道すじ
折坂悠太さんのホールツアーへ行ってきた。
予想外の最前列に僅かな動揺。
仕事終わり、うどんを流し込みながら、彼自身によるアルバム『心理』の解説を読み、その美しさにため息が漏れ、早足で会場へ向かう。
すべての音楽の背景に感嘆する。
開演まで時間があったので内田樹さんの本を読みながら、「自我の中心にあるのはボケナス」という話や、自由であること、縁についての話に深く頷き、有意義に時間を潰した。
音楽を聴きながら、色んなことをぐるぐる考えた。
バンドが洗練されていた。京都のメンバーでバンドを作ったのもセンスなんだろうなあ。
彼の作り出す音、音楽、言葉、世界観、声、佇まい、すべてすき。
少し古風で、日本語のきれいな言葉の数々と、昭和歌謡を彷彿とさせる歌声。唯一無二。
でも、美しい曲だけじゃない。世界の隅や、弱いものを包括するような。それでいて野性味もある。
合間、浅川マキさんのカバーがすごくよかった。「そうさ 人生甘くはないさ」(オールドレインコート)。原曲よりも彼のカバーがすきなので、何度も聴きたい。
音でこんなにも遊べるんだなあ。
折坂悠太はああやって動くんだなあ。指の震えさえ見えた。
(個人的に「鯱」のAメロ始まる前のマラカスさばきに萌える。)
自分の作りたい音楽や表現を研ぎ澄ませて、ここまでやってきたステージを思う。やりたいようにやり続ける勇気と、あのようにしかやっていけない気概とを思う。
あとはパーカッションの宮坂遼太郎さんが気にならないわけがなく、今後注目、。
今日は今日で、小樽の文化セミナーに参加して、脳科学者の茂木健一郎さんやヤマザキマリさん等の話を聞く。
いつの間にか蔑ろにされていく「個性」のこと。
「普通」や「常識」に囚われて、何がしかの枠に収まろうとしていやしないか。
「成功」ばかりがいいものとされていないか。
まさに折坂さんは「大丈夫」のヘリにいるように見えていた。でもそれがたまらなく魅力的なのだ。
もっともっと遠くへ行きたい。
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