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第三十五夜 『ファンタジア』

老舗の銀座の天ぷら屋で起きた事件に私は驚愕した。
それと同時に自身のルーツを思い出し、それを紹介したいと思う。
この飲食店を攻撃する気はなく、本来こうあるべきだったという「たられば論」であることご容赦して読み進めていただきたい。
 
記事引用
https://news.livedoor.com/article/detail/24998428/

今回の問題に関しては、もちろん、その対応が良くなかったと言えるであろう。記事における従業員の対応に若干のバイアスがかかっていたとしても、あまりに目に余る対応だ。隠蔽体質まで露呈してしまっている。
しかし、それ以上に重要なことは「食」を提供する場にて、安全性が損なわれた点である。衛生管理の問題である。

そこに関して、少し遠回りをさせてもらおう。
新入社員研修。私にも新入社員時代は確かにあったのである。ディズニー研修というものを受講した。どんな研修であったか内容まではほとんど覚えていない。しかし、今でも仕事として人と関わる上での重要な背骨となる言葉を教わったことだけは強烈に記憶している。

「SCSE」

これが今でも使われているのか、形を変えているのかはわからない。ただこれは不変なのではないかと思えるくらい完成された標語なのである。

S safety 安全性
C courtecy 礼儀正しさ
S show 見栄え、ショー
E efficiency 効率

これはお客様への接客時の優先すべき行動であるという。
そして、この考えで一番重要なのは最初のSである安全性なのである。ディスニーのキャストは何よりも先ず来場者の安全性を担保するように徹底的に指導される。礼儀正しさよりも、見栄えよりも、効率よりも、来場者が安全に夢の国を堪能できるように徹底したオペレーションを学ぶのである。

その上であれだけのサービスを提供するのである。
私は人混みが苦手なもので、あまり好きではないのであるがそれでも数年に一度は来場することがある。その中で清掃員の方が箒で絵を描いたり、音を鳴らして観客を沸かせたりしているシーンを見たことがある人は多いのではないだろうか。そんな彼らの行動原理は先ず、ゴミが落ちていた場合、来場者の転倒の恐れがあるので排除する。その上で、周囲の来場者にショーを提供し、最後に細部を清掃するのである。効率は最後なのである。

さて、本題に戻ろう。
今回の老舗天ぷら屋で起きた一連の騒動は、お客様にとって一番腹立たしいことはCの礼儀正しさにあたる部分なのであるかもしれない。しかし、ここで考えるべきはそのような状況に陥ってしまった要因はなんなのかということである。そもそも、漂白剤入りの水が運ばれてくる原因はなんだったのか、それをどう防ぐべきだったのかということだ。

それだけの老舗であったのにも関わらず、洗浄用の水を出してしまう要因は、忙しすぎたのか、分かりにくい設計だったのか、新人教育が済んでいない状態で対応をさせたのか、はたまた故意か(これだけはないと信じたいが…)。

今回はさらに「安全性」が崩れた上に、「礼儀正しさ」までも欠き、「見栄え」や「効率」を優先してしまったようにこの記事からは窺える。

被害者の方からすれば、とても貴重な時間とお金を割いて、食事に行き安全性だけでなく礼儀にも欠けた対応に怒りを覚えることは当たり前のことである。

飲食店であれば分かりやすいが、その他の接客業であっても同じことが言える。

雨の日にお客様が来社される際に滑りやすい場所はないであろうか。

お客様の個人情報が飛び交う電話でのお話をオープンなスペースで行っていないであろうか。

お客様が契約するための書類に不備はないか。

これらはどれだけお客様に安全性を提供できるかの一つの基準である。
正直、私はこの事件を見て再度この重要性を理解した。どこか接客業から離れたら関係ないと思い込んでいたが、これは対人関係がある仕事であれば、誰もが意識すべきことである。

株式会社アメリは再度、SCSEの精神を会社の対応の根幹に置くため、組織の作り直しをしよう。
「他人の不幸は蜜の味」という言葉は他人の不幸からは学ぶことが多いということなのであろう。そこを嘲笑うようでは成長はしないのである。

最後に、老舗の天ぷら屋に関しては、今回の事件を重く受け止め誠実な対応と改善策を被害者に提示できるようにしてほしいということだけを伝えてこの文章を綴じる。

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