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読書記録-吉村昭

 最近よく、歴史小説を読んでいる。吉村昭の「天狗争乱」、「彰義隊」や「白い航跡」。昔は、いわゆる戦史小説を読んでいたのだが、最近ではそれらを読むことはあまりない。
 僕が吉村昭を好んで読んでいるのは、その小説が綿密な調査に基づいて書かれているからだ。そんな吉村昭の本と、また同じくテーマが同じ本を読み内容を比較することが楽しい。
 基本的に吉村昭の小説は江戸時代末期から第二次世界大戦までを主題としている。これらについてだが、当然僕はその現場には居なかった。だから、あたりまえかもしれないが、それらについての知識がほとんどない。
 僕は、小学校では歴史を習うことが好きだった。特に江戸時代から近代まで。当時好んでいた小説と照らし合わせて楽しんでいた。
 そんなわけで、数年前に「零式戦闘機」を読んでから吉村昭の小説を好んで読むようになった。「陸奥爆沈」や「総員起シ」、「羆嵐」。折良く父が持っていたもの、地元の図書館で借りたものも合わせて40数作品は読み終えている。
 ことに最近では、幕末から明治までに焦点を置かれた歴史小説に熱中している。それぞれが違う視点から眺める同一の物事を客観的な視点で読むことが出来るからだ。
 例えば、ペリー来航時に通訳を務めた人物の目線から描く「黒船」。難破船に乗ってロシアまで漂流した人物について語る「大黒屋光太夫」。これらをそれぞれ読むことで、文中の表現に対して「これは、先ほど読んだ本の舞台だ」、「この人は、先ほど読んだ本の主人公だ」などと別の視点からそれぞれを見ることが出来て、とても面白い。
 そういうところが、僕が吉村昭を愛読している主だった理由の1つだ。まあ、一番の理由は吉村昭の文章能力が高いからだが。
 昨年1月「破船」を読みはじめたときには国語の師匠のまっつんからも「いいかげん吉村昭以外も読め」と言われたため、昨年10月頃からは谷崎潤一郎に移行しているが、それでもなにか本が読みたいときにはまず吉村昭に手を伸ばす。
 ところで、3月9日に井の頭公園駅付近にて「吉村昭書斎」なる建造物が一般公開されるという。ちょうどその日は吉祥寺に行く用事があるのだし、初日を狙ってその日のうちに行くことにしたい。
 そんな吉村昭書斎への年間パスポートなるものは300円。一回の入館料は100円なのだから、吉祥寺に来るたびにここに寄れば1年で十分元を取ることができる。そして個人的にも年間パスポートというものにあこがれがありぜひ欲しいのだが、困ったことに中学生以下は入館無料だという。これは学生証など身分証を提示すれば無料で入ることができるということなのだろうが、そこをなんとか「無料で年間パスポートがもらえる」といったふうに解釈してくれないだろうか。切に願う。

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