教習日誌 その14

第2段階

4時間目「総合コース 追走」

教官は初めての人。受付で写真を見たら、優しそうな笑顔だったので、油断した。


昨日の坂道での転倒が蘇って、体がこわばる。
坂道発進の停車で連続の立ちゴケ。
教官からすごい長いお説教……。

停車でのミスは、心の問題だとのこと。

(ビビってるから止まれないんだよってことですね。)

そこから続く根性論。

(夢を諦めるな、的なことです。)

でも、その上に被せられる、冷徹な分析。

(あなた今、公道出たら、10tトラックに轢き殺されます、と。そうですよね。わかってます、自分でも)

教官は、50代くらいのベテランそうなおじさん。
笑顔なのに言葉の圧が強くて、「ヤバい、苦手だ……」と思ってしまう。

体がどんどん緊張して、バイクが余計に言うことを聞かなくなる。

何度目かの転倒。

1人で引き起こしできない私を見て、

「甘えてますね」

私はヘラヘラしながら、すみませんと言うしかなかった。

甘えてなんかいない。

怖がってるだけだったら、20時間以上もバイクに乗ってない。

この教習を受けるのにだって、めちゃくちゃ勇気を出したんだ……。

つまらない反論が、自分の中で行き場を無くしてぐるぐる回る。でも、「まあ当然だよね……」
と思う自分がいて、
「たぶん10代とか20代なら、泣いてたろうな…」とぼんやり思った。
そのとき、自分でも「あ、歳取るってこういうことなんだな」と思った。

30代での挑戦も、悪いことばかりじゃない。苦しさを客観的に見られる自分がいる。

5時間目「総合コース & 回避 & カーブ」

この日は連続講習。

引き続きの、総合コース。
今度は坂道こけなかった。1日の中で修正できてホッとする。


☆停車の時は、顔を上げて、前を見ること。
☆足は、止まるまで出さないこと。
☆難しい鋭角の曲がり角は、進行方向を睨むこと。

説明を聞くために、バイクから降車したら、バイクが倒れかかってきた! やっば! やっば!!っと思って、必死に支えに入る!

「大丈夫ですか?」

「だいじょうぶですーッ!!」(ウソ)

結局、少し引っ張ってもらって、なんとか立て直せた。。

しかし、この間、教官が爆笑。

「笑っちゃ悪いんだけどね〜」笑

いや、もう、笑ってくれ。

この状況で、笑ってもらえた方が救われるよ…。

気を取り直して、続いて、回避行動。

 直進走行中に、紅白旗を見て、左右に避ける。
ブレーキなしで、ハンドルのみの回避をするのがポイントだ。
3回やって、1.7秒、1.6秒、 1.7秒。
とても平均的らしい。良かった。

「判断に要する時間は良いので、やはり(転倒などのミスは)気持ちの問題ですね」となぜかディスられる。むぅ。

さらに続けて、速度別のカーブの走行。

ここでは、遠心力の体験をする。
時速20km、25km、30kmそれぞれでカーブを曲がる。

時速30㎞はさすがにセンターラインオーバー。

教習の後、原簿を見てみたけど、「回避」項目はチェックされてなかった。実際の教習と原簿の項目のチェックは違うみたい。


それにしても、緊張しすぎで、手足が夜までずっとしびれっぱなし。
圧の強い人は苦手だけど、必死に笑顔でやり切った。けど……やり切った後の疲労感がハンパない。メンタル立て直すのに、時間かかる。
良い苦行になるなぁ、バイク免許教習って……。

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