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Ep21.函館山 俺はここまで来たんだ 函館編1

2001.3.31

 今日は初北海道。東北本線を北上する。途中青森駅で若干の待ち時間がありカモメの飛び交う駅前で演奏。目前の青森ベイブリッジが結構お洒落でイメージと違う。何人かのおじさん、おばさんが「美味しいもの食べてね」と1000円札を入れてくれた。

 青森→函館は快速「海峡」に乗る。青函トンネル初体験でワクワクしてたのだが気が付いたら爆睡して函館までほとんど寝ていた。13時40分函館到着。一時あられのような雪が舞っていたがすぐ降り止んだ。

 駅前は観光客が多いがあまり栄えては居ない。地図を見ると五稜郭公園の付近が繁華街らしい。街には路面電車が走り遠くに雪化粧した函館山が見える。美しい街だ。

 函館では迷わずにすぐホテルを取った。一泊3800円のビジネスホテルにチェックイン。少しくつろいでからシャワーを浴びようとしたらお湯が出ない。フロントに苦情を言うと部屋にきてくれて何やらガチャガチャ直してくれた。「お湯の量を増やしたからもう大丈夫ですよ」と言われたが今度は冷水が出ない(一番冷たくしてもお湯)状態に。。。

 その後東京の前妻から携帯に電話があったが「ホテルに電話したら『うまく繋がらないので諦めてくれ』って言われた」のだそうだ。おいおい、これは駄目ホテルだ。

 夕方翌日のラジオ出演に備えてFMいるかの場所を下見に行くことにした。路面電車で十字街下車。通りには都会のようなギラついたネオンとは違う淡いガス灯の様なランプが連なっていた。このオレンジ色の光の中を路面電車が走り去る景色が実に美しかった。

 FMいるかの建物は函館山の麓にありかなり急な坂を上らなければならず、ギターを担いで登るのは相当疲れた。ちょうど函館山に登るロープウェイの発着場の向かいにFMいるか発見。これで明日迷うこともない。

 それにしても観光客が大勢いる。折角ここまで来たのだから夜景でも見に行ってみようか?思えばこの旅、観光らしき事は何一つしていない。ちょっとぐらい良いだろう。

 ギターをチェーンでガードレールにくくりつけロープウェイに乗ってみた。ロープウェイが動き出すと夜景鑑賞のために車内灯を消してくれる。山肌に所々雪を被った函館山の斜面をゆっくりと登っていく。それに従い徐々に夜景のパノラマが広がる。あまりの美しさに周りから感嘆のため息が漏れた。

 山頂に着くと皆展望台に移動。俺もあまりの美しさに声が出ない・・・神戸の夜景やNYのワールドトレードセンターからの夜景も見たことがあるが、そのどれとも違う。左右に湾曲した海岸線沿いに連なる柔らかい光の波が彼方の海に溶けていく。来て良かった。それまでの旅での出来事を思い返しながら「俺はここまで来たんだ!」と思うと思わず涙がこぼれそうになった。

 それから函館山を下山して五稜郭方面に向かった。ここで夕食。既に観光客と化した俺は思わず寿司屋に入る。お任せで握って貰ったら新鮮で柔らかい蛍イカの握りを出してくれたが絶品だった。東京じゃまずお目にかかれない。他にも色々食べてビールも飲んで会計は4300円。思ったより安い。

 満足した所で十字街の交差点で演奏開始。ハタさんの奥様から貰った指先だけ空いた手袋が大活躍!もしこの手袋がなかったら、そしてもしシラフだったら果たして演奏出来ただろうか?と自問自答したくなる寒さ。

 酔客らしきおじさん達がちょこちょこ小銭を入れてくれるが彼等にしても立ち止まって聞くにはいささか寒さが厳しい。でも一組のカップルが立ち止まって聞いてくれた。明日ラジオに出演することを伝えると「頑張って下さい!ラジオ聞きます!」と言ってくれた。CDも購入してくれて更にサインを入れて欲しいと言うのでジャケットに下手くそなサインをしてあげた。とても優しそうな彼と滅茶苦茶綺麗な彼女の超幸せそうなカップルだった。

 他にもポツポツ小銭を入れて貰ったりしてこの日の売り上げは約5000円。寿司のもとは取った。ひとしきり演奏して帰ろうと思うと既に路面電車の終電は終わっていた。(路面電車の最終は22時頃で終わってしまうのだ)仕方なくタクシーで函館駅へ向かう。すると、何てことだ!!夜中も駅舎が開いてるではないか!しかも暖房入りだ。ホテルを取る必要無かったなと思ったが仕方ない。この日は大人しくホテルに戻って眠りに着いた。

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