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Ep26.次の街へ 13時間半の列車旅 仙台編1

2001.4.5

 いつもの函館駅のベンチ。目が覚めた瞬間サワナカ君と目が合い「おはようございます」と言われた。人懐っこい笑顔だ。随分早くに駅に来ていて俺が起きるのを待っていたらしい(笑)


「旅、頑張ってください。俺も今日はちゃんと仕事を探しに行こうと思います。」とサワナカ君は照れ臭そうに言ってくれた。函館での出来事、出会いを思い返すと少し名残惜しい。

 今日は5日間滞在した函館から次の街へと出発の日だ。計画では次は盛岡の予定だったが2日ロスしてしまったので盛岡は飛ばして仙台へと向かう事にした。サワナカ君に見送られながら俺は8時ちょうどの快速「海峡」で函館を後にした。

 この日の移動時間はこの旅はじまって最長の13時間半!何回乗り換えたか分からないが電車内ではほとんど寝ていた。途中携帯が鳴って起こされると盛岡のオノ君からの電話だった。盛岡に行けなくなってしまった事を伝えると凄く残念がっていたがまた夏には行くからと約束した。(実現できなかった)

 一ノ関~仙台への車内では起きて外を眺めていた。もうすっかり真っ暗で電車は灯りのない殺伐とした平野をひた走っていた。暗闇を見つめながらこの旅が終わりに近づいて来ている事をちょっと寂しく思った。

 やっと仙台に着いたのは21時30分だった。晩飯は吉野屋の牛丼250円。仙台は思いの外大都会だった。街並は東京と大して変わらない。そしてこれまでの街と比べて格段に温かい。移動してるだけで汗をかいてきた。

 これだけ暖かければ野宿でも構わないのだが出来れば風呂に入りたい。銭湯を探して歩いて見たが見つからず。一泊2800円のサウナを発見。風呂に入りたいだけなのに痛い出費だが仕方がない。チェックインしてしまうと外出できないシステムなので演奏が終わってからまた来ることにした。

 アーケードの商店街に出てみたらどうも人が少ない。時間は23時半、遅かったかな?まぁいい。演奏を始めよう。他に演奏してるヤツはいない。こんなもんか?仙台。

 しばらく歌っていたら4人組の男の子が聞いてくれて、ひとしきり世間話をしてから去って行った。もう全然人通りもない。サウナに行って休もう。残念ながらストリートでの収入はゼロだった。

 サウナにチェックインして荷物を預かってもらい雑魚寝の部屋に行く。毛布が有料だったので寝袋だけ持参した。疲れ切った男達が爆睡している中に混じって俺は寝袋で眠りについた。 

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