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グリーンカードへの新たな壁? I-944 パブリックチャージ(Public Charge)って何なの?

こんにちは、アメリカ法律相談です。

Update (2021年3月)

I-944におきましては、2021年3月9日 米国控訴裁判所は、全国のPublic Chargeを無効にする決定を下しました。この決定を受け、USCISは同3月9日およびそれ以降のグリーンカード申請において、I-944(Public Charge)の提出の義務がなくなりました。詳しくはこちらの記事にて解説しております。

つきましては、こちらの記事は過去のアーカイブ目的として参照ください。

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 トランプ政権下のアメリカで2020年に新たに追加されたグリーンカード申請書類(I-944)通称 Public Chargeとは? 申請者にとってどのような影響があるのかを解説します。

 「移民政策が寛容姿勢からメリットベースに?」

 今までアメリカの移民政策、特にビザの発給についてはアメリカらしく全ての申請者に対して寛容な姿勢で審査・支給・更新が行われてきました。ところがトランプ政権下でその状況が一変しました。H1B(就労ビザ)の審査基準を大幅に厳格化し、コロナ渦の2020年には、H1Bの発行を停止、および日本人にとっては駐在員ビザであるLビザにおいても2020年内の発行が停止されました。このような背景には、いままでどのような相手に対しても平等に審査されてきたビザが、より経済的な利益を優先するメリットベースにシフトしたことを意味します。これから移民をする相手に、「アメリカにとってアナタが経済的に自立できて、財政面でお荷物にならない事を証明しなさい」という書類の提出を義務化するようになった。ということです。

「I-944 Declaration of Self-Sufficiency」書類

 経済的に自立できることを証明するために、今回追加された書類は、「I-944」と呼ばれます。全部でトータル18ページにもおよぶ申請書類になります。この申請書により、移民局(USCIS)は低所得者・就労未経験者などのGreen Card申請を審査・追求・否認できる権限を有することができるようになりました。過去においては、「I-864 Affidavit of Financial Support」という書類をGreen Card 請願者が提出すれば審査を通過しましたが、2020年2月24日以降の申請においては、「I-944」および「I-864」の両方の提出が義務化されています。

「Public Chargeって何?I-944と関係あるの?」

 I-944の話題がアメリカの移民コミュニティで浮上したころ、Public Chargeという言葉が同時にニュースで拡散されました。Public Chargeというのは、公的扶助(日本で言うと生活保護に近い)のことです。ただしPublic Chargeに該当するものと、しないものがあるので注意が必要です。

Public Chargeに該当するプログラム(2020年12月時点)

 Supplemental Security Income, Temporary Assistance for Needy Family, 政府、州、郡、市からの収入維持プログラムによる現金支給、Food Stamp、 Section 8 住居支援プログラム、 公営住宅費の援助受給、政府のMedicaid(低所得者向け医療保険制度)に加入していること。

該当しないプログラム(2020年12月時点)

 緊急医療補助金、災害援助金、政府の学校ランチプログラム、女性・幼児・子供に対する栄養補助プログラム、子供の医療保険プログラム、養護施設・養子縁組に対する補助金、政府によるStudent LoanおよびHome Loan、電気・Gasなどの援助プログラム、貧困者に対する食糧提供、避難所から受ける援助、低所得者家庭の幼児への就学プログラム

 I-944を介してGreen Card申請者がGreed Cardを取得した場合、3年以内に1年以上の公的扶助を受けない人物かどうかを審査されます。

内容は申請時に変更されることもありますので、専門家に相談しましょう。アメリカ法律相談では無料相談を実施しております。

では、I-944で具体的に何を審査されるのか?

 いくつかの要点をまとめてみました。主に以下のような基準を申請者と請願者が満たしているかどうか?ということを証明することが求められます。

1. 申請者は18-65歳の期間でアメリカで雇用されうる人物か?

2. 申請者の健康状態は良好か?

3. 請願者の家族の収入は十分か?

4. 請願者の収入は貧困Levelの125%以上の値をクリアしているか?

5. 最終学歴・成績・Professional Skill(資格など)・英語力などの証明

6. 請願者の同居家族の合計収入が政府規定の貧困Levelの250%以上か?

その他、どのような資料・情報が必要かに関しては請願者と申請者のケースによります。このI-944の目的は、GreenCard受給者がアメリカ政府にとって財政面で負担になることを避ける意味と、すでに失業や貧困にあえぐアメリカ国民の雇用や生活保護を確保するという意図もあります。

「アメリカ申請と日本での申請」でI-944処理が違います。

 以上でI-944の解説は終わりですが、グリーンカードの申請には大きく2パターンあり、アメリカ国内での申請と、日本での申請(Consular Processing)があります。2020年現在ではI-944の処理方法がこの2つのパターンでそれぞれ異なります。スムーズに処理を行うために、専門家に相談することをおすすめいたします。

Youtubeの解説動画もあります。

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