クズキャラ万歳!【谷崎潤一郎】
大学時代は本を読むのが好きで、いろんなジャンルの本を読んできました。
アニメ映画作品の小説版とか、歴史小説とか、海外の作品とか。
すごく人生について考えさせられる本、衝撃の結末に思わず「おおっ!」となってしまうような本、中には、途中でつまらなくて諦めてしまった本ももちろんあります。
読んできた中で、一番心に残っている小説がなんだかというと、谷崎潤一郎の「異端者の悲しみ」というお話です。
「異端者の悲しみ」は「刺青・秘密(新潮文庫)」という短編集の5番目に入ってるお話です。短編集に入ってるお話だけあって、94ページしかありません。
「痴人の愛」「春琴抄」のように有名なお話でもありません。短編集のタイトルにもなっていない、マイナーなお話です。
有名でもない、長くもないこのお話がなぜ一番心に残ったのかというと、ずばり主人公がとんでもなくクズキャラだからです。
主人公は大学生の章三郎という男。お富という病気の妹がいて、家族は妹の看病につきっきりの中、章三郎は大学にもいかず昼間っから家で寝てばかりいます。
お父さんとお母さんから怒られてばかり。病気の妹からもあきれられます。
物語の後半では、こんな生活をしてきたものだから、将来が怖くなってきた章三郎はお医者さんに相談。
お医者さん
「その恐怖は私にはとてもではないがなおせん。だらしない生活をしてきたことの報いを受けた結果だ。生活を悔い改めなさい(ド正論)」
章三郎
「そんなのやってられるか!ムリ!」
章三郎はその恐怖から逃れるために酒を飲み始めます。
「酒さえ飲めば恐いことも何もない。」
まさかとは思いますが本文そのままです。
章三郎のお酒の飲みっぷりには、今まで読んできたお話を上回るだけのインパクトがあります(笑)
読んだときは「クズだな~」以上に「アル中だな~」の方が勝ちました。
アル中の奴の話なんて何がおもろいのかと思われそうですが、アル中すぎておもろいです。途中から酒が足りなくて料理酒を飲みだしたときはさすがに吹き出しましたね。。
こんなキャラ、身近にいたら最悪ですが、物語の中なら面白く読んでられます。
私が現在制作中の創作にもクズキャラ(?)はいます。
以前投稿した小説(現在は非公開)でちょこっと登場したムゲンです。
ラフですが、ビジュアルは初公開です。ウルフカットの女の子です。
こんなキャラになる予定ではなかった…(笑)
ちなみに、30分タバコを吸わないと瀕死になります。ギターを持たせておけばタバコを忘れられるのですが…
(これが原因で大学を中退することになる)
私は多少クズなキャラの方が好きかもしれないです。
皆さんはクズキャラはお好きですか?
本日もご覧いただきありがとうございました!
☆おまけ
章三郎のクズエピソードをもう少し…。
ある日鈴木という大学の同級生から「金曜までに返すよ!」という条件でお金を借ります。
章三郎は借りたお金で飲み遊んでしまいます。それに対して悪いと思うどころか、「人の金で遊ぶなんて超楽しい!」と考えます。
そして、金曜に返す予定だったお金はずっと返されず。
友達から返せよ!返した方がいいよ!と言われても、「なァに、二三日で返すよ!」と言って結局返さない。
そうこうしているうちに、鈴木は病気で死んでしまいます。その知らせを聞いた時、「生きてるうちに返せなくて申し訳ないな…」という気持ちよりも「あぁ、もう死んじゃったから仕方ないよね」という気持ちが勝った自分を不思議がるという始末。
いや不思議がってんじゃねーよ。
この投稿を書くために改めて読んでみましたがやっぱりクズです。
谷崎潤一郎は「痴人の愛」「春琴抄」あたりが有名ですが、この辺も主人公が変態だったりで私は好きです(笑)
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