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Ep23.凍てつく雨に雨宿り・・・ 函館編3

2001.4.2

 目を覚ましたのは何時頃だったろう?既に函館駅は観光客で溢れ帰っていた。寝袋を畳んでトイレで顔を洗う。肌が切れそうな冷たさだ。とりあえず今日も五稜郭公園の方に出てみようか。

 駅を出ると外は冷たい雨が降っていた。路面電車に乗って十字街に移動、交差点近くの喫茶店で カレーを食べる。メニューにはただ「カレーライス 750円」と書いてあるだけだったが、出てきた カレーにはイカ、ホタテと贅沢にシーフードが煮込まれていた。これは美味い!さすが函館!

 その後雨は夕方になっても降り続いていた。雪ではないが凍てつくような寒さだ。これは演奏は厳しいかな?しょうがない、今夜は演奏は断念しよう。

 路面電車で駅まで戻りギターを公衆電話にくくりつけて銭湯に行く事にした。熱い風呂に浸かり汗を流す。生き返る気分だ。それから函館駅に戻り、駅舎でサキイカや唐揚げくんをツマミに缶ビールを飲んでいた。傍目には他のホームレス達と見分けが付かなかったかもしれない。

 気持ちよく飲んでいたら女の子が声をかけてきた。

「あの、スイマセン。ちょっと お願いがあるんですけど・・・」幼い顔つきの真面目そうな女の子だ。
「実は彼氏と連絡を取りたいんだけど、寮にいて女性からの電話が繋いでもらいにくいので代わりに電話して貰えませんか?」

 彼女の名前はミユキちゃん。18くらいかと思ったら28だった。「高校生くらいかと思った」と 言うと「失礼な!」と怒られた。なんと網走近くの北見という町からバスで12時間近くもかけて彼氏に会いに来ているそうだ。にもかかわらず彼氏と連絡がつかないらしい。快く手助けしてあげる事にした。

 ミユキちゃんの携帯を借りて電話をかけてみる。

「もしもし、青山と申しますが×× さんお願いします。」
電話に出た男「いま出かけてるみたいですけど」
「いつ頃戻るか わかりますか?」
「いやーちょっと分からないです」
「そうですか。わかりました」と 電話を切った。

 彼女にそう伝えると「これは絶対パチンコだ!」と怒り気味。しょうがないので2人で世間話をした。遠距離恋愛の悩みや彼氏への愚痴なんかを聞いてあげつつ、俺の旅の話も聞いて貰う。曲を聞いてみたいと言うがあまりお金を持ってなさそうだったので500円でCDを売ってあげた。

 そうしてるうちミユキちゃんの携帯に彼氏から連絡が来た。彼女が彼氏に会いに行ったので後は一人ビールを飲み駅舎のベンチで眠りに着いた。

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