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ベクトン・ディッキンソン (BDX) 最新決算。本当はすごい、52年連続増配!

日本では知名度は低いかもしれませんが、ベクトン・ディッキンソンは、2020年には新型コロナウイルスの検査キット等、最新の医療技術を提供。米欧で強い中堅の医療機器メーカー(注射器、カテーテル等の医療用品がメイン)です。米国産業の懐の深さを知る上でも、ヘルスケアセクター、BDの存在は欠かせません。

革新的な製品を市場に投入


 ベクトン・ディッキンソン(BD)は、1897年にマックスウェル・ベクトンとフェアレイ・ディッキンソンによってニュージャージー州で設立。初期から医療機器の製造に注力し、1906年には注射器と注射針の工場を新設。BDはその後も事業を拡大し、1924年には初のガラス製真空採血管を開発。

さらに、1954年にはプラスチック製の使い捨て注射器を導入。1973年にはフローサイトメトリー技術を用いた細胞解析装置を開発し、1980年代には自動細胞解析装置FACSCan™を発表するなど医療機器の分野で、革新的な製品を市場に投入していきます。

1971年に日本ベクトン・ディッキンソン株式会社(日本BD)が設立され、ライフサイエンス研究用製品や臨床検査・感染制御、環境検査関連製品、薬剤投与用製品を提供しています。

2017年には米国の医療機器メーカーC.R.Bard社と経営統合し、さらに高度なサービスを提供する体制を確立。また、2022年には糖尿病ケア事業をスピンオフし、経営資源の効率化をはかっています。現在は、BDは190カ国以上で事業を展開し、約75,000人の従業員を擁しています。

・・次世代の診断・治療法の研究開発の現場で研究者をサポートし、臨床現場における医療従事者の安全性や医療効率を向上するため日々努力をしています。世界のあらゆる国の医療機関とパートナーシップを組み、世界規模の最重要課題に取り組むとともに、顧客である医療機関と緊密に連携することで、医療効果の改善やコスト削減、効率化、安全性の向上、医療アクセスの促進に寄与しています。

ベクトン・ディッキンソンのwebサイトより

About ベクトン・ディッキンソン

  • 設立:1897年

  • 上場:1963年

  • ビジネス概要:注射器、カテーテル等の医療用品がメイン。採血や検体採取、検査機器、コロナ・インフルの同時検査試薬も

  • セクター:ヘルスケア(Health Care)

  • ティッカー・シンボル:BDX

  • 年間売上高:194億ドル(約2.91兆円,会計年度2023年9月)

  • 株式時価総額:659億ドル(約10.5兆円,6/27時点)

  • ライバル企業:ダナハー(Danaher,DHR)

  • 日本での同業種:テルモ(4543)

  • 従業員:75,000人

  • 本社:米国ニュージャージー州

最新決算(1-3月/Q2,2024)

米国と欧州に強み

売上高-50.45億ドル(前年同月比+4.6%)
-米国29億ドル(同+6.3%増),海外21億ドル(+2.4%増)

  • 営業利益-7.34億ドル

  • 当期利益-5.37億ドル

  • 調整後EPS-3.17ドル(+同10.8%)

セグメント別の売上動向

以下ベクトン・ディッキンソン、BD。

  1. BDメディカル:24.5億ドル(同+3.8%)
    -メディケーション・デリバリー・ソリューションズ(MDS)
    -メディケーション・マネジメント・ソリューションズ(MMS)
    -ファーマシューティカル・システムズ(PS)

  2. BDライフサイエンス:13億ドル(同+2.2%)
    -統合診断ソリューション(IDS)
    -バイオサイエンス(BDB)

  3. BDインターベンショナル:12.9億ドル(同+9.0%)
    -末梢動脈疾患治療のための新しいソリューションを提供。

収益性とキャッシュフローの改善

BDの第2四半期の収益性とキャッシュフローは、特に注目すべき点です。継続事業からの年間キャッシュは14億ドル、フリーキャッシュフローは11億ドルに達し、それぞれ前年同期比で7.85億ドル、9億ドル以上増加しました。これにより、BDは堅調な営業利益率とキャッシュフローを達成し、財務の健全性を確保しています。

ガイダンス(会社計画)の上方修正と今後の展望

BDは、通期調整後EPSガイダンスを上方修正。これは、BDの戦略的実行とポートフォリオの強さに対する自信を示しています。BDの会長兼CEO兼社長であるトム・ポーレンは「BD2025のコミットメントを達成するため、2024年度の業績ガイダンスを再度引き上げる自信があります」とコメント。今後の成長に対する期待が高まっています。

長期的なビジネスの堅実さ

BDが50年間以上連続で増配を続けている事実は、そのビジネスモデルがいかに堅実であるかを物語っています。医療機器メーカーとして革新と成長を続け、安定した収益を確保。特に今四半期の決算では、以下のポイントがBDの強みを示しています。

多様なポートフォリオ


メディカル、ライフサイエンス、インターベンショナルの3つの主要事業部門を持ち、それぞれが堅調な成長を継続。これにより、市場の変動にも柔軟に対応できる強固な基盤を築いています。

  • 革新的な製品開発:常に新しい技術と製品を市場に投入し、医療提供者や研究者にとって不可欠な存在。例えば、BD FACSDiscover™ S8 セルソーターファミリーやBD Pyxis™ MedBank™ Automated Dispensing Cabinetシステムなど、先進的なソリューションを提供しています。

  • グローバルな展開:世界中で事業を展開しており、特に新興市場における成長が顕著。シンガポールでの子宮頸がん検診プログラムの導入など、地域ごとのニーズに応じた戦略的な取り組みが成功しています。

  • 新製品の投入:新しい技術と製品の開発に注力することで将来的な収益増加の可能性を追求。特に、ライフサイエンス分野での新しいセルソーティング技術や診断ソリューションの展開が期待されます。

  • 新興市場での成長:既存市場だけでなく、新興市場においても積極的な事業展開。これにより、グローバルな成長を実現し、収益の多様化を図ることができます。

最も革新的な企業

BDはフォーチュン誌の「2024年米国で最も革新的な企業」リストに選ばれました。さらに、ビジネス・グループ・オン・ヘルス誌「従業員の福利厚生に優れたベスト・エンプロイヤー」に選出、企業としての評価が高まっています。

ビジネスの成長と株主還元

連続増配は52年

2023年11月、ベクトン・ディッキンソンは四半期配当を0.95ドルに引き上げることを発表しました。従来の四半期配当から4.4%の増配。この増配により、2024年度の年間配当は3.80ドルになります。

BDの今回の増配により、連続増配は52年目に突入しました。この実績は、同社の安定した財務状況と長期的なビジネスの堅調さを示すものです。同社のCEOであるトム・ポーレン氏は、「今回の増配は長期的な見通しにおける我々の自信を反映している」と述べており、同社の将来に対する強い信念を表明しています。

配当利回りの目安

  • 配当実績-0.95ドル→年間配当0.95×4=3.8ドル

  • 株価-230.94ドル(6/27終値)

  • *配当利回り-(3.8÷230.94)×100=1.64%

*手数料・税金は考慮していません。また購入時の株価によって利回りは
変わります。

まとめ

BDの魅力は、その堅実なビジネス運営と持続的な成長にあります。通期ガイダンスの上方修正と52年連続の増配は、同社の将来に対する自信を反映しています。医療機器の革新と株主還元を両立させるBDは、これからも注目すべき企業と言えるのではないでしょうか。

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*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。


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