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ビギナー経営:小さい会社の会計(2)

あめにきのオフィスのnoteでは、スタッフが仕事をしてきたうえで気がついたことを、書いていきます。
12月は、月曜日に書いていきます。

前回に引き続き、小さい会社の会計。

前回、『社用で自動車を300万円で買いました。この自動車を10年間使っていく。』という例を挙げました。この例について、もう少し詳しく見てみます。

まず、減価償却均等化)がなぜ必要なのかを考えてみます。
減価償却しないと、自動車を買った年に300万円分の資産を保有することになり、これが10年間続きます。
そして10年目にこの自動車を廃車にしたときに、300万円分の資産が一気に消えてなくなり、300万円の経費が一気に費用として計上されることになります。

ところで、「資産」とは、その事業者がどれだけの財産を持っているのかを表します。言い換えると、その会社のすべてを現金化したらいくらになるのか、を表した数値です。融資が可能かどうか、また企業買収が必要かどうか、などを「資産」から判断します。

しかし、この会社については、自動車の購入初年度はいいのですが、数年たつと自動車の価値は下がっており、新車の値段で車両売却はできないはずです。
なのに、この会社の例えば8年目の決算書には、実際には存在していない「新車」を持っていることになってしまっています。これは、実態を表していません。

そしてもう一つ、「損益」とは、その事業者がその年にどれだけ稼いだり損したりしたかを表します。
この会社は購入初年度に購入代金を支払い、10年間乗り続けて、そして廃車にしています。
つまり、10年目に損失を出しているわけではなく、毎年同じだけの費用をかけるべきものです。しかし決算書では、10年目にだけ、多額の赤字を出していることになります。これも、実態を表していません。

こうやって考えてみると、減価償却の必要性がわかると思います。そして、税務会計で処理をすることの不具合も同時に、わかります。

実際は10年間乗り続けるものを税務署が「6年で計算しなさい」と言っており、それに従ったわけですから、この会社の6年目の決算書には、あるはずの資産、つまり自動車120万円分が、計上されていません。
また、6年間での経費は180万円のはずですが、これも300万円で計上されていますので、120万円だけ「損失の先取り」をしてしまっていることになっています。

では、どうすればよいのでしょうか。
まず思いつくのは、税務署向けの会計と経営立案向けの会計を、分けることです。
わかりやすく言えば、決算書を2種類作成することです。
しかし中小企業向けにこれを勧めることはありません。2種類の決算書を作成しているとなると、やましいことでもあるのか?と疑われてしまいます。

実は、税務署は、「まず実態に合わせた計算書類を作ってください。その後で、税務署向けの修正書類を作って提出してください」と言っています。
まず、自動車を10年間乗り続けるという実態に合わせて書類を作り、そして法人税申告書別表4にて、減価償却の償却超過額と当期認容額を計上していきます。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/tebiki2002/02/04.htm
こうして、損金算入・不算入などを計上・記入していって、計算書類を修正していくことになります。

しかし、税務署が推しているこの方式にピッタリ従っている中小企業は、実に少ないです。
なぜそうなるのでしょうか。
そして、会社ではない個人事業主はどうなのでしょうか。
次回に続きます。

*個人事業主や法人成り会社あたりの規模の経営者の方は、労務・広告・法務・経理、さまざまなサポートについて迷うこともあると思います。
ぜひ、「あめにきのオフィス」にご相談ください。(このnoteを書く最大の目的は、もちろん広告です。)

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