーをすべて表している。
あるいは、
B:ビギナー
A:雨続
R:レーシング
この二つの意味をもつということで、みんな大納得(笑)
こうして、我々4人のチーム名は、『B.A.R・スズキ』と決定したのである。
この名前は結構便利なので、今後、我々4人の事を『B.A.R軍団』と呼称する。
◇ブレーキフルード交換◇
その次の週。
6月19日、B.A.R軍団が再び集結。
今度はアルトのブレーキフルードの交換である。
明日のしのい走行会に向け、これがメンテナンスの最終項目。
というわけで、楽しくないが、写真をご覧いただこう。
ブレーキフルードってこうやって交換するのだ、ということがお分かりいただけると思う。
まずボンネット内にある、ブレーキフルード(古いもの)を吸い出す。
ブレーキの裏側の蓋(↑)を開け、ホースを接続。
新しいブレーキフルード。
早速注入。
車内でブレーキを踏むと、ホースからブレーキフルードが吐き出される。
こうして、古いブレーキフルードを全部出し、新しいのに交換完了。
これで、ブレーキを踏んだときの変な遊びがなくなり、踏めばちゃんとその分だけ効くブレーキフィーリングが復活したのである。
こうして、インターミッションは終了。
明日はいよいよヒーローしのいサーキットにて初走行である。
◇ヒーローしのいサーキット初走行◇
ヒーローしのいサーキットは栃木県宇都宮市篠井町の山の中にある高低差の大きい難コース。
2004年6月20日、私は初めてこの地に足を踏み入れた。
これがしのいサーキットのコースレイアウト。
そして早速アルトワークスを駆り練習走行へ。
頑張って走ってコースを覚えてます。
が、しかし。
私が参加した練習走行の時間帯は、なぜかコースアウト、クラッシュ、赤旗が続出。(私は無事)
一通りコースを覚えることはできたが、マシンが壊れた方もいらっしゃることだし、この走行会の模様は参戦記的にはあまり触れずに、さくっと次に行こうと思う。
グランツーリスモとは違い、リアル走行会ではクラッシュしたら、当然ながらマシンは壊れるし、壊れたマシンを直すのに時間もお金がかかる。
下手するとドライバーもけがをする。レースは楽しい趣味だが、もちろんリスクはあるのだ。
我々にとってもそのことを改めて実感する場となったのである。
本番の2時間耐久レースでは、私は無事に走り切れるのだろうか…。
◇次回予告!◇
しのいサーキットでの練習会を終えてさらに腕を上げた我々『B.A.R軍団』は意気揚々と2度目のジムカーナに参戦。
今回は軍団4人が全員集合、いよいよE氏の走りも見られるぞ。
次回、『嵐を呼ぶレース参戦記』第十話
「嵐を呼ぶジムカーナⅡ」
ご期待ください!
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