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第二百五十夜 『ブレイブストーリー』

どうせならもう、下手くそな夢を描いていこうよ。


「皆さん。初めまして。私は昨年、株式会社アメリというFPの会社を設立しました。弊社の掲げているビジョンは『全日本国民のライフプランの可視化』です。その為に国内にいる260万人のFPの有資格者が活躍できる場、有り体にして言えば、稼ぐことのできるビジネスモデルを作リマス。なので、適切な時期が来ましたら是非、長官にお話を聞いていただければと考えています。」


彼のこの発言に会場はほんの一瞬時間を止める。

彼にとっては、経済学者やその道のオーソリティが集まる場において、日本が2024年4月より目標として俄かに、それでいて弱々しく掲げている『資産運用立国の実現』に向けての話の中でのことなのでこれ以上適切な発言はないと考えたことであろう。


その会場のほとんどの話の内容は、やれ「長官と同窓でして」や「過去に一度ご挨拶させていただきました」というような。


意味があるんだかないのだか。下手な営業マンのアイスブレイクのようなものの羅列であった。


ところが、あいにく株式会社アメリにおいてはアイスブレイクのようなものは不要だと考えている。プロ集団である。


仲良くなるのは別にライフシミュレーション後でも、不動産決済後でも、保険契約締結後だっていい。


先ずは相手にプロとして認識してもらうことが重要であると捉えている。


そして、彼は会食という場で、読む必要のない空気を読まず、省庁の長官に挨拶をしたのである。


そして、彼の発言から3秒ほど経ってようやく、長官のリアクションが返ってくる。


「おっしゃる通りです。是非お願いします。」


この会はCFP50名と経済学者50名が今後の国家戦略について話し合うディベートの場として日本FP協会により主催された。


ここでいう国家戦略というのが、先に述べた『資産運用立国の実現』である。

この目標を掲げる上で重要なことは一省庁で収まるものではないという点だ。


基本的に『資産運用立国の実現』は金融庁と経済産業省を主体として旗揚げされたわけであるが、突き詰めていくと、年金等を管轄する厚生労働省、マイナンバーで口座管理を狙う総務省、そして資産管理から適正な税金を課税し徴収する国税庁と枝葉末節まで含めれば、全ての省庁が絡むのではないだろうかと思えるほどのボリュームである。


だからこそ、国家戦略になり得るのであろう。


資産運用をする上で国は縦割りではなく、スクラムを組んで取り組む必要がある。


「金融庁長官、厚生労働大臣、そして、日本FP協会が揃って『全日本国民のライフプランの可視化』を唱えることが本来は相応しい。」


彼と私は経営会議のたびにそんな話をする。


彼は今回、金融庁長官に挨拶をし、その場を離れた。

目的を達したらそこまででいいというスタンスは流石である。


今回、金融庁長官へご挨拶し、厚生労働大臣からはFP1級を取得した際に表彰をされ、もちろん、日本FP協会においてはCFPとして、1級ファイナンシャルプランニング技能士として資格を取得し任命されている。


オーソリティとの接点を着実と稼いでいるのである。


「2024年9月より。

株式会社アメリは本格的に上場準備に入ります。」


彼のその言葉に対し、私は応える。


「日本国民の将来の不安をどれだけ解決できるか。それが肝要です。」


どうせならもう、下手くそで明るく愉快な愛のある夢を。



物語の続きはまた次の夜に…
良い夢を。



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