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Ep27.ブラジル人と大盛り上がり 熱唱のアーケード 仙台編2

2001.4.6

 かなりゆっくり眠っただろうか。朝10時過ぎに目を覚ますとおばちゃんが清掃をしていて他の客はほとんど誰もいなかった。

 チェックアウトしてからミスドで昼食を摂り街を散策。漫喫に入りネットをしながら夕方まで時間を潰した。

 夜は早めに19時過ぎにアーケード内で演奏を始めた。若いカップルが数曲聴いていってくれた。自分的にはいまいち声の出が悪くテンションが上がらないが1時間程歌っていたらようやく声が出るようになってきた。

 2人組のビジネスマンが立ち止まって聴いてくれた。1人が「一番得意な曲を歌って」と言うのでサイモン&ガーファンクルのAmericaを歌う。するとギターケースに1万円札を入れてくれた!いくら何でも多すぎるとお断りしたら「あなたはとても良い声をしている。マイクとミキサーを買って歌もアンプから出せるようにした方がいいですよ。ミキサー代の足しにして下さい。」と言ってくださった。ありえない有り難さ!!

 その後クラプトンを歌っていたら2人組の外人が「Oh! Clapton! 」と言って立ち止まってくれた。ブラジルから来たと言う2人。一人は英語が駄目であまり会話が出来なかったが一人は英語OKで日本語も少し話せる。名前を聞いたら TANAKAと言われた。田中??そうか、日系の家系なんだろう。顔は全くの白人だが。

 2人はハードロック好きで、リクエストを聞いたらディープパープル、ホワイトスネイク、レッドツェッペリンとか言い出す。やってやろうじゃん(笑)「ハイウェイスター」シャウトしまくる!彼等も大喜び。関係ないおじさんが乱入してきて嬉しそうにサビのフレーズを一緒に歌う。部下に「部長!何してんですか?」と呼ばれ1000円置いてくれて去っていった。

 それからことごとくブラジル人のリクエストに応えて大盛り上がり。2人は大喜びで一曲ごとお金を入れてくれ総額で5000円くらいになったんじゃないかな?タナカさんが最後に「You will be a big talent(お前きっとスターになるよ!)」と言ってくれた。(ごめん、実現できなかったよ)

 0時頃に2人は帰って行き人通りが少なくなったので場所を変えようとアーケードの奥の方に移動。そこで弾き語りをやっているコウジ君と出会った。めっちゃ歌が上手い!少ししゃがれた感じの良い声だ。

 俺も負けずにDON'T GO AWAY を聞かせてみた。どう考えても彼の方が歌が上手いが俺もこの旅で随分変わった。天狗になったりはしないが臆したりもしない。圧倒された様子で「凄いっすね~」と言ってくれた。コウジ君が帰ると更にアーケードの奥に移動。

 次に出会ったのは男女の2人組。女の子がブームの「中央線」を歌っている。これまた良い声だ。ユーミンをもっと上手くした感じの個性的な声が真夜中のアーケードに良く響く。

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走り出せ 中央線
夜を超え 僕を乗せて
*****

 2人はユニットを組んでいる訳ではなく顔見知りなのでその日たまたま一緒に歌っていたそうだ。男の子の名はモリ君。彼も歌が上手い!どうなってるんだ?仙台。レベル高いぞ!

 モリ君はコウジ君に比べると声量はないが高音の切れが素晴らしくハスキーな艶っぽい声だ。ロカビリーが好きだそうで「Be Bop A Lula」を歌ってくれた。うわー かっこいいわ!!俺もリードで絡んでセッションがスタート。

 俺も色々歌って聞かしていたら顔なじみと言う女の子が声をかけてくる。ショウリンと呼ばれていた彼女は18歳。めっちゃ可愛い。飲んだ帰りらしい。(未成年!ダメですよ〜)彼女も弾き語りをやっているらしいがこの日は「酔ってるから」と始終オーディエンスに徹していた。

 モリ君がある曲を歌い出したので「ハッ」とした。そう、川村かおりの「金色のライオン」だ。盛岡のオノ君が仙台にいた頃に友達に教えて貰ったあの曲だ。 まさかその友達がモリ君??確かめたくてもオノ君の名前は出せない。(盛岡編参照)

 試しに聞いてみた。「この曲歌ってるのってモリ君以外にいる?」「あぁ、この辺じゃこれみんな歌ってますよ」

 あらら(笑)じゃぁ特定出来ないな。残念なようなホッとしたような(笑)

 しばらく歌って朝方モリ君と別れる。どこかで寝ようとウロウロしていたらダイエー前でギターを持ってたむろしてる若者たち発見。彼等も凄く気さくでまたもセッションが始まる(笑)最終的には7時半頃ダイエーの警備員に「それだけ歌ったらもういいだろ?そろそろ帰りなさい」 と促されて解散。

 皆に手を振り仙台駅に向かった。今日は宇都宮だ。電車の中で寝るとしよう。

 ちなみにこの日は歌った時間合計約10時間、収入はこの旅最高の2万円近くになった。派遣時代の日給を軽く超えている。金額だけが重要ではないけど、この時俺はサラリーマンの頃には決して感じることのなかった「自分の足で自分の人生を歩いている!」という充実感を感じていた。

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