アーム・ホールディングス(ARM)、最新決算:過去最高の第1四半期売上を達成!AI需要と多様化戦略が成功の秘訣【4-6月/Q1,2025】
アーム・ホールディングス(ARM)は、2025年度第1四半期において、過去最高の総収入を記録。AI関連アプリケーションにおける技術需要の高まりや、クラウド、自動車、IoT/組み込みコンピュート市場への取り組みが成果をあげています。
アーム株投資への事前知識
アームは、ナスダックに上場した際、ADRの形態を通じて上場。ADR(American Depositary Receipts)は米国預託証券を指します。ADRは米国外の外国企業、あるいは米国企業の外国法人子会社などが発行する有価証券に対する所有権を示す、米ドル建て預かり証券のことです。ニューヨーク証券取引所に上場されているものもあり、通常の米国株式と同じように売買ができます。
米国市場で取引されるアーム株はADRとして扱われ、ティッカーシンボル「ARM」で取引されます。またアームの1年を通じての決算は、3月。今回の4-6月決算がQ1、第1四半期となり、2025年3月までの1年がスタートとなります。
2025年第1四半期決算で、どのようにしてアームは収益を過去最高に達成したのか?
ダイジェスト
売上高:9億3,900万ドル(前年同期比+39%,市場予想9億ドル)
営業利益:1億8,200万ドル
当期利益:2億2,300万ドル
調整後EPS:0.40ドル(前年0.24ドル,予想0.34ドル)
アームは、今四半期Q1は、39%増の9億3,900万ドルの売上高(総収入)を達成。ライセンス収入とロイヤリティ収入の両方が大きく貢献。特にスマートフォン市場の回復とArmv9の採用拡大がロイヤリティ収益の成長を後押ししました。ロイヤリティは、ライセンスに比べて安定した収入源であり、長期的な成長の鍵。
また同社によると、ライセンス収入が2-3年先のロイヤリティー収入の先行指標であると説明、自信を深めています。
ライセンス収入
ライセンスおよびその他の収入は、前年同期比72%増の4億7200万ドル。AI関連アプリケーションにおけるアームの技術に対する需要が急速に高まっていることが要因です。特に、AIモデルのトレーニングや推論における効率性とパフォーマンスが評価されています。
-ライセンス収入は、アームが設計したチップの知的財産を他社にライセンス供与することで得られます。ライセンス料は通常、固定の前払い費用として設定され、その額は1百万ドルから10百万ドルの範囲とされています。今四半期では、AIの普及が進む中で、多くの企業がアームの省電力技術を将来の製品に使用することを長期的にコミットするようになり、ライセンス収益が高水準に達しました。
ロイヤリティ収入
ロイヤリティ収入は、前年同期比17%増の4億6700万ドルを記録。好調なスマートフォン販売と新しいArmv9アーキテクチャの普及拡大によるものです。また、アームの技術がクラウド、自動車、IoT/組み込みコンピュート市場での採用を広げていることも寄与しています。
-ロイヤリティ収入は、ArmのIPを使用して製造された(Armが提供するCPUやその他の回路設計の知的財産を基にして、半導体メーカーが設計・製造)チップが販売されるたびに、販売価格の1%から2%程度の割合で発生します。
2025年通期の見通しは
会社計画では、売上高で38-41億ドル、調整後のEPSが1.45-1.65ドルと見ており、特にライセンス収入に対し引き続き、楽観的な見通しを示しています。
アームの主要市場セグメントは?
「エンドマーケット別ロイヤリティ - 2024年度末」というデータによると、アームは以下の市場セグメントから収益を得ています:
スマートフォン:40%
その他のモバイル:7%
家電:15%
クラウドコンピュートとネットワーキング:10%
自動車:8%
アームの技術は、スマートフォンの性能向上、バッテリー効率、ユーザー体験の向上に貢献。世界中のスマートフォンの約99%がArm技術を採用しています。
AI技術への需要がアームの成長を後押し?
