見出し画像

短歌の入門講座と向き合うとき

 7月11日に短歌の入門講座が開かれる。講座で話すのは私本人で、誰かと話すでもなく、私一人登壇することになる。場所は江別蔦屋書店さん。行ったことがある方はわかるだろうが、二階建ての建物にびっしり本が並んでいるおしゃれスポットだ。ハリーポッターに出てきそうな空間である。
今回は江別蔦屋書店さんからのオファーで、「短歌をこれから読む方のための選書をしてくれませんか? 久石さんのおすすめの本とかも知りたいです! それに併せてイベントとかもできたらいいですね!!」とあれよあれよと決まった。私自身、歌集を発表していくつか原稿依頼などをいただき、また、本当にありがたいことに地域密着で活動する江別蔦屋書店さんからのオファーだったので、大変光栄であった。うれしく感じた。
 なので今回の企画はそのようにことが進んだのだが、ただ、正直な話をすると、短歌の入門講座とは、一体なにを話せばいいのだろうか、と悩みの一つとなってしまったのだ。美容室で働き、お客さんに「今度、トークショーをするんですよ。何話せばいいですかねえ?」と冗談ぽく話しておどけていた。短歌の講座を受講したことはなく、こんな感じでしたよ、と感想をいくつか聞いたくらいであった。実態は正直よくわからない。
 そんな中、参加者を募るページが江別蔦屋書店さんのホームページに掲載され、Twitterにも案内が載る。載るなり10分ほどで参加申し込みの連絡をいただき、これは本格的に取り組まないとなあ思った。その前から何を話そうか、おおかた準備は進んでいたが、参加者の顔ぶれをみて(知り合いも何人かいた)、もう少しレベルを上げてもいいのかもしれない、と思った。
短歌を初めて読むというテーマだったからこそ、選んだ歌集を元に話を進めていこうと思っていたが、それをベースに実作にも通じる話も織り込めたらと思う。参考にした短歌講座があるわけではないけれど、私が考える短歌講座にお付き合いいただけたら幸いです。性格的に真面目な感じになるだろうけど、真剣に取り組みますので、何卒。
ちなみに、残り少し席があります。気になる方は前のブログから連絡していただけたら幸いです。

ちなみに、江別蔦屋書店さんのフェアで選書した本たちとコメントは以下の通りです。

  
『光と私語』 吉田恭大 いぬのせなか座 
装丁の美しさ、なにげない景色の美しさ、ページをめくればその美しさと冷ややかさが軌跡となっていきます。
ここは冬、初めて知らされたのは駅、私を迎えに来たのは電車
 
『桜前線開架宣言』 山田航 左右社 
これから短歌を読んでみたい人のためのガイドブック。40人40色の歌人が一気に読むことができます。丁寧な解説付きで一人一人を紐解いてくれます。
まずはこの一冊からでも!
 
『みじかい髪も長い髪も炎』 平岡直子 本阿弥書店 
2012年の歌壇賞受賞の歌人。たくさんの人が待ち望んでいた、いまもっともホットな歌集です。 
すごい雨とすごい風だよ 魂は口にくわえてきみに追いつく
 
 『花は泡、そこにいたって会いたいよ』初谷むい 書肆侃侃房 
この本に出合って短歌をはじめた。という人もたくさんいます。短歌の表現は自由だと教えてくれます。
エスカレーター、えすかと略しどこまでも えすか、あなたの夜をおもうよ
 
『遠くの敵や硝子を』服部真理子  書肆侃侃房 
日常の静けさの中にぬくもりがあり、同時に鋭利なものが潜んでいる。 それが「かっこいい」に繋がるような歌集です。
缶詰の桃にちいさな窪みあり人がまなざし休めるための 
 
 『短歌という爆弾-今すぐ歌人になりたいあなたのために-』穂村弘 小学館 
自分の想いを短歌で表現する。そのいろはがここにあります。実践的に短歌を作ってみたい。歌集をより楽しみたい、という人にはぜひ!
 
『砂丘律』千種創一  青磁社 
中東を舞台とした短歌がいくつもあり、ここではないどこかへ連れて行ってくれます。人へ土地への恋しさが募っていく歌集です。
新市街にアザーンが響き止まなくてすでに記憶のような夕焼け
 
『中澤系歌集 uta0001.txt』中澤系 皓星社 
生きていた軌跡をたどる。歌を目の前にして、立ち止まり、想像してほしい、そんな歌集です。 惹きつけてくれる歌に出会えます。
3番線快速電車が通過します理解できない人は下がって 
 
 
『たんぽるぽる』雪舟えま 短歌研究社 
みずみずしい世界を泳ぐことのできる、なんども開いてしまう、そんな歌集です。星野源さんにも紹介されました。
夕立に逃げ出すなにもかもよみな実りゆたかな旅をしなさい 
 
『シンジケート [新装版]』穂村弘 講談社
短歌という表現で言葉と言葉、言葉から言葉、認識がアップデートできるような歌集です。色褪せない短歌の魅力が詰まった歌集です。 
終バスにふたりは眠る紫の<降りますランプ>に取り囲まれて
 

『グッドモーニング』 最果タヒ 思潮社 
詩を書き始めたころ、この詩集から詩の面白さ、切実さ、表現の広がりを教わりました。 今までとは違う詩の風を感じることができます。人気詩人の第一詩集です。
  
『第七官界彷徨』 尾崎翠  河出文庫
「人間の第七官にひびくような詩」を書きたいと願う少女・町子。一風変わった兄弟と従兄とのやり取りが今読んでも新鮮で面白いです。一人一人の登場人物が魅力的な物語。
 
『奇跡の本屋をつくりたい』 久住邦晴 ミシマ社  
札幌にかつてあった本屋さん「くすみ書房」のお話。「なぜだ!?売れない文庫フェア」「中高生はこれを読め!」、ユニークな企画を次々と打ち出した本屋さんの歴史!
 
 
『自分を代表させるような仕事はまだありません。』 村岸宏昭 かりん舎  
北海道大学に在籍していた村岸さんは不慮の事故で亡くなりました。それまでに作った作品の数々がいまでも熱を持ってあらゆる人の心に宿っています。
 

また、本の流通的に見送りになった本は以下の通りです。

『夏の前日』 吉田基已 講談社 
『プールの底に眠る』白河三兎 講談社 
『SAKAIME』  YASUKI YOSHIMOTO  自費出版)

この本たちも良いので気になる方はぜひ

#江別蔦屋書店 #短歌 #久石ソナ #雨とランプ #蔦屋書店 #江別 #短歌講座 #選書 #エッセイ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?