見出し画像

アッヴィ、四半期決算より。分社化からはじまるバイオ医薬品企業の発展、さらなる連続増配に期待【1-3月/Q1,2024】

アッヴィ(AbbVie Inc.ABBV)は、アメリカ合衆国イリノイ州ノース・シカゴに本社を置くバイオ医薬品企業です。アッヴィは2013年1月1日に、アボット・ラボラトリーズから分社独立する形で設立。これによりアボット・ラボラトリーズはエスタブリッシュ医薬品を引き続き提供し、新薬の研究開発部門はアッヴィが継承することとなりました。


アボット・ラボラトリーズから分社

アッヴィが分社化される前のアボット・ラボラトリーズ(ABT)は、長い歴史を持つ著名な医薬品企業でした。

アボット・ラボラトリーズは1888年に、Dr. ウォレス・C・アボットによってイリノイ州シカゴで設立。アッヴィが2013年に分社化される時点で、アボット・ラボラトリーズはすでに125年の歴史を持つヘルスケアカンパニーでした。

アボット・ラボラトリーズは、長年にわたり医薬品の開発と生産を行い、多様な医薬品ポートフォリオを構築し、グローバルな展開を進めてきました。

創業から、アッヴィ分社化までのあゆみをまとめますと、

  • 1900年代初期: アボット・ラボラトリーズは、科学に基づく製薬企業としての地位を確立し、医薬品の生産を拡大。

  • 1929年: アボット・ラボラトリーズはニューヨーク証券取引所に上場。これにより、企業の成長と資金調達の新たな道が開かれました。

  • 1959年: アボットは、最初の抗生物質であるエリスロマイシンを市場に投入。これは、感染症治療における重要な進展となりました。

  • 1962年: 日本において、ダイナボット株式会社が設立され、後にアボット・ラボラトリーズの日本法人となります。

  • 1985年: アボットは、HIVの診断に使用される最初の血液検査を開発。エイズの早期診断と治療の分野で重要な位置をしめるようになります。

  • 1998年: アボットは、HIV治療薬「カレトラ」を市場に投入。この薬はHIV感染症の治療における重要な薬剤に成長します。

  • 2002年: アボットは、心臓病治療薬「トライコア」を市場に投入。

  • 2003年: ダイナボット株式会社と北陸製薬株式会社が合併し、アボットジャパン合同会社を設立。

  • 2011年10月: アボット・ラボラトリーズは、会社を2つに分割する計画を発表。エスタブリッシュ医薬品事業はアボット・ラボラトリーズに残し、研究開発型医薬品事業(新薬事業)部門を新会社として分離することを決定。

  • 2013年1月1日: アボット・ラボラトリーズの分社化により、アッヴィ(AbbVie Inc.)が正式に設立されました。

アッヴィ

アッヴィは設立以来、いくつかの重要な買収を行っています。2015年3月にはカリフォルニア州のバイオ医薬品企業Pharmacyclicsを買収し、2016年4月にはガン医薬品のスタートアップ企業Stemcentrxを買収。さらに、2019年6月には美容向け医薬品に強みを持つアラガンの買収を発表し、2020年5月に買収を完了しました。

アッヴィは世界70カ国以上にビジネス拠点を持ち、170カ国以上で医薬品を提供。日本法人であるアッヴィ合同会社は2012年3月30日に設立され、東京都港区に本社を構えています。

About アッヴィ

  • 設立:2012年

  • 上場:2013年

  • セクター:ヘルスケア(Health Care)

  • ティッカー・シンボル:ABBV

  • バイオ製薬大手。

  • 業務内容: 医薬品の創薬、開発、製造、販売

  • 年間売上高:543億ドル(約8.1兆円/2023年12月通期)

  • 株式時価総額:3,015億ドル(6/25)

  • ライバル企業:アムジェン(AMGN),イーライ・リリー(LLY)

  • 日本での同業種:アステラ製薬(4503),第一三共(4568)

主力製品

  • ヒュミラ(Humira)-体の免疫システムに関わる病気を治療する注射薬。この薬は、関節炎や皮膚の病気、お腹の病気など、体の免疫が自分の体を攻撃してしまう病気に対して使われます。

  • スカイリッジ(Skyrizi)-皮膚にかゆみや赤い斑点が出る病気(乾癬)や、関節が痛む病気を治療する薬。体内の炎症を抑えることで、症状を改善。

  • リンボック(Rinvoq)-関節の痛みや腫れを引き起こす関節リウマチや、皮膚の病気、腸の病気などを治療する薬。錠剤として服用し、体の免疫反応を抑えて症状を和らげます。

  • イムブルビカ(Imbruvica)-血液の癌(血液がん)を治療する薬。特に、リンパ腫という血液の病気に効果。錠剤として服用し、癌細胞の増殖を抑える働きがあります。

  • ヴェンクレクスタ(Venclexta)-血液の癌を治療する薬。特に、慢性リンパ性白血病という病気に使用。錠剤として服用し癌細胞を死滅させる作用があります。

1-3月決算のハイライト

  1. 売上高

    • 123億1,000万ドル(前年同期比+0.7%増)

  2. 希薄化後EPS(1株当たり利益)

    • 調整後希薄化後EPS-2.31ドル(同▼6.1%)

    • この減少には、買収した研究開発資産(IPR&D)等が含まれます。

  3. 主要製品別売上高

    • ヒュミラ(Humira): バイオシミラー(後発バイオ医薬品)の競合品の影響により、
      売上高は3.9%減の53億7,100万ドル。

    • スカイリッジ(Skyrizi): 売上高-20億800万ドル。

    • リンボック(Rinvoq): 売上高-10億9,300万ドル。

大型買収

アッヴィ(AbbVie)は、2023年から2024年にかけ、抗がん剤メーカーのイミュノジェン(101億ドルで買収)とバイオ医薬品企業セレベル・セラピューティクス・ホールディングスの相次いで買収。

この資金は150億ドル(およそ2.26兆円)の起債によってまかなわられました。イミュノジェンの買収は、癌治療分野でのポジションを強化し、特に卵巣癌治療市場でのリーダーシップを確立することにあったと言われています。

52年連続増配

アッヴィが分社化される前のアボット・ラボラトリーズからのカウントで52年、連続して配当をしています。

配当利回りの目安

  • 配当実績-1.55ドル(1.48ドルより→増配)

  • 年間配当-1.55×4=6.2ドル

  • 株価-170.75(6/25終値)

  • 配当利回り-6.2/170.75×100=3.63%

*税金、手数料は考慮していません。配当利回りは購入時の株価によって変わります。

まとめ

1-3月の第1四半期決算は、全体としては堅調な成長を示していますが、ヒュミラの売上減少や一部の調整費用による影響がありました。特に、*バイオシミラー市場の競争が激化する中でのヒュミラの売上減少は、アッヴィにとって新たな課題となります。今後は新薬の開発や他のセグメントでの成長でこれを補完し、全体としての安定成長につなげていくことを、連続増配の記録とともに、期待されています。

「バイオ後続品 (バイオシミラー)」とは、先行バイオ医薬品の特許が切れた後に、他の製薬企業から発売されるバイオ医薬品の後発薬です。

アメ株調べ

ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

米国株投資家必見!連続増配企業リスト【2024年最新版】はこちら↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?