インバウンド消費“5兆円超え”の好機を生かす〜深刻化する人材不足を乗り越えるために【あめつちメルマガ vol.04】
昨年末から今年にかけて、旅行業界は明るい兆しが見えるようなニュースが続き、これからの動向に希望を持たれている方も多いのではないかと思います。
その中で、とくに私たちの目に留まったのが、
・2024年の訪日客、過去最高の3310万人
・訪日客消費が初の5兆円超 23年、人数はコロナ前8割に
という、2つのニュースです。
インバウンドの旅行者数はコロナ前の8割と、かなり戻ってきていることは肌感でもわかりますが、なんといっても注目したいのは、
「訪日客消費が初の5兆円超」
というトピックです。
確実にインバウンドニーズが高まりつつある中で、宿泊業界にとっては千載一遇の大きなチャンスが巡ってきている状況だと言えるのではないでしょうか。
とはいえ、一方では業界全体の課題として、深刻な人材不足が横たわっていることは否めません。
そう現状を悲観する方もいらっしゃるかもしれません。
しかしそんな中でも人材不足に殆ど悩むことなく、コロナ禍においても経営が堅調であった、もしくはコロナ前以上に売上が伸びた宿泊施設があったことも、また事実です。
たとえば、そういった宿泊施設には、次のような共通点ががあったのです。
一言で、「しっかりとブランディングができている宿」です。
言い換えれば、自分達が提供できるコアな価値やユニークネスの見極めができた上で、それを表現する術に長けていること。
加えて、ニーズに応えるために常にお客様の行動や発話を観察し、それに応えられるだけの価値を提供できている。
この2つに尽きると思います。
その結果、コアなファン(リピーター→サポーターに転換)の獲得に成功している。
一回の宿泊体験が特別な記憶となってますますファンを増やし、リピーターにつながるといった、好循環が起こっているケースが多いのです。
さらにその先には、リピーターがサポーターとなって、たとえばコロナ禍などの非常時においても「大好きな宿を応援したい」一心で現地を訪れるといった現象も見られました。(ごく少数ではありますが)
それほどサポーターやファンの方々の宿に対する思い入れには、強いものがあるのだと思います。
「顧客から愛される宿は、いざという時にも強い」と感じた瞬間です。
そして、私たちはこのような事例を知っているだけに、一つでも多くの宿泊施設様が人材不足のお悩みを解決して、今高まりつつインバウンドニーズに応えるための策を見出していただきたいですし、そのためのサポートもさせていただきたいと思っています。
では、具体的に、今の深刻な人材不足をどのように解消したら良いのでしょうか?
まず、この問いへの解としてまず考えられるのが、DX推進です。
もちろん一口にDXといっても、その分野は様々で、宿ごとの課題も多岐にわたっているので、一筋縄ではいきません。
しかしたとえば、人間に代わってフロントでのお出迎えや配膳をロボットが担うというケースも、すでに実例があります。
人的資本が不足している中で、ロボットをはじめ最新のIT技術を導入することで解決しようとする方法は、効率の観点からは手っ取り早く、メリットもたくさんあるでしょう。
しかしその一方で、とくに老舗高級宿に見られるように、クオリティの高いサービス、長年培ってきたおもてなしこそが宿のアイデンティティであり、コアな価値としている宿は、まさに「ヒト」こそが、かけがえのない資産になります。
そのため、なかなかDXには踏み切れないというジレンマを抱えていらっしゃるかもしれません。
いずれにしても、宿ごとに抱えている課題も異なれば、アイデンティティも異なるため、「これが正解」という答えはどこにもないと思います。
また、間をとって折り合いをつける、わかりやすい折衷案があるわけでもありません。
「一体どこから手をつけて良いのかわからない…」
そんなふうに頭を抱えていらっしゃる方もいるかもしれませんね。
とはいえ、ご自身の宿泊施設にとって最適なソリューションを探ろうと努力することは、今こそ重要なのではないでしょうか。
経験上、今すぐにでも解決しなければならない喫緊の課題がある状況においては、手早く、すぐにでも解決できるプランを選択したくなる気持ちは誰にでもあると思いますし、そのお気持ちは私たちもよく理解できます。
しかし、それでもなお、立ち止まって考える勇気が必要だと思います。
前置きが長くなってしまいましたが、今後につながる大事なトピックとなりますので、現状の業界の課題を踏まえた上で、まずは
「人手不足をどう乗り越えるか?」
という課題提起をさせていただきました。
繰り返しになりますが、私たちは、この課題に対する明確な答えをもっていません。正解は一つではないからです。
ただ、必ずそのお宿にとっての最適なソリューションがあると信じているので、微力ながらもそのお手伝いをさせていただきたいと思っています。
そのような私たちの考えから、次回は私たちが考える、人材不足の課題解決方法のヒントをお伝えできたらと思っております。
(次号に続く)
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