ひとり社長(6)経営のために必要な経理知識
あめにきのオフィスのnoteでは、スタッフが仕事をしてきたうえで気がついたことを、書いていきます。
5月は月曜日に、別の記事と交互に隔週更新する予定です。
前回に続いて、ひとりで会社を作って業務を行っている社長についての話を書いていきます。
4.ひとり社長が行う経理(つづき)
・入出金の記録
会社が受け取ったり払ったりしたお金を記録するのも、ひとり社長の仕事です。
紙の伝票や帳簿に記録することもあるでしょうし、エクセルや会計ソフトに入力することもあるでしょう。
規模や状況にもよるところですが、個人客を相手にしていて細かい現金売上がある店舗であれば、現場で発生する伝票をいったん入金簿に記録することが多いです。
あるいは、決済のほとんどが電子マネー決済だ、という場合には、クラウド会計アプリにそのままデータが流れ込むというパターンも多いです。
しかし、それでも作業が煩雑にならない程度で、帳簿類は作成した方がいいと思います。お金の出入りがブラックボックスにならないようにするためです。大人数の事業体ならまだしも、ひとり社長の規模で出納状況が把握できていない、というのであれば困りものです。
まず勘定科目を決めます。ここでは、一貫した決め方を通すことが大切です。
経費振込の手数料が、ときには経費に含まれていたり、ときには雑支出扱いだったり、あるいは事務経費扱いだったり、というのでは、データを用いた経営判断にも影響が出てしまいます。
そして、細かすぎる決め方や大雑把すぎる決め方も、よくありません。
場合によっては、物件ごとに事務所賃料を別建てにすることもありえます。店舗・事務所・倉庫・作業所など、性質が違う物件ごとに賃料を計算してみると、在庫がかさばってるから倉庫賃料が経営を圧迫していることや、売上のわりに広すぎる店だから店舗経費が掛かり過ぎていることを、把握できるようになります。
日常の出費について、6~7個程度の勘定科目で収まるようにしたいところです。その範囲内で、たとえば通信費について、切手と宅配便を分けたりしていいでしょう(なお商品発送の場合は「荷造運賃」、商品仕入の場合は仕入原価に含めます)。
これを本やネットで調べたものをそのまま使ってしまうと、自分の会社の実情に合わない決め方になってしまうことになります。勘定科目だけをまとめた分厚い本があるくらいですから、細かくしようと思えばいくらでも細かくできるので、バランスが大切です。
また、計上モレや二重計上にも注意が必要です。
まず二重計上について。いちばん起きやすいのは、複数の徴憑からの入力です。
特に、正式な領収書がない場合に、クレカ明細と送品書のそれぞれから、同じものを計上してしまう、というミスです。正式な領収書がないので、紙面を見て「これで領収書の代わりにしよう」と、2回思ってしまうケースです。同じ日付で同じ金額の2つの支出があるので気づくことが多いのですが、しかし支出項目が多くなるとそうもいかなくなります。
領収書がないケースは、ネット中古販売など、限られています。ですので、そういう場合専用の帳簿をつけるのも一つの手です。全ての買い物に詳細な摘要を記録するのは効率が悪いのですが、ミスしやすいケースに絞って詳しく記帳する、というのはミスを防ぐ方法です。
そして、雑な処理を招くような科目類は、できるだけ控えた方がいいです。具体的には「現金過不足」「一時借入金」「仮払金」「雑収入」のたぐいです。
私が20年くらい前に勤めていたところは、現金の過不足が頻発していました。職員同士の意思の疎通が薄いところで、職員がそれぞれのやり方で出し入れをしていたのが原因です。今思えば、金庫に入れておく現金の数を決めて、「普段は○円札が何枚、▽円玉が何枚あるのが標準」とでも決めておけば、現金過不足は減るはずでした。
また、ひとり社長の場合ですと、会社の金銭を私的に使う場面があります。これは避けられない場合もあって、例えば自宅兼店舗の家賃を払った場合、その半分は自宅分なのでプライベートな支出となります。だからといって、それを避けるためにATMで半額ずつ振り込むというわけにもいかず、「この支出のうち○万円分は社長個人分」という扱いになります。
しかし役員貸付金が決算で残っていると、融資の際に不利となることもあります。金融機関から見れば、事業のために貸したお金が社長のプライベートに流用されていくことになるからです。
次回に続きます。
*個人事業主や法人成り会社あたりの規模の経営者の方は、労務・広告・法務・経理、さまざまなサポートについて迷うこともあると思います。
ぜひ、「あめにきのオフィス」にご相談ください。(このnoteを書く最大の目的は、もちろん広告です。)