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フリースクール活動日記 2024/02/01-あけぼの子どもの森公園

 今回の行き先は、「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」とすでに内定していた。これは当然、トーベ・ヤンソンの代表作品「ムーミン」に関する公園である。もっとも、正確にここについて知っていた者はそこまでいなかったようである。なにせ、皆の注目は既に別のはなしに移っておりこの話を聞いていた者自体がそもそもいなかったようだからだ。これは、僕が三笠へ行くためにありとあらゆる方法を使って皆の注意を他に向けさせたのに似ている。(本当は、たいして何もしていない)さすがだ。
 とはいえどんなところへ行くのか気になって調べてみたのだが、「ムーミン谷」の入場には3600円かかることが判明した。さすがに、これはまずい。遠方からはるばる来ているメンバーも幾人かいるのだから、この値段はまずい。そう思ってイマンモに問い合わせてみたのだが、実際行くのはあけぼの子どもの森公園というところで、そこの入場料は無料。つまるところ、僕の思い違いであったわけだ。
 そうした翌日。僕は未だ誰もいない集合場所、元加治駅にて度肝を抜かれていた。周囲に何もないような田舎ではない。けれども、建物があるからか余計に閑散として見える。第一人の数がまばらだ。なんだかどこかでみたような風景だ。人の数が少ないから、あそこを通っている男性やこっちに向かってくる女性などすべてが怪しく見えてしまう(これは、あくまで人間慣れしていないが故の思考回路です)。皆が来るまで改札の中にいればよかったと思うものの、いまさらあとの祭り。そもそも脚は筋肉痛。そして行き先が公園である以上龍角散から逃げまどうのは必至。なんでこんなタイミングで筋肉痛になってしまったのだろうか。それも昨日のドロケイで立ち入り禁止区域に突っ込んだ龍角散が破壊した場所を直していたからなのだが、そんなこともいっていられない。

 しばらくして合流すると、ただちに歩き出す。すぐに川が現れ、それに沿っていくと公園に。意外にあっという間だったように感じる。そうしてしばらくすると、最後尾を歩いていた僕たちの前から人の姿が一掃された。皆、「きのこの家」というところに飛び込んでいってしまったのだ。そうしてどたんばたんと外からも聞こえる音を立てている。さすがに僕たちは違う。そんなことはしない。

 というわけで外側からいくつかの窓が開くかどうか、そこから入ることができるか試してみているのだが、残念なことに内側からロックがされているようで、どの窓もぴくりとも動かない。ならば内側から開けてしまえばいいと、ヨッシーと二人家の中へと突入して。すっかりその気をなくしてしまった。なんてったって内装がすごい。入ってすぐのところに台所など多くあり、時計などはいくつかの場所が開くように作られている。

 こんなところでかくれんぼなんてやったら、面白いんじゃあないか?そう考えたのは僕だけではなかったようで直ちに実施されることと相成った。鬼は、龍角散。しばらくあちこち移動していた僕だが、最終的には戸棚の裏に隙間があることを発見し、無理やり体をねじ込み息を殺して鬼を待った。そんな鬼はかなり腕がいいようで、初めて来るにもかかわらず的確に皆の場所を当てていく。しかし、そんな彼でもさすがに初めて来た場所でのかくれんぼは難しかったか。
 あたりからは見え難い戸棚の裏に隠れ、たまに龍角散たちと目が合いそうになり必死になって体を畳みこんでいた僕と、龍角散が探し終えた場所へとすぐさま移動して見つからないよう細心の努力をしていたχαοσ。この2人のみが、見つからずにゲーム終了時まで居続けることができた。
 しかしながら、ここは屋内である以上一方通行の場所が非常に多い。その後はなかなか隠れる場所が見つからずに幾人かと隠れ場所で鉢合わせることになることもしばしばあった。
 これは、そんなメンバーが隠れる場所のない地下室で鉢合わせ、実に5,6人という大勢が一挙に鬼に見つかってしまった場面である(関係ないが、僕にはかなりの若干の誇張癖があるため、ここは3.4人というように捉えてほしい。)。しかしながら、その4,5人の陰に隠れるようにしてχαοσを生き永らえさせることができたのだから、これも意味ある行動であったのだろう。(そのしばらくあとに鬼、ヨッシーによって彼も発見されてしまったのだが……)
 また、ショックで倒れ伏しているメンバー幾人かを認めた龍角散が、そのうち白色の服を着ていた者の両足をつかみ、部屋の隅から隅まで引きずっていったことを見た者たちはみな一様に、憂慮の念を深くした。なぜかって、ここに来たということは彼、龍角散も見つかってしまっているということなのだもの。

三階。そんなことで、隠れられるとでも思っているのか?
地下室、死屍累々。

 15分勝負を4回以上繰り返したから、ざっと1時間は遊んだだろうか(その時間にきのこの家に入ろうとしていた人たち、本当にごめんなさい)。いい加減に飽きてきたメンバーたちが連れ立って食事のため家を出て高台へと移動してゆく。この公園、思った以上に遊ぶことができる、まだ「きのこの家」だけなのに、1時間も遊ぶことができたと息を巻いている連中と、すっかり疲れ果てている者たちと。この時点でメンバーたちは二通りに分類された。当然、筋肉痛だったりする者たちはみな後者に分類されている。
 食後、彼らはさっそく子ども劇場というところのホールへと足を運んでいく。そこで窓を全開にすると、いい具合に風が入ってきてとても気持ちがいい。今日は暖かいし最高の日だ。ここへ来てよかったと皆が満悦していると、公園管理の人がやってきて無情にも窓を閉めていった。なんてことをと最初は思ったが、なんとこのホール、床暖房が付いていた。日光が入ってこなくなったのは残念だけれど、こうしているのも悪くはない。

この後すぐ、この扉とも窓ともいえるものは全て閉められてしまった。
でも、「靴をここで脱いで」とあったら、ここが入り口だと思うではないか。

 けれども大多数の人々にとってはまだ遊び足りないようで、再びきのこの家へと戻るメンバーも続出した。その間暖かさを享受して長閑に豆を喰ったり芝生に寝転がったりと残りのメンバーも好き勝手に過ごしたのだが、午後に入って急激に冷え込み始めた。これはなんとしたことか。あまりの寒さに耐えかねたのか、まずカッパくんが逃げるようにいなくなり、次いでみな帰り支度を始める。けれどもあまりの疲れか足が全くと言っていいほど持ち上がらない。隊列も前後にかなり伸びて、結局駅に入ってきた電車に滑り込むことができたのは先頭にいた僕、ヨッシー、ソース。そして電車を認めて駅まで猛スピードで走りこんできた龍角散・χαοσコンビのみだった。
 そういえば、今日はドクロ仮面がいない。彼がいない光景というものが思い浮かばないのだが、なぜいなくなってしまったのだろうか。具合でも悪くしたのか?奥多摩合宿にも来ると言っていたくせに来なかったではないか。いったいどうした、ドクロ仮面。

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