アームの技術は、AI関連アプリケーションにおいて高い評価を受けています。特に、AIモデルのトレーニングや推論における効率性とパフォーマンスが顧客に支持されています。このため、AI分野でのライセンス収入が大幅に増加しました。
自動車市場でのアームの役割は?
アームは、自動車市場でも大きな成長を遂げています。自動運転車や高度な運転支援システム(ADAS)における技術の需要が高まっており、アームのプロセッサーがこれらのシステムに採用されています。自動車市場での成長は、全体のロイヤリティ収入においても重要な役割を果たしています。
クラウド市場でのアームの戦略は?
クラウドコンピュートとネットワーキング市場においても、アームは着実に収益を伸ばしています。クラウドサービスプロバイダーは、アームの省電力で高効率なプロセッサーを採用することで、データセンターの運用コストを削減し、効率を高めることを可能にしています。アームのクラウド市場でのシェアが拡大につながっています。
IoT/組み込みコンピュート市場での成長要因は?
*IoT/*組み込みコンピュート市場でも、アームの技術は広く採用されています。スマート家電や産業用機器など、さまざまなデバイスでアームのプロセッサーが使用され、特に家電分野の収益増加に寄与しています。
IoT(Internet of Things)市場は、物理的および仮想的なデバイスがインターネットプロトコル(IP)を介して自律的に通信するネットワークを指します。この市場は、家庭用のスマートデバイスから産業用の自動化システムまで、多岐にわたる用途をカバーしています。
アームは、低消費電力で高性能なプロセッサ技術を提供し、IoTデバイスの効率的かつ安全な運用を支援。同社の技術は、多様なIoTデバイスに組み込まれ、データの収集と分析を自動化し、スマートホームやスマートシティ、産業分野での複雑な問題解決を可能にします。
組み込みコンピュート市場とは、特定の機能を実現するために設計されたコンピュータシステム、すなわち組み込みシステムが利用される市場を指します。組み込みシステムは、家電製品や産業機器、自動車、医療機器など、さまざまなデバイスに組み込まれています。
まとめ
アームは、2025年第1四半期において過去最高の収入を達成しました。その成長を支えているのが、従来のスマートフォン市場での独走に加え、AI関連技術への需要、自動車やクラウド市場での進出、そしてIoT/組み込みコンピュート市場での成功です。同社の多様化戦略は、今後も将来にわたる成功をサポートするものとなるでしょう。
よくある質問 (Q&A)
今回の決算や事業内容をQ&Aでおさらい・・
Q: アームの技術はどのようなAIアプリケーションで使用されていますか?
A: アームの技術は、AIモデルのトレーニングや推論において高い効率性とパフォーマンスを提供します。これにより、画像認識、自然言語処理、自動運転などのAIアプリケーションで広く使用されています。
Q: アームの新しいArmv9アーキテクチャとは何ですか?
A: Armv9は、アームの最新アーキテクチャで、セキュリティ機能の強化、AIおよび機械学習のパフォーマンス向上、デジタル信号処理能力の向上を特徴としています。
Q: アームはどのようにして自動車市場でのシェアを拡大していますか?
A: アームは、自動運転車や高度な運転支援システム(ADAS)向けのプロセッサーを提供することで、自動車市場でのシェアを拡大しています。これにより、自動車メーカーはより高度な機能を車両に搭載することが可能になります。
Q: アームの技術がクラウド市場で採用されている理由は何ですか?
A: クラウドサービスプロバイダーは、アームの省電力で高効率なプロセッサーを採用することで、データセンターの運用コストを削減し、効率を高めています。これが、クラウド市場でのアームの技術採用を促進しています。
Q: アームの技術はどのようにIoTデバイスで使用されていますか?
A: アームのプロセッサーは、スマート家電や産業用機器などのIoTデバイスで広く使用されています。これにより、これらのデバイスはより高いパフォーマンスと効率を実現しています。
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*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
